「おっしゃられる」は正しい敬語？実は間違い！二重敬語の注意点と正しい使い方を解説

Posted on 2025年6月8日

カテゴリ：仕事のコツとヒント

「おっしゃられる」という表現、よく耳にしませんか？
一見とても丁寧で正しく思えますが、実はこれ、誤った二重敬語なんです。
敬語は社会人として欠かせないスキルですが、「丁寧にしよう」と思うあまり間違えてしまうことも多いもの。

この記事では、「おっしゃられる」はなぜ間違いなのか、正しい言い換え方、そして自然に敬語を使うためのコツまで、わかりやすく解説します。
一度覚えれば一生使える敬語の知識を、ぜひこの機会に身につけましょう。

そもそも敬語とは？敬語の基本をおさらい

敬語は、相手との人間関係や社会的な立場を表現するための日本語の重要な要素です。ビジネスシーンはもちろん、日常会話や接客対応など、あらゆる場面で必要とされます。しかし、正しく使うのが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか？

特に混乱しやすいのが「敬語の種類」や「使い分け」。ここではまず、敬語の基本をおさらいし、正しい理解の土台をつくりましょう。

敬語の3つの種類（尊敬語・謙譲語・丁寧語）

敬語には、大きく分けて以下の3種類があります。それぞれの役割を理解しておくことが、自然で正しい敬語を使う第一歩です。

1. 尊敬語

相手の動作や存在に対して敬意を表す言葉です。
例：

行く → いらっしゃる
言う → おっしゃる
見る → ご覧になる

尊敬語は「相手」を高める表現であり、自分自身に使うのは不適切です。

2. 謙譲語

自分や身内の動作をへりくだって表現することで、相手を立てる言葉です。
例：

行く → 参る
言う → 申し上げる
聞く → うかがう

謙譲語は「自分を低くする」ことで間接的に相手を敬う表現です。

3. 丁寧語

話し全体を丁寧にする言葉で、文末の「〜です」「〜ます」などが該当します。
例：

行きます
食べました
ありがとうございます

丁寧語は誰に対しても使える基本表現ですが、尊敬語・謙譲語とは機能が異なります。

混乱しやすい敬語の特徴とは

敬語が難しいと感じる理由のひとつは、「敬語同士の使い分けが曖昧になりやすい」点にあります。以下のようなケースで混乱が起こりがちです。

■ 尊敬語と謙譲語の混同

「おっしゃいました」と「申し上げました」はどちらも丁寧に聞こえますが、使い分けを間違えると相手に失礼になる場合もあります。

正：部長がおっしゃいました（尊敬語）
誤：部長が申し上げました（謙譲語 → 自分側の動作にしか使えない）

■ 二重敬語になりやすい

「おっしゃられる」「ご覧になられる」など、敬語を重ねすぎると逆に不自然で、場合によっては間違った日本語とされてしまいます。

■ 敬語＋丁寧語の誤解

「おっしゃいますか？」など、尊敬語に丁寧語をつけた形は正しいですが、「丁寧にすれば敬語になる」と誤解していると、正しく使い分けるのが難しくなります。

正しい敬語は、ただ丁寧に話せばいいというものではありません。相手と自分の関係性を意識し、それに応じた種類の敬語を使い分けることが大切です。次章では、「おっしゃられる」はなぜ誤用なのか、具体的に解説していきます。

「おっしゃられる」は正しい敬語？

日常会話やビジネスメールで「○○とおっしゃられました」などの表現を見かけることはありませんか？一見とても丁寧で正しい日本語に思えるこの表現、実は「敬語として間違い」とされるケースが多くあります。

ここでは、なぜ「おっしゃられる」が誤用なのか、その理由と正しい言い方について詳しく解説していきます。

よく使われるけれど…「おっしゃられる」は実は誤用

「おっしゃられる」は、相手を立てようという気持ちから丁寧に話そうとして生まれる言い回しです。しかし、敬語としては誤りとされています。

なぜなら、「おっしゃる」自体がすでに尊敬語であるため、そこにさらに「られる（尊敬の補助動詞）」を付け足すと、**敬語が重複する『二重敬語』**になってしまうからです。

● 誤った例：

社長がそうおっしゃられました。

この表現は、敬意を二重に重ねているため不自然とされ、国語辞典やビジネスマナーの書籍でも「避けるべき表現」として紹介されています。

● 正しい例：

社長がそうおっしゃいました。
社長がそうおっしゃっていました。

「おっしゃる」だけで十分に相手への敬意が伝わります。

「おっしゃる」と「言われる」の違い

「おっしゃる」も「言われる」も「言う」の丁寧な表現のように見えますが、使い方には明確な違いがあります。

■ おっしゃる（尊敬語）

「言う」の尊敬語。目上の人が何かを話したときに使います。

例：先生が「頑張ってください」とおっしゃいました。

■ 言われる（受け身または尊敬の補助動詞）

「言う」の受け身形としても使われますが、関西圏など一部では「言う」の尊敬語としても用いられます。

ただし、標準語において「言われる」を尊敬語として使うのは注意が必要です。特に「おっしゃる」と「言われる」を同時に使った「おっしゃられる」は二重敬語となるため避けるべきです。

