【医師監修】脈が飛ぶような感覚…放置して大丈夫？考えられる原因と受診の目安・セルフチェックまとめ

「ドクン」「スッ」と脈が一瞬抜けるような違和感を感じたことはありませんか？
この“脈が飛ぶ感覚”は、多くの人が経験する一時的な現象である一方、不整脈（期外収縮）などのサインである場合もあります。

この記事では、医師監修のもと「脈が飛ぶように感じる原因」や「放置してよいケース・注意が必要なケース」をわかりやすく解説。
自宅でできるセルフチェックや受診の目安、日常生活での対処法も紹介します。
不安を感じたときの参考に、ぜひ最後までご覧ください。

 

脈が飛ぶような感覚とは？

多くの人が感じる「ドキッ」「スッ」とする一瞬の違和感

「急に心臓が止まったような感じ」「ドキッと強く脈打つ」「一瞬スッと抜けるような感覚」──。
こうした“脈が飛ぶような”違和感は、多くの人が一度は経験したことがある症状です。
実際には、脈が完全に止まっているわけではなく、一拍分のリズムがずれたり、早く打ったりすることで「飛んだ」と感じるのです。

このような症状は、数秒でおさまり、その後に何もなければ心配のないケースも少なくありません。
しかし、頻度が増えたり、息苦しさや胸の痛みを伴う場合は、体が発しているサインの可能性があります。

脈が飛ぶ＝「期外収縮」の可能性も

脈が飛ぶように感じる原因のひとつが、「期外収縮（きがいしゅうしゅく）」と呼ばれる不整脈です。
これは、心臓の拍動が本来のリズムより早く起こる状態で、心臓が「早打ち → 一瞬の休み」を取るため、“飛んだ”ように感じられます。

期外収縮は健康な人にも起こることがあり、一時的であればほとんど問題ないことが多いです。
ただし、脈の乱れが続いたり、動悸・めまい・胸の圧迫感などを伴う場合は、心臓の機能異常や他の不整脈が隠れている可能性も。
気になるときは自己判断せず、循環器内科で心電図検査などを受けるのがおすすめです。

一時的なストレスや疲労が原因のことも

脈の乱れは、必ずしも心臓の病気だけが原因ではありません。
ストレス・睡眠不足・過労・カフェインの摂りすぎ・緊張状態などが重なると、自律神経のバランスが崩れ、一時的に心拍リズムが乱れることがあります。

特に、

• 強いプレッシャーや不安を感じたとき

• 急に立ち上がったとき

• 睡眠不足が続いたとき
  などに起きやすい傾向があります。

こうした場合は、休息をとる・深呼吸をする・生活リズムを整えることで改善することが多いです。
それでも繰り返すようなら、念のため医療機関で一度チェックを受けておくと安心です。

 

考えられる主な原因

① ストレス・睡眠不足・カフェインの取りすぎ

脈が飛ぶような感覚の最も多い原因が、ストレスや生活習慣による一時的な心拍の乱れです。
精神的な緊張やプレッシャー、怒り、不安などが続くと、自律神経のうち「交感神経」が優位になり、心拍が速くなったりリズムが乱れたりします。

また、**睡眠不足やカフェインの摂りすぎ（コーヒー・エナジードリンクなど）**も心臓を刺激し、脈の乱れを引き起こすことがあります。
対策としては、

• 睡眠時間を確保する（6〜7時間以上を目安に）

• コーヒー・緑茶・エナジードリンクを控える

• ストレス発散の時間を意識的にとる
  ことが有効です。

② 自律神経の乱れや過労

自律神経は、心臓の拍動をコントロールする重要な神経です。
仕事や家事での過労・睡眠リズムの乱れ・ストレスなどで自律神経のバランスが崩れると、心拍が不安定になり「脈が飛ぶ」ように感じることがあります。

