「私のせいじゃない!」と思ったときに読む記事|感情を他人のせいにしてしまうときの気づきと対処法
「なんであの人、あんなこと言うの?」「私がこんな気持ちになるのは、あの人のせい」――
そんなふうに感じて、苦しくなったことはありませんか?
誰かの言動によって心がざわついたとき、つい感情の主語が「相手」になってしまうことがあります。
でも実は、感情はすべて「あなたの心」から生まれているもの。
この記事では、感情を他人のせいにしてしまうときの“気づき”と、
少しずつ自分の心を取り戻していくための優しい対処法を、ステップごとにご紹介します。
他人の言動に振り回されず、あなたらしい心のあり方を取り戻したい方へ――
ここから一緒に、感情との向き合い方を見つめ直していきましょう。
「あの人のせいで…」と感じるとき、心で何が起きているのか
誰かにイラッとしたとき、悲しくなったとき、つい口に出してしまいそうになる言葉――
「私がこうなったのは、あの人のせい」。
でも、その感情の奥には、実はあなた自身の“心の反応”や“満たされなかった思い”が隠れていることがあります。
ここでは、「感情を他人のせいに見せてしまう」心の仕組みに、やさしく向き合っていきましょう。
本当に“あの人”が原因?それとも心の反応?
たとえば、相手のちょっとした一言に強く傷ついたとき。
「あの人の言い方が悪い」「なんで私ばっかり」と思ったことはありませんか?
もちろん、相手の言動が配慮に欠けている場合もあるでしょう。
でも、同じ言葉を聞いても平気な人がいるのも事実です。
ということは――あなたの中に“心のスイッチ”が押された何かがあったのかもしれません。
私たちは、過去の経験や思い込み、心のクセによって「どう反応するか」が変わります。
つまり、“感情”は出来事そのものではなく、それに対する「心の意味づけ」から生まれているのです。
感情が揺さぶられるのは「期待」や「恐れ」があるから
感情が大きく動くとき、心の中では「期待」や「恐れ」が強く関係しています。
たとえば…
-
「もっとわかってほしい」→ わかってもらえなかったとき、怒りや悲しみが出る
-
「こうあるべき」→ その通りにならないと、イライラや失望が湧く
-
「嫌われたくない」→ 相手の態度が少しでも冷たいと、不安や自己否定につながる
つまり、あなたの感情は“あの人が悪い”のではなく、
あなたの心が「大切にしているもの(期待・願い)」が傷ついたことで反応しているのです。
このことに気づけると、感情の流れが変わりはじめます。
他人のせいに見える感情の裏にある「自分のニーズ」とは
「ニーズ」とは、あなたが心の奥で大切にしている“望み”や“必要としているもの”のこと。
たとえば、
-
わかってほしい
-
尊重されたい
-
認められたい
-
安心したい
-
自由でいたい
などがそれにあたります。
「あの人のせい」と思ったとき、少し立ち止まってみてください。
その感情の裏には、あなた自身が「本当はこうしてほしかった」というニーズがありませんか?
