下痢のときに食べていいもの・ダメなものとは?医師監修の正しい食事法
下痢のときに食べていいもの・ダメなものとは?
体調がすぐれないときほど、何を食べるべきか悩みますよね。実は、下痢のときに口にする食べ物によって、症状が改善することもあれば、悪化してしまうこともあります。間違った食事選びは、回復を遅らせる原因にもなりかねません。
本記事では、下痢のときに食べていいもの・避けるべきものを医療的な観点からわかりやすく解説します。やわらかく消化に良い食品、控えるべき飲み物や食材、さらには症状の原因別におすすめの食事内容も紹介。体調を整える正しい食事の知識を身につけて、早期回復を目指しましょう。
下痢のときに食事が重要な理由
なぜ下痢中に食事内容を見直す必要があるのか
下痢のときは「とにかく食べないほうがいい」と思ってしまいがちですが、実は正しい食事管理こそが回復への近道です。下痢は腸内環境が乱れている状態であり、体に不要なものを排出しようとする防御反応でもあります。このとき、消化に負担をかけない食事を選ぶことで腸を休ませることができ、症状の悪化を防ぐことができます。
また、何を食べるかによって、腸内の炎症を和らげたり、水分吸収を助けたりする働きも期待できます。逆に、刺激の強い食べ物や消化に悪いものを摂ると、症状が長引いたり悪化することもあるため、下痢時の食事内容の見直しは非常に重要なのです。
脱水症状や栄養不足のリスク
下痢が続くと、体内の水分や電解質(ナトリウム・カリウムなど)が大量に失われやすく、脱水症状を引き起こすリスクがあります。特に子どもや高齢者は脱水になりやすく、注意が必要です。めまい、口の渇き、尿量の減少などが見られる場合は、すでに脱水が進行している可能性があります。
また、水分だけでなく、必要な栄養素も吸収されにくくなっている状態です。食事を全く摂らないとエネルギー不足に陥り、体力が落ちてしまいます。これが免疫力の低下につながり、回復をさらに遅らせる要因となります。
だからこそ、下痢のときには「水分補給+体にやさしい栄養補給」がセットで必要なのです。おかゆや煮野菜など、腸に負担をかけずに必要な水分・栄養を補える食品を選ぶことが大切です。
下痢のときに食べていいもの【消化に優しい食品】
下痢のときは、腸に負担をかけず、体力を補える食事を選ぶことが大切です。ここでは、医師や栄養士も推奨する「下痢のときに食べていいもの」を具体的に紹介します。
おかゆ・うどん・パン(白米や小麦製品)
おかゆや柔らかいうどん、白いパンなどの精製された穀類は、下痢のときに最も安心して食べられる食品です。これらは消化が良く、胃腸への刺激が少ないため、腸内の回復を助けます。
玄米や全粒粉パンなどは栄養価が高い反面、食物繊維が多すぎて腸に刺激を与える場合があるため避けるのがベターです。まずはプレーンなおかゆや、だしのみで煮たうどんから少しずつ摂りましょう。
にんじん・じゃがいもなどの加熱野菜
下痢時には生野菜よりも加熱した野菜がおすすめです。特ににんじんやじゃがいも、かぼちゃなどは、食物繊維がやわらかくなり、腸の調子を整える効果が期待できます。
にんじんに含まれるペクチン(食物繊維の一種)は整腸作用があり、下痢の改善をサポートします。ゆでたり、スープにして摂ることで消化もさらにしやすくなります。
バナナ・りんご(すりおろしがおすすめ)
果物の中では、バナナとりんごが下痢のときに食べていいものの代表格です。特にバナナはカリウムが豊富で、下痢によって失われがちな電解質の補給にも効果的です。
りんごには整腸作用のあるペクチンが含まれており、すりおろすことで吸収しやすくなります。ただし、冷たいまま食べると胃腸を冷やす可能性があるため、常温で食べるのがおすすめです。
ヨーグルト(乳酸菌の効果に注目)
ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、腸内環境を整える働きがあります。下痢の原因が腸内の悪玉菌の増殖である場合、善玉菌を増やすことで自然な回復を促すことができます。
ただし、乳製品が合わない人や乳糖不耐症の場合は逆に下痢を悪化させる可能性があるため、プレーンタイプを少量から試し、自分の体調と相談しながら摂取しましょう。
水・経口補水液・薄いお茶などの飲み物
下痢のときは、体内の水分やミネラルが急激に失われるため、水分補給が最優先です。おすすめは、経口補水液(ORS)やミネラルを含んだスポーツドリンク、白湯や麦茶などのカフェインレス飲料です。
カフェイン入りのコーヒーや緑茶、アルコールは腸を刺激するためNG。水分補給は少量ずつ、こまめに行うのがコツです。特に経口補水液は、重度の脱水予防にも役立ちます。
下痢のときに避けるべき食べ物・飲み物
下痢の症状を悪化させないためには、「何を避けるか」が非常に重要です。ここでは、下痢のときに避けるべき代表的な食品・飲料とその理由を詳しく解説します。
脂っこい料理(揚げ物・ラーメンなど)
脂っこい食事は消化に時間がかかり、腸に大きな負担をかけるため、下痢のときは絶対に避けたい食品のひとつです。揚げ物やこってり系ラーメン、焼き肉、バターや油を多く使った料理は、腸の働きを乱し、下痢を長引かせる原因になります。