特に、

• 起床直後や寝不足の日

• 季節の変わり目（気温・気圧の変化）

• 更年期やホルモン変動の時期
  などは、自律神経が乱れやすい時期です。

対策としては、

• 起床後や就寝前の深呼吸・ストレッチ

• 生活リズムを整える

• 十分な休息を取る
  ことを意識しましょう。

③ 心臓の期外収縮（不整脈の一種）

「脈が飛ぶ」感覚の代表的な医学的原因が、心臓の期外収縮です。
期外収縮とは、本来の拍動リズムより早く電気信号が出て、心臓が“余分に収縮”してしまう現象です。
その後、心臓が一拍分「休み」を取るため、“飛んだ”ように感じられます。

期外収縮は、健康な人にも起こることがあり、一時的なものであれば問題ないケースがほとんどです。
しかし、頻繁に起きる・動悸や息切れを伴う・長く続く場合は、他の不整脈（心房細動など）や心疾患が隠れている可能性があります。
症状が続く場合は、循環器内科で心電図検査やホルター心電図（24時間記録）を受けると安心です。

④ 貧血や甲状腺機能の異常などの病気

脈の乱れは、心臓以外の病気が影響しているケースもあります。
特に、貧血や甲状腺機能の異常は心拍リズムに影響を与えやすく、体が酸素不足を補おうとして心臓の動きを変化させます。

• 鉄欠乏性貧血：血液中の酸素が不足し、心拍数が増加・乱れやすくなる

• 甲状腺機能亢進症：ホルモンが過剰に分泌され、動悸や不整脈を起こしやすい

• 甲状腺機能低下症：代謝が落ち、脈が遅く不規則になる

こうした病気が疑われる場合は、血液検査で原因を特定し、適切な治療を行うことが大切です。

⑤ 更年期やホルモンバランスの変化によるもの

40〜50代の女性に多いのが、更年期に伴うホルモンバランスの変化による脈の乱れです。
女性ホルモン（エストロゲン）が減少すると、自律神経のバランスが不安定になり、動悸や「脈が飛ぶような感覚」が現れることがあります。

この場合、ホルモンの変化に伴う一時的な反応であることも多いですが、
症状がつらいときは、婦人科でホルモン検査や更年期外来の相談を受けるのがおすすめです。

生活面では、

• 適度な運動（ウォーキング・ヨガ）

• 規則正しい睡眠

• 栄養バランスのとれた食事
  が、自律神経とホルモンの安定に役立ちます。

 

放置してもいい？受診が必要なサイン

放置しても大丈夫なケース

脈が一瞬「飛んだ」ように感じても、すぐに元のリズムに戻り、症状が続かない場合は、心配のいらないケースが多いです。
例えば次のようなときは、一時的な変化であることがほとんどです。

• 強いストレスや緊張の後に起こった

• カフェインやアルコールを摂取したあとに一時的に感じた

• 睡眠不足・疲労が続いた日の夜や翌日に出た

• 休息を取るとすぐにおさまる

こうした場合、過度な心配をせず、生活習慣を整えることで自然に改善することが多いです。
ただし、「以前より頻度が増えてきた」「不安が続く」という場合は、早めに医療機関で相談しておくと安心です。

受診を検討すべきケース

脈の乱れが一時的ではなく、体の不調を伴う場合は放置せず、早めの受診が推奨されます。
以下のような症状がある場合は、心臓や循環器のトラブルが関係している可能性もあります。

• 胸痛や胸の圧迫感を伴う

• 息切れ・めまい・ふらつき・冷や汗がある

• 頻繁に脈が乱れる・長時間続く

• 安静にしていても脈の乱れが止まらない

• 家族に心臓病や不整脈の既往がある

これらの症状がある場合、心房細動や心室性期外収縮などの不整脈が背景にある可能性があります。
放置すると、血栓（血の塊）ができて脳梗塞などのリスクを高めることもあるため、早期の検査が大切です。

特に、「脈の乱れ＋胸の違和感」が同時に起きる場合は、救急外来や循環器内科をすぐに受診しましょう。

何科を受診すべき？

「脈が飛ぶ」「心臓がドキッとする」といった症状がある場合は、**まずは「循環器内科」**の受診がおすすめです。
循環器内科では、以下のような検査で原因を詳しく調べることができます。