他人を責めたくなるほどの感情は、あなたが“自分を大切に思っている証拠”でもあります。
だからこそ、その感情をただ否定するのではなく、
「私は本当は、○○してほしかった」と自分の気持ちに寄り添ってあげましょう。
自分の感情に気づくと、見える世界が変わる
「あの人のせいでつらい」「こうされたから腹が立つ」。
そう思ったときほど、ほんの少し立ち止まって――
「私の中では、どんな気持ちが動いたんだろう?」と、自分自身の心に目を向けてみてください。
感情の“主語”を自分に戻していくことで、見える景色が少しずつ変わっていきます。
他人に振り回されていた毎日が、「私はどうしたいか」を軸にした人生へと変わっていく第一歩になります。
「今、私は○○と感じている」と主語を自分に戻す
感情を整理するとき、いちばん大切なのは「主語」を自分に戻すことです。
たとえば、
-
「あの人の態度、ほんとムカつく」→「私は今、悲しさや悔しさを感じている」
-
「無視された!」→「私は今、寂しさや不安を感じている」
こうやって、「○○のせいで」ではなく、「私はどう感じているか」に意識を向けると、
怒りや不満の奥にある“本当の気持ち”が見えてきます。
このときのコツは、「正しいかどうか」より「自分に正直かどうか」。
感情はコントロールするものではなく、“気づいてあげる”だけで、やわらぎ始めます。
怒り・悲しみ・苛立ち…感情は“心のSOS”
私たちはつい、ネガティブな感情を「よくないもの」「抑えるべきもの」と思いがちです。
でも実は、怒りも悲しみも苛立ちも、すべて心からの大切なサイン。
それは、あなたの中で「何かが傷ついたよ」「今、つらいよ」と訴えている“心のSOS”です。
たとえば怒りは、「本当はもっと大切にされたい」という訴えかもしれません。
悲しみは、「思っていた以上に自分が頑張っていた証拠」かもしれません。
感情を押し殺すのではなく、
「そうか、私、こんなに感じてたんだね」と受け止めてあげることが、心の回復の第一歩になります。
自分の中にある「未処理の感情」に気づく大切さ
強く反応してしまう場面には、過去の「未処理の感情」が眠っていることがあります。
たとえば、幼い頃に傷ついた「わかってもらえなかった記憶」。
誰にも言えなかった寂しさ、頑張っても認められなかった悔しさ…。
今の出来事が、その記憶に“フラッシュバック”を起こし、感情が大きく揺れることがあるのです。
「なんでこんなにイライラするんだろう」と感じたときほど、
自分の中にある“昔の痛み”にやさしく気づいてあげてください。
「気づくこと」それ自体が、癒しのはじまり。
未処理だった思いは、見つけてもらえた瞬間から、少しずつ解けていきます。
感情を他人のせいにしないための具体的な対処法
「あの人のせいで傷ついた」「私は悪くないのに」。
そう思った瞬間、感情はコントロールを失い、相手に主導権を渡してしまいがちです。
でも、あなたの心は本来、あなたのもの。
ちょっとした工夫や習慣で、「他人のせい」にしなくても自分の感情と向き合えるようになります。
ここでは、気持ちを自分の手に取り戻すための3ステップをご紹介します。
ステップ①:まずは深呼吸して“反応”を止める
感情が揺れた瞬間、人は無意識に「反応」してしまいます。
たとえば…
-
即座に怒ってしまう
-
心の中で相手を責め続ける
-
SNSやメッセージで気持ちをぶつけたくなる
そんなときこそ、まず「深呼吸」をして立ち止まることが大切です。
呼吸は、心のブレーキ。
鼻からゆっくり吸って、口から長く吐くだけで、交感神経の興奮がやわらぎ、感情の嵐が少し静まります。
反射的に動く前に「間」をつくること。
それが、感情を他人に振り回されず、自分で受け止める第一歩になります。
ステップ②:自分の気持ちを書き出して整理する
気持ちが乱れているとき、頭の中は混乱しています。
「あの人が悪い」「なんで私ばっかり」「私はどうしたらいいの?」――。
そんなときは、紙やスマホのメモアプリなどに「そのままの気持ち」を書き出してみましょう。
ポイントは、「相手のことを書く」のではなく「自分の心の声を書く」こと。
-
今、私はどう感じている?
-
どんな言葉に反応した?
-
そのとき、私が本当に望んでいたことは何?
書きながら「私、こんなに傷ついてたんだな」「本当はこうしてほしかったんだ」と気づくことができたら、それだけで心は少し落ち着いていきます。
ステップ③:「私がどうしたいか」を問い直す習慣を
感情を他人に預けてしまうと、いつも「相手がどうするか」が気になってしまいます。
でも、本当に大切なのは――「私はどうしたいか?」です。
-
相手に伝えたいことがある?
-
自分を守る距離を取りたい?
-
少し休んで心を整えたい?
