日本語の面白いオノマトペ一覧|聞くだけで情景が浮かぶ“音のことば”集
「ドキドキ」「ワクワク」「ザーザー」「サクサク」──
私たちが何気なく使っている“音のことば”=オノマトペ。
聞くだけで情景が浮かんだり、気持ちが伝わったり…実は、日本語には世界でも珍しいほど豊かなオノマトペ文化があるんです。
この記事では、「面白い!」「使ってみたい!」と思える日本語のオノマトペをジャンル別にご紹介。
さらに、オノマトペが心に響く理由や、日本語ならではの魅力についてもわかりやすく解説します。
ことばに触れるのが楽しくなる、そんな“感覚の旅”へようこそ。
そもそも「オノマトペ」とは?
「オノマトペ(onomatopoeia)」とは、音や動き、感情などを音で表現する言葉のこと。
「ザーザー」「ドキドキ」「ワクワク」など、聞くだけで情景や気持ちがふっと浮かぶ――そんな不思議で面白い言葉たちが、日本語にはたくさんあります。
たとえば雨の音を表す「ザーザー」は、まるで耳で雨を感じるよう。心臓の鼓動を表す「ドキドキ」も、読むだけで緊張感が伝わってきますよね。
言葉なのに、音や気配が伝わる。
それがオノマトペの最大の魅力です。
オノマトペ=「音を真似た言葉」+「様子を表す言葉」
オノマトペには、大きく分けて2つのタイプがあります。
① 擬音語(ぎおんご)=音をまねた言葉
→ 例:「ドンドン」「ゴロゴロ」「キーン」
音や声、物音をそのまま模倣したもの。耳で聞こえる音を言葉にしたイメージです。
② 擬態語(ぎたいご)=音はないけど様子を表す言葉
→ 例:「ふわふわ」「キラキラ」「イライラ」
実際に音はしないのに、見た目・状態・心の動きなどの“感じ”を音で表現するタイプ。日本語特有の面白さが詰まっています。
どちらも、「言葉だけで感覚や情景を伝える」という日本語の高度な表現力を支えている存在です。
日本語がオノマトペ大国といわれる理由
実は、日本語は世界でも珍しいほどオノマトペが豊富な言語です。
-
他言語に比べて、日常会話での使用頻度が圧倒的に高い
-
文法上、名詞や形容詞のように自然に組み込める
-
「ゴロゴロ」ひとつで、“雷の音”“寝転がっている様子”“お腹が鳴る音”など、文脈次第で意味が広がる柔軟さもある
このように、日本語のオノマトペは、単なる音まねにとどまらず、心の動きや身体感覚まで伝えることができるのです。
さらに、マンガやアニメ文化の影響で、日本のオノマトペは海外でも知られるようになっています。「ドーン!」「キュン♡」など、感情やアクションの描写に欠かせない存在です。
聞くだけでイメージが広がる!面白いオノマトペ一覧
日本語のオノマトペは、ただの擬音語・擬態語ではありません。
**耳で聞くだけで情景が浮かび、感情まで伝わる「感覚の言葉」**なのです。
ここでは、ジャンル別に“使いたくなるオノマトペ”をわかりやすくご紹介します。
自然の音を表すオノマトペ(ザーザー/ゴロゴロ など)
自然の音を表すオノマトペは、耳で風景を感じさせる力があります。
-
ザーザー:激しい雨が降る音。
例)「外はザーザー降りの大雨だった」 -
ゴロゴロ:雷の音、または大きなものが転がる音。
例)「雷がゴロゴロ鳴りはじめた」
ほかにも「ピューピュー(風)」「カチカチ(氷が割れる)」など、
自然のリズムをそのまま音で表現しているのが特徴です。
動きや感触のオノマトペ(ツルツル/ドタバタ など)
手触りや動きの様子を言葉にできるのは、日本語ならではの面白さです。
-
ツルツル:滑らかでなめらかな感触。
例)「この麺、ツルツルしてておいしい!」 -
ドタバタ:大きな音を立てて忙しく動く様子。
例)「朝の出勤前はいつもドタバタしている」
視覚や触覚に頼らず、音で“質感”まで再現するのが魅力です。
気持ちや心の動きを表すオノマトペ(ドキドキ/イライラ など)
心の中の“見えない感情”も、オノマトペならしっかり伝えられます。
-
ドキドキ:緊張や期待で胸が高鳴る状態。
例)「初デートでドキドキが止まらない」 -
イライラ:ストレスや焦りで気持ちが落ち着かない様子。
例)「渋滞でイライラしてしまった」
感情の波を音で表現できるのは、日本語のすごいところです。
食べ物の様子や味を表すオノマトペ(サクサク/トロトロ など)
日本語の食レポは、オノマトペなしでは成り立ちません!
