自分の声を録音で聞くとキモい理由は？脳の仕組みに隠された納得の真実とは

Posted on 2025年6月12日

自分の声を録音で聞いたとき、「うわ、キモい…」「こんな声してた？」とショックを受けた経験はありませんか？
実はそれ、あなたの声に問題があるわけではなく、脳の仕組みや音の伝わり方、そして心理的なギャップによって起きている自然な反応なんです。

本記事では、なぜ自分の声に違和感を覚えるのかを科学的・心理的にわかりやすく解説しながら、違和感を乗り越えて「自分の声に自信を持つ」ための具体的な方法をご紹介します。
自分の声が好きになれない方、声にコンプレックスを感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

なぜ自分の声を録音で聞くと「キモい」と感じるのか？

自分の声を録音で初めて聞いたとき、「え、なにこれ…キモい」と感じた経験はありませんか？これはあなただけでなく、多くの人が抱くごく自然な反応です。実はこの違和感には、脳の仕組みや音の伝わり方の違いが深く関係しています。

普段私たちが「自分の声」として認識しているものは、実際には他人が聞いている声とはまったく別物。だからこそ、録音された声を聞くと強烈な違和感を覚えてしまうのです。

多くの人が「自分の声が嫌い」と感じるワケ

録音された自分の声を聞いて「気持ち悪い」「変な声」と感じる人は非常に多く、それは自己認識と実際の音声のズレによって生じています。

普段、自分の声を聞くときは「骨伝導」と「空気伝導」の両方を通して音を認識しています。骨を通して響く低音が含まれているため、自分の声は実際よりも深くて心地よく聞こえているのです。

しかし、録音で再生された音声は「空気伝導」だけを通した音。つまり、他人が聞いているそのままの声です。自分の耳で直接聞く声と違い、軽く高めに聞こえることが多く、それが「こんな声だったの？」「なんかキモい…」という違和感につながります。

さらに、人は自分の声に理想像を持っているもの。録音された現実の声がその理想と違うことで、脳が「これは自分ではない」と判断し、嫌悪感や不快感として表れてしまうのです。

他人の声と自分の声、聞こえ方の違い

自分の声を聞く際の違和感は、音の伝わり方に理由があります。ここでは、**「骨伝導」と「空気伝導」**という2つの音の伝達方法を知ることで、その理由がはっきりします。

空気伝導（他人が聞く声）：口から出た音が空気を通って耳に届く。
骨伝導（自分が感じる声）：喉や頭の骨を通じて直接内耳に振動が届く。

私たちは、自分が話すときこの両方の音を同時に聞いています。骨伝導によって低音が強調されるため、「普段聞こえている自分の声」は実際よりも落ち着いて聞こえるのです。

一方、録音された音は空気伝導のみ。自分の声から骨伝導成分が消え、他人が聞く高くてクリアな声だけが再生されるため、「なんか違う」と感じるのは当然のことなのです。

脳の仕組みにある「違和感」の正体とは？

録音された自分の声を聞いたとき、「なんか変」「こんな声だったっけ？」という強烈な違和感を覚えるのは、単なる気のせいではありません。そこには私たちの脳の働きや認知の仕組みが深く関係しています。

脳は常に、自分の声や体の動きを予測しながら現実と照らし合わせています。つまり、普段から「自分の声はこういう音」と無意識に思い込んでいるのです。そんな中で録音された声を聞くと、その予測とズレた音が脳に届き、強い違和感や不快感として処理されるのです。

骨伝導と空気伝導の違い

「自分が話す声」と「録音で聞こえる声」が違って聞こえる大きな理由が、この骨伝導と空気伝導の違いにあります。

空気伝導：外の音が空気を通って耳の鼓膜に届く。これは他人が聞いている音と同じ。
骨伝導：声を出すときに、声帯の振動が骨を伝って直接内耳（聴覚神経）に届く。これは自分にしか聞こえない。