この問いを自分に投げかけることで、「他人のせい」で終わっていた感情が、
「自分で選ぶ」という前向きな力に変わっていきます。
繰り返し問い直すうちに、
他人に振り回される人生から、「自分軸」で選ぶ生き方へと変わっていけるのです。
「あの人のせい」にしなくていい。あなたは自由に感じていい
「私がこう感じるのは、あの人のせい」――
そう思うと、苦しみや怒りは少しだけ正当化されるかもしれません。
でも同時に、自分の感情を「相手次第」にしてしまうことにもなります。
本当は、どんな気持ちを抱いてもいいし、どう感じるかは自分で選んでいいのです。
他人を変えるより、自分の感情に気づき、いたわることで、あなたはもっと自由になれます。
誰かの行動に「影響されること」と「支配されること」は違う
人と関わる以上、他人の言葉や態度に「影響される」ことはあります。
でも、それと「支配される」ことはまったく違います。
影響されても、最終的にどう感じるか、どう行動するかを選ぶのはあなた自身。
「私はこう感じた。でもどうするかは、私が決める」――
そう思えると、他人にコントロールされていた心が少しずつ解放されていきます。
誰かの言動に一喜一憂してしまうときほど、
「私は私の人生を生きている」という感覚を取り戻してみましょう。
感情は、あなたの心が教えてくれる大切なメッセージ
怒り、悲しみ、モヤモヤ、不安――
それらは決して“面倒な感情”でも“弱さの証”でもありません。
それはすべて、あなたの心が「大事なことを伝えようとしている声」です。
-
怒りは「もっと大切にされたい」
-
悲しみは「心が傷ついたよ」
-
不安は「安心がほしい」
そうした“心の声”に気づくことができたとき、
あなたはもう、感情を「誰かのせい」にする必要がなくなっていきます。
感情を敵にせず、味方にすることで、心の中に優しさと安心が生まれます。
他人を変えるより、自分をいたわる選択をしよう
「あの人がこうしてくれたら、私は楽になるのに」
そんなふうに思ったことがある人は少なくないでしょう。
でも、残念ながら、他人は思い通りには変わってくれません。
だからこそ、いちばん効果的なのは「自分をいたわること」です。
-
嫌なことから離れてもいい
-
自分の気持ちを優先していい
-
「しんどい」と思ったら休んでいい
そうやって、自分を大切にすることができれば、
たとえ他人が変わらなくても、あなた自身の感じ方は変わっていきます。
「誰かに変わってもらう」ことよりも、
「自分をやさしく守る」ことを、少しずつ選んでみてください。
まとめ|感情の主語を取り戻せば、人間関係も心もラクになる
「自分の気持ちなのに、いつも誰かのせいにしてしまう」
「本当は、どう感じているのか、自分でもわからない」――
そんなふうに感じることがあっても、大丈夫。
私たちは誰でも、無意識のうちに感情の主語を「他人」にしてしまうことがあります。
でも、それに気づいた今から、「感情の主語を自分に戻す」ことは、何度でもやり直せます。
心の中心に「自分」を置くことで、人間関係の重さも、感情の渦も、少しずつ軽くなっていくのです。
「自分を理解する」ことが、人との関係を変えていく
人との関係に悩んだとき、私たちはつい「どうしたら相手が変わってくれるか」を考えてしまいがちです。
でも、本当に関係が変わるのは――「自分の気持ち」に正直になれたとき。
-
「私はこう感じていたんだ」
-
「私は本当は、こうしてほしかった」
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「私は、こういうときに傷つきやすいんだな」
そんなふうに、自分自身の感情や反応のパターンに気づけたとき、
無意識に相手を責めたり、期待しすぎたりすることが減っていきます。
自分の心とちゃんと向き合える人は、他人との距離感も上手にとれるようになっていくものです。
まずは、「自分を理解する」ことから始めてみましょう。
責めるより、“気づけた自分”をほめてあげよう
「感情を他人のせいにしていた自分」に気づいたとき、
「なんで私はいつもこうなんだろう」「まだダメだ」と、また自分を責めてしまう人もいます。
でも――そこで自分を責めないで。
むしろ、“気づけた”あなたは、それだけでもう大きな前進をしています。
心のクセは、長い時間をかけて身についたもの。
それを一瞬で直す必要なんてありません。
大切なのは、何度でも気づいて、何度でも「自分の主語」に戻ってこられること。
そのたびに、少しずつあなたの心はラクになり、やさしくなっていきます。
だから今日のあなたに、こう言ってあげてください。
「気づけただけで、すごいよ」
「よくここまでがんばってきたね」――と。


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