特に、動物性脂肪を多く含む食品は、腸内の炎症を悪化させることもあるため、回復するまでは控えましょう。
乳製品(牛乳・チーズなど)
下痢のときに牛乳やチーズといった乳製品を摂取すると、症状が悪化することがあります。これは「乳糖不耐症」と呼ばれる状態が一時的に起こりやすくなっており、乳糖をうまく消化・吸収できないためです。
結果として、ガスが溜まったり、腸の動きが過剰になってさらに下痢がひどくなることも。乳製品は下痢が完全に治るまで控えるのが無難です。
冷たい飲み物・炭酸飲料・アルコール
冷たい飲み物は胃腸を冷やし、腸の働きを低下させるため、下痢が悪化する恐れがあります。また、炭酸飲料に含まれる糖分やガス、アルコールは腸に強い刺激を与えるため、症状が治まるまでは避けるべきです。
特にアルコールは脱水症状を助長する危険性があるため、下痢時の摂取は厳禁です。飲み物は常温の水、白湯、経口補水液などが最適です。
刺激物(香辛料、カフェイン)
カレー、唐辛子、わさびなどの辛味や香辛料の強い食べ物は、腸を刺激しやすく、下痢の症状を悪化させる可能性があります。コーヒーや緑茶に含まれるカフェインも、腸の運動を活発にしすぎるため避けたほうが無難です。
回復を早めるためには、できるだけ味付けは薄く、香辛料は控えめにするのが鉄則です。
食物繊維が多すぎる野菜・果物
一見ヘルシーに思える食物繊維ですが、下痢のときに多量に摂取すると、かえって腸を刺激してしまいます。特にキャベツ、セロリ、ごぼう、豆類、柿などの不溶性食物繊維を含む食品は注意が必要です。
これらの食品は腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にするため、症状が悪化するケースも少なくありません。回復するまでは、やわらかく加熱した根菜やペクチンを含む果物(りんご・バナナなど)を選びましょう。
下痢の種類別|適した食べ物とNGな食べ物
下痢と一口に言っても、原因によって適した食事は異なります。誤った食事をとると症状が悪化することもあるため、自分の下痢のタイプに合った食事選びが重要です。ここでは、主な3タイプに分けて「食べていいもの・避けるべきもの」を紹介します。
ウイルス性下痢の場合
ノロウイルスやロタウイルスなどによるウイルス性下痢は、発熱や吐き気を伴うことも多く、脱水症状を防ぐ水分補給が最優先です。初期は無理に食べず、経口補水液などで水分・電解質を補うことが基本となります。
【食べていいもの】
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おかゆ、重湯
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やわらかく煮たにんじんやじゃがいも
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バナナ、すりおろしりんご
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経口補水液、常温の水・麦茶
【避けるべきもの】
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生もの、刺身、乳製品
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揚げ物や脂質の多い食品
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冷たい飲み物やジュース、アルコール
腸が落ち着いてきたら、少しずつ消化のよい食事をとり、整腸作用のある食品(ヨーグルトなど)は回復期に取り入れるのが良いでしょう。
ストレス性・過敏性腸症候群の場合
ストレスや自律神経の乱れが原因で起こる下痢の場合、精神的なケアとともに、腸にやさしい食事を継続することが大切です。刺激の強い食べ物やカフェインは症状を悪化させるため避けましょう。
【食べていいもの】
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消化の良い白米、うどん
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温野菜(にんじん・大根・かぼちゃ)
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白身魚、豆腐
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ノンカフェインの飲み物(麦茶・白湯)
【避けるべきもの】
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カフェイン、アルコール
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香辛料の強い食事(カレー・辛味料理)
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食物繊維が多すぎる生野菜