なぜ「おっしゃられる」は二重敬語になるのか

「おっしゃられる」が二重敬語とされる理由は、すでに敬語である「おっしゃる」に、さらに敬意を表す補助動詞「られる」が付いているからです。

【構造の解説】

「言う」 → 尊敬語：「おっしゃる」
「おっしゃる」＋補助尊敬「られる」 →「おっしゃられる」

このように、同じ種類の敬語（尊敬語）を2つ重ねると、かえって不自然な言い回しになるのです。

■ 二重敬語の問題点

文章がまわりくどくなり、聞き手に違和感を与える
「正しく丁寧に話していない」と受け取られる可能性がある
公的文書やビジネス文章では誤用とされることがある

まとめ：「おっしゃる」はそれ単体で完結した尊敬表現です。そこに「られる」などを重ねる必要はなく、むしろ避けたほうが自然で正確な敬語になります。正しく丁寧な表現を心がけるためにも、「おっしゃられる」は使わず、「おっしゃる」を使うようにしましょう。

二重敬語とは？間違えやすい例と理由

敬語を丁寧に使おうとするあまり、逆に「やりすぎ」で不自然な表現になってしまうことがあります。それが「二重敬語」です。
聞き慣れている表現でも、実は正しくないものがたくさん存在します。

ここでは、「二重敬語」の意味や、間違えやすい例、そして自然に敬語を使うためのコツをご紹介します。

二重敬語の定義と例

二重敬語とは、「すでに敬語である語に、同じ種類の敬語を重ねて使うことで、意味が重複してしまう表現」のことです。
特に尊敬語＋尊敬語や謙譲語＋謙譲語の組み合わせが多く見られます。

■ 具体例：

「おっしゃられる」
　→ 「おっしゃる」も「られる」も尊敬語 ⇒ 二重敬語
「ご覧になられる」
　→ 「ご覧になる」＋「られる」 ⇒ 二重敬語

これらは一見、丁寧で間違いないように感じますが、実際は過剰な表現になっており、ビジネス文書やフォーマルな場では「誤り」とされる場合があります。

よくある間違い表現一覧（「ご覧になられる」「お召し上がりになられる」など）

以下は、誤用として注意が必要な二重敬語の代表例です。多くは「尊敬語＋尊敬補助動詞」の形になっています。

誤用表現	正しい表現
おっしゃられる	おっしゃる
ご覧になられる	ご覧になる
お召し上がりになられる	お召し上がる
お帰りになられる	お帰りになる
お越しになられる	お越しになる
お話しになられる	お話しになる

これらの表現は、特にメールや敬語を意識する場面でありがちなミスです。意図は丁寧でも、形式としては正しくないため注意しましょう。

自然で正しい敬語を使うコツ

敬語を正しく、かつ自然に使うためには、次の3つのポイントを押さえておくと効果的です。

1. 「すでに敬語かどうか」を意識する

「おっしゃる」「ご覧になる」などの敬語動詞は、それだけで敬意が含まれています。そこに「られる」や「なる」などを安易に足さないようにしましょう。

2. 二重敬語になりがちな表現を覚えておく

間違いやすい言い回しは、いくつかのパターンに偏っています。よくある表現はリスト化して覚えることで、自然に避けられるようになります。

3. 丁寧すぎるより“自然”を意識する

敬語は「丁寧さ」だけではなく、「聞いて違和感がないかどうか」が重要です。正しさと自然さのバランスを意識すると、より信頼される話し方になります。

まとめ：
「二重敬語」は、敬意を重ねすぎるあまり起こる敬語の落とし穴です。形式的には誤りでも、丁寧にしようという気持ちのあらわれであることも多いですが、ビジネスや公的なシーンでは正しく伝えることが第一です。
まずは基本の敬語表現をしっかり覚え、「敬語＋補助敬語」になっていないかを意識するだけでも、大きな改善につながります。

「おっしゃられる」の代わりに何と言えばいい？

「おっしゃられる」は、敬意を込めたつもりでも実は二重敬語という誤りです。しかし、いざ言い換えようとすると「どう表現すればいいの？」と迷う方も多いのではないでしょうか。

この章では、「おっしゃられる」に代わる正しい表現と、シーン別の適切な使い方を具体例を交えて紹介します。

正しい表現：「おっしゃる」だけでOK

まず覚えておきたいのは、「おっしゃる」だけで十分に尊敬語として成立しているということです。

● 例文：

誤：部長がそのようにおっしゃられました。
正：部長がそのようにおっしゃいました。

すでに「おっしゃる」自体が「言う」の尊敬語なので、そこに「〜られる」を加える必要はありません。むしろ過剰な敬語になってしまい、かえって不自然です。

場面別・適切な敬語表現（ビジネス・接客・日常会話）

「おっしゃる」のような敬語表現は、使う場面に応じて文末や語調を調整するとより自然になります。以下に、場面別の使い方を紹介します。

■ ビジネスシーンの場合

「〇〇とおっしゃっていましたので、確認いたします」
「本日おっしゃった内容を、改めてご連絡いたします」

フォーマルさを保ちつつ、簡潔で分かりやすい言い回しが好まれます。

■ 接客シーンの場合

「かしこまりました。〇〇とおっしゃいましたね」
「お客様がおっしゃったとおり、お手配いたします」

お客様への敬意を込めつつも、丁寧語との組み合わせで柔らかく伝えます。

■ 日常会話の場合

「先生がそうおっしゃってたよ」
「お母さん、昨日そうおっしゃってましたね」

日常会話ではやや砕けた言い回しもOK。「〜てた」「〜てました」などで自然な語感になります。

相手や状況に応じた言い換え例

相手の立場や会話の温度感に合わせて、表現を微調整できるとよりスマートです。以下のように言い換えることで、敬意を保ちつつ自然なコミュニケーションが可能です。

相手	状況	言い換え例
上司	会議中	「〇〇とおっしゃっていました」
お客様	対面接客	「〇〇とおっしゃいましたので、すぐに対応いたします」
教師・目上の人	面談	「そのようにおっしゃっていたかと存じます」
家族・友人	軽い話題	「そう言ってたよ」「そう話してた」