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サクサク:軽くて歯ごたえの良い食感。
例)「この天ぷら、サクサクで絶品!」 -
トロトロ:とろけるようにやわらかい状態。
例)「トロトロの卵がご飯にからんで最高」
食感や温度、口当たりなど、五感を通じて味覚を描写できる表現が豊富です。
人の様子・性格を表すオノマトペ(ニコニコ/うじうじ など)
人物描写もオノマトペが入ると、一気にイメージが鮮やかになります。
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ニコニコ:笑顔で機嫌のいい様子。
例)「彼はいつもニコニコしていて話しやすい」 -
うじうじ:迷いや悩みで決断できない様子。
例)「うじうじしないで、前に進もうよ」
その人の“雰囲気”や“内面”までも、音で伝える表現力は日本語ならではです。
オノマトペが面白い理由とは?
オノマトペは、単なる「擬音語」「擬態語」にとどまりません。
そこには、日本語らしい表現の柔軟さと、感覚や感情を分かち合う力が隠されています。
聞いただけで情景が浮かぶ
読むだけで心が動く
――そんなオノマトペの“面白さの理由”を、3つに分けて解説します。
感覚をそのまま伝えられる「感覚共有力」
オノマトペ最大の魅力は、自分の感じたことを、ほぼそのまま他人に伝えられる点にあります。
たとえば──
-
熱いお風呂に入ったときの「アチチッ!」
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胸が高鳴る瞬間の「ドキドキ」
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静けさの中の「シーン…」
これらの言葉を使うだけで、「今この人は、こう感じてるんだな」と相手も自然に感覚を共有できるのです。
つまりオノマトペは、共感を生む言葉。
言葉にしにくい「感覚」や「気持ち」を、音でわかち合えるところに面白さがあります。
擬音・擬態が生む、表現のバリエーション
オノマトペは、同じ意味でも言葉の選び方次第でニュアンスががらりと変わります。
たとえば、「歩く」ひとつでも──
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トボトボ:元気がなく、足取りが重い
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スタスタ:迷いなく早足で進む
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ヨチヨチ:赤ちゃんのように不安定に歩く
このように、動作の“スピード・気持ち・年齢感”までも表現可能。
オノマトペは名詞・動詞・形容詞では伝えきれない微妙なニュアンスを補う力を持っています。
だからこそ、小説やマンガなどでも、感情描写や場面展開に欠かせない存在となっているのです。
子どもにも外国人にも伝わりやすい「音の力」
オノマトペは、言葉の習得がまだ浅い人にも伝わりやすいのが大きな特長です。
たとえば──
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赤ちゃんに「アチチ」「ゴロン」「ワンワン」などと教えると、感覚で覚えやすい
-
日本語初心者の外国人にも「サラサラ」「ドキドキ」などは感覚で理解されやすい
つまり、オノマトペは**“感覚ベースの直感的なコミュニケーションツール”**なのです。
文法や語彙を知らなくても、「この音、なんとなくわかる!」という反応が生まれる。
音そのものに“伝える力”があるからこそ、言語の壁を越えて人と人をつなげてくれるのです。
日本語ならではのオノマトペの魅力
オノマトペはどの言語にもありますが、日本語のオノマトペは、量・質ともに群を抜いて豊かです。
それは単に音をまねるだけでなく、感情や情景、詩情までも音で描く文化があるから。
この章では、「日本語だけの美しさ」を感じられるオノマトペの魅力を3つの視点から紹介します。
英語にはない?日本語独特の豊かさ
英語にも“擬音語”はありますが、日本語のような「擬態語」は非常に少ないのが特徴です。
例えば、日本語では──
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キラキラ(光がきれいに輝く)
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ムカムカ(怒りや吐き気の感覚)
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しっとり(落ち着いた雰囲気や肌のうるおい)
これらは「音がしない感覚・状態・心の動き」なのに、音で表現されます。
一方、英語では同じニュアンスを表すには複数の単語や説明が必要になりがちです。
つまり、日本語のオノマトペはひと言で“世界観”を伝える力があるのです。
この表現の密度こそが、日本語の奥深さであり、他言語にはない独特の魅力なのです。
“音”だけで心が動く、日本語の詩的な美しさ
日本語のオノマトペには、ただの「音真似」ではない情緒や詩情を感じさせる美しさがあります。