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揚げ物、チョコレートなど脂質が多いもの
心身のバランスを保ちつつ、腸に負担をかけない食事を習慣化することがポイントです。
食あたり・細菌性下痢の場合
**傷んだ食品や細菌が原因で発症する食あたり(細菌性下痢)**では、腸の中にいる原因菌を早く排出することが優先されるため、発症初期は食事を控えることが基本です。
【食べていいもの(回復期)】
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おかゆ、うどんなど消化のよい炭水化物
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にんじんスープやポタージュ
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バナナやすりおろしたりんご
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経口補水液、水分補給を重視
【避けるべきもの】
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生肉・生卵・加熱不十分な料理
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乳製品、油っぽい食品
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刺激の強い食品、冷たい飲み物
原因菌を排出した後は、腸を休ませながら少しずつ通常食に戻すことが大切です。抗生物質を使用している場合は、乳酸菌の摂取も回復をサポートします。
こんなときは病院へ!受診の目安と注意点
下痢は多くの場合、自然に治まりますが、症状や体調によっては医療機関を受診すべきケースもあります。放置すると重篤な病気の見逃しや脱水につながることも。本項では、「どんな下痢なら病院に行くべきか?」を具体的に解説します。
高熱・血便・激しい腹痛がある場合
もし下痢とともに38.5℃以上の高熱や、血便・黒色便(タール便)・激しい腹痛がある場合は、速やかに受診が必要です。
これらの症状は、
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腸管出血性大腸菌(O157)
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細菌性腸炎
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潰瘍性大腸炎やクローン病などの腸疾患 など、重篤な感染症や消化器疾患が関係している可能性があります。
特に血便や強い腹痛がある場合は、自己判断で市販薬を使うと症状を悪化させるリスクもあるため注意が必要です。
3日以上続く慢性的な下痢
一時的な下痢は心配いりませんが、3日以上にわたって下痢が続く場合や、繰り返し起こる慢性的な下痢も受診の対象です。
考えられる原因には、
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過敏性腸症候群(IBS)
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慢性腸炎
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食物アレルギー
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薬剤性の下痢(抗生物質など)
などがあり、専門的な診断が必要になるケースが多いです。とくに水のような下痢が長く続いている場合は、体力の低下や脱水リスクが高まるため早めに医師の判断を仰ぎましょう。
子どもや高齢者の下痢は特に注意
子ども(特に乳幼児)や高齢者が下痢をすると、急速に脱水症状を引き起こす可能性があり、特に注意が必要です。
以下のような症状があれば、すぐに受診しましょう:
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元気がない・ぐったりしている
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尿の量が極端に少ない
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泣いても涙が出ない(乳幼児)
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唇が乾いている、皮膚のハリがない
これらは脱水が進行しているサインです。また、高齢者はもともと腸の機能が弱く、感染や慢性疾患の影響を受けやすいため、軽い症状でも念のため医療機関で相談することが望ましいです。