• 心電図検査：脈の乱れや不整脈の有無をチェック

• ホルター心電図（24時間心電図）：一日の脈の変化を記録

• 血液検査：甲状腺や貧血などの全身的な要因を確認

• 心エコー（超音波）検査：心臓の動きや構造に異常がないかを調べる

また、原因がストレスや自律神経の乱れによるものであれば、内科や心療内科の併用も検討されます。
「どこへ行けばいいかわからない」ときは、まずかかりつけ医や一般内科で相談し、必要に応じて循環器専門医を紹介してもらうとスムーズです。

 

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セルフチェック＆対処法

自宅でできる脈のチェック方法

「脈が飛ぶ」感覚があるときは、自分の脈を実際に測ってみることで状態を確認できます。
特別な機器がなくても、手首の内側で脈を触れて測るだけでOKです。

基本の測り方

1. 手のひらを上にして、反対の手の人差し指・中指・薬指の3本を手首の内側（親指側）に当てる。

2. 軽く押して脈拍を感じたら、30秒間カウントする。

3. 数を2倍すれば、1分あたりのおおよその脈拍数になります。

このとき、

• 「一定のリズムで打っているか」

• 「ときどき抜ける感じがあるか」
  を意識して観察しましょう。

もし、不規則なリズムが続く・頻繁に途切れるようなら、スマートウォッチや血圧計などで記録を取り、受診時に医師に伝えると診断の助けになります。

生活習慣の見直しポイント

脈の乱れを整えるには、心臓への負担を減らす生活習慣が大切です。
以下のポイントを意識することで、自然とリズムの安定につながります。

• 💤 睡眠：1日6〜7時間を目安に、就寝・起床時間を一定にする

• 🍽️ 食事：塩分・脂質を控えめにし、鉄分・ビタミンB群・マグネシウムを意識して摂取

• ☕ カフェイン：コーヒー・緑茶・エナジードリンクの過剰摂取を避ける

• 🚭 喫煙：ニコチンは血管を収縮させ、脈の乱れを悪化させる

• 😌 ストレス管理：深呼吸、軽いストレッチ、ぬるめの入浴などで自律神経を整える

「脈が飛ぶ」感覚は、心と体のバランスの乱れが反映されていることも多いもの。
毎日のリズムを少し整えるだけでも、症状が軽くなるケースは少なくありません。

症状を記録しておくと診察がスムーズ

病院を受診するときに役立つのが、症状の記録メモです。
「脈が飛ぶ」症状は一瞬でおさまることが多いため、診察時には再現できないケースもあります。
そのため、次のような内容をメモしておくと、医師が原因を特定しやすくなります。

記録のポイント

• いつ（日時・時間帯）

• どんな時（運動中・安静時・緊張時など）

• どれくらいの頻度（1日に何回・週に何度）

• どんな症状を伴ったか（息切れ・めまい・胸の痛みなど）

• 直前の行動（カフェイン摂取・寝不足・ストレスなど）

これらをスマホのメモや健康アプリに残しておくと便利です。
医師はこうした記録から、必要な検査（心電図・ホルター心電図など）を判断します。

 

まとめ｜「脈が飛ぶ感覚」は体のサイン。無理せず受診を検討して

脈が一瞬「飛ぶ」「抜ける」といった感覚は、一時的な不整脈（期外収縮）によるもので、多くの人に見られる生理的な現象です。
疲れやストレス、カフェインの摂りすぎなどが原因のこともあり、休息をとれば自然におさまるケースも少なくありません。

しかし、

• 頻繁に起こる

• 息苦しさ・胸の痛み・めまいを伴う

• リズムの乱れが長く続く
  といった場合は、心臓や自律神経の異常が隠れている可能性があります。

体が発している小さなサインを「気のせい」と決めつけず、まずは自分の体調を観察し、必要に応じて循環器内科などの専門医に相談してみましょう。

早めに原因を知ることで、安心できるだけでなく、重大な疾患の予防にもつながります。
「最近、脈が気になる…」と感じたら、それは体からの“早めの受診サイン”かもしれません。

 

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