たとえば──
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ポタポタ:水が落ちる静かな音 → 静寂と切なさを感じる
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ふわふわ:軽さやあたたかさ → 安らぎや幸福感を連想
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コツコツ:地道に続ける音 → 努力や誠実さがにじみ出る
このように、日本語のオノマトペは感覚だけでなく、感情まで動かす力をもっているのです。
まさに、“音”が“詩”になっている。
日常の中に詩的な美しさを取り入れられるのも、日本語オノマトペの魅力です。
小説やマンガで活躍する、名脇役たち
小説やマンガを読んでいて、「このシーン、オノマトペが効いてるな」と感じたことはありませんか?
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バタンッ! → ドアが激しく閉まる音、登場人物の感情の余韻を演出
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ズーン… → 重苦しい空気が場面を支配
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キュン♡ → 恋心が芽生えた瞬間の高揚感
こうした表現は、セリフやナレーションでは届かない感覚を補い、世界観を完成させてくれるものです。
とくに日本のマンガ文化では、「音の演出」としてのオノマトペが画面の一部となり、感情に直接訴えかける重要な要素になっています。
つまりオノマトペは、主役ではないけれど“物語の空気”を支える名脇役。
読者の心を動かす、その力を静かに発揮しているのです。
まとめ|オノマトペで日常の表現がもっと楽しくなる
オノマトペは、ただ面白いだけの言葉ではありません。
あなたの感覚・気持ち・思いを、もっと豊かに、もっとリアルに伝えてくれる魔法の表現です。
難しい知識やトレーニングは不要。
日々の暮らしの中で「感じること」を大切にすれば、自然とオノマトペの世界に親しめるようになります。
ここでは、日常でオノマトペをもっと楽しむためのヒントをお伝えします。
まずは「聞く・感じる」ことから始めよう
オノマトペを使いこなす第一歩は、“耳と心”をひらくことです。
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雨の音が「ポツポツ」なのか「ザーザー」なのか
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猫の歩く音は「トコトコ」か「スーッ」か
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心の動きは「モヤモヤ」?「ワクワク」?
このように、身の回りの音や感覚を“音のことば”に置き換えてみるだけで、日常がぐっと鮮やかになります。
最初は難しく考えず、「聞いて感じて楽しむ」ことが何よりの近道です。
オノマトペを意識すると、語彙も感性も豊かになる
オノマトペを知っていると、「なんかこう…アレな感じ」を具体的に言葉で伝えることができるようになります。
たとえば──
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「雨がうるさい」→「ザーザー降っててにぎやか」
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「お菓子がおいしい」→「サクサクでやみつきになる!」
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「気まずい空気」→「シーン…とした重たい雰囲気」
このように、感覚を具体化する力がつく=語彙も感性も広がるのです。
文章表現を豊かにしたい人、子どもや外国人にやさしく伝えたい人にも、オノマトペはとても役立ちます。
“音のことば”で、伝えたい気持ちがもっと伝わる
「なんて言えばいいか、うまく説明できない…」
そんなとき、オノマトペはあなたの味方になってくれます。
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「キュンとした」
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「ドタバタしてたけど、ニコニコで終われた」
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「ちょっとモヤモヤしてる…」
こうした言葉は、感情をそのまま“音”にのせて届ける手段になります。
つまり、オノマトペを使えば、相手の心にやさしく届く表現が自然とできるのです。
“音のことば”は、感情を「共感」に変える力を持っています。
日常のちょっとした場面にも、ぜひ気軽に取り入れてみてくださいね。


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