このように、「ただの下痢」でも、症状や体調次第では医師の診察が不可欠な場合があります。受診すべきタイミングを見極めることが、重症化を防ぐ大切なポイントです。
下痢を早く治すための食事以外のポイント
下痢の改善には食事の見直しが大切ですが、それだけでは不十分な場合もあります。**生活習慣や薬の使い方など、食事以外にも気をつけたいポイントがいくつかあります。**ここでは、下痢の早期回復に役立つ具体的な対策を紹介します。
ストレスを溜めない生活
意外かもしれませんが、ストレスは腸に直接影響を与える大きな要因のひとつです。過度なプレッシャーや不安、睡眠不足が続くと、自律神経が乱れ、腸の働きも不安定になりやすくなります。
とくに過敏性腸症候群(IBS)など、ストレス性の下痢では心のケアが非常に重要です。
【対策のポイント】
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睡眠をしっかり確保する(7〜8時間)
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適度な運動や散歩でリラックス
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呼吸法やストレッチで自律神経を整える
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スマホ・PCの使用時間を見直す(目と脳を休める)
腸は「第二の脳」とも呼ばれており、**メンタルと密接な関係があります。**日々の小さなストレスを軽減することが、下痢の再発予防にもつながります。
整腸剤や市販薬の活用法
食事と合わせて、整腸剤や市販の下痢止め薬を適切に活用することで、症状の緩和を早めることができます。
【整腸剤の役割】
整腸剤は善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌)を補い、腸内環境を整える作用があります。抗生物質などで腸内バランスが乱れているときにも有効です。
【市販薬の注意点】
一方で、下痢止め(ロペラミドなど)は一時的に症状を抑える目的で使用しますが、ウイルス性や細菌性の下痢には逆効果となることがあるため注意が必要です。体に不要な菌やウイルスを排出できなくなってしまうからです。
市販薬を使う場合は、症状が軽度で原因がはっきりしているときに限定し、長引く場合や発熱・血便がある場合は必ず医師に相談しましょう。
食事を少量ずつ・ゆっくり摂る工夫
どんなに消化に良い食材でも、**食べ方が乱れていれば腸に負担がかかります。**下痢の回復期には、少量ずつ、ゆっくり時間をかけて食べることがとても大切です。
【実践ポイント】
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一度にたくさん食べず、1日4〜5回に分けて食べる
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よく噛んで飲み込み、胃腸に負担をかけない
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熱すぎる・冷たすぎるものは避ける
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食後すぐに横にならず、30分は座って休む
このように、“何を食べるか”だけでなく、“どう食べるか”にも注意することで、腸の回復をしっかりサポートできます。
まとめ|体調に合わせた食事で下痢を悪化させない
下痢のときは、「とにかく早く治したい」と思うあまり、つい普段通りに食べたり、逆に何も食べなかったりと極端な対応をしてしまいがちです。しかし、症状や原因に合った適切な食事管理こそが、回復への近道です。
本記事で紹介したように、
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消化に優しいおかゆや加熱野菜を中心にした「腸にやさしい食事」
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脂っこい物や刺激物、冷たい飲み物などの「避けるべき食品」
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ウイルス性・ストレス性・食あたりなど下痢の種類別の対応
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生活習慣や整腸剤など、食事以外の工夫
これらをバランスよく取り入れることで、症状の悪化を防ぎ、自然な回復をサポートできます。
特に子どもや高齢者、慢性的な下痢が続いている方は、自己判断せず医師に相談することも大切です。
症状が軽いうちから体調を意識した食事を心がけることで、腸内環境も整い、再発予防にもつながります。
無理なく続けられる食習慣を見直し、体の中から整えていきましょう。


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