普段、私たちは自分の声をこの2つの経路で同時に聞いています。そのため、骨伝導によって**低音が強調された、響きのある「心地よい声」**に感じているのです。

一方、録音された音声は空気伝導のみで再生されるため、骨伝導で強調されていた低音成分が消え、甲高くて軽い印象の声になります。これが「こんな声じゃない！」と違和感を感じる理由です。

脳が「自分の声」と認識している音は別物？

私たちの脳は、「自分の声はこういう音だ」と長年かけて覚えてきたイメージを持っています。しかし、そのイメージは骨伝導を含んだ、脳内で再構成された“自分仕様”の声。

つまり、録音された声は脳が想定している「自分の声」とは別物なのです。

このズレに対して脳は「予想外」「異質」と判断し、防御反応のように違和感を覚えることがあります。まるで自分ではない誰かの声を聞いているような感覚になるのも、この脳の認知のズレが原因です。

予測と現実のギャップが不快感を生む

脳には「予測モデル」という仕組みがあります。これは、体の動きや声など、自分の行動によって起こる結果をあらかじめ予測しておく働きです。

この予測モデルによって、脳は「今話しているこの声はこう聞こえるはず」と事前に準備しています。ところが録音を再生すると、その予測とまったく違う音が返ってくるため、脳は「これは想定外だ」と認識し、強い違和感を生むのです。

特に自分の声は日常的に使っているものなので、脳にとっては非常に重要な情報源。だからこそ、そのギャップが生む不一致は敏感に察知され、「キモい」「気持ち悪い」といった感情につながってしまいます。

心理的な要因も関係している？

自分の声を録音で聞いたときの違和感には、物理的な音の伝わり方だけでなく、心理的な要因も密接に関わっています。
「思っていた自分」と「実際に聞こえてきた自分の声」のズレ。
このギャップが、自己否定や不快感を生む大きな原因のひとつです。

特に現代では、SNSや動画投稿などで「自分の声」を客観的に聞く機会が増えており、それに伴い違和感や羞恥心を覚える人も多くなっています。では、なぜそんな心理的な抵抗が生まれるのでしょうか？

自己認識と他者認識のズレ

私たちは普段、自分自身を「こういう人間」と無意識にイメージしています。これを**自己認識（セルフイメージ）**といいます。一方、他人が感じるあなたの印象は、他者認識です。

この2つの認識には常にギャップがあり、声はそのズレが可視化（可聴化）されやすい要素のひとつ。

録音された自分の声を聞くことで、「自分では落ち着いた話し方をしているつもりだったのに、実際は早口で高い声だった…」など、他人目線の“現実の自分”が浮き彫りになるのです。

この現実にショックを受けることで、嫌悪感や恥ずかしさにつながり、「なんかキモい」という感情が生まれやすくなります。

「理想の自分」と「録音の声」とのギャップ

さらに深く関係しているのが、「理想の自分像」です。
私たちは誰しも、「こんな声で話したい」「こう聞こえていたい」という理想の声のイメージを心の中に持っています。

ところが、録音された自分の声は、その理想とはかけ離れていることが多い。
このギャップが、「こんな声だったなんて…」というショックや不快感を引き起こします。

この現象は、**“自己イメージの崩壊”**に近い心理反応です。
声は自分のアイデンティティと密接につながっているため、その崩壊は強い違和感や拒否反応につながるのです。

また、他人からの評価を気にしやすい人ほど、このギャップに敏感で、「自分の声が嫌い」「恥ずかしくて聞けない」と感じやすい傾向があります。

自分の声に慣れるにはどうすればいい？

録音された自分の声に違和感や不快感を覚えるのは自然なこと。しかし、それをずっと「キモい」で終わらせるのはもったいない話です。
なぜなら、自分の声に“慣れる”ことは十分に可能だからです。

ここでは、録音された声に対する抵抗感を減らし、「自分の声も悪くないかも」と思えるようになるための具体的な方法をご紹介します。

録音を繰り返し聞くトレーニング

一番シンプルで効果的な方法は、自分の声を意識的に“聞く機会”を増やすことです。
最初は抵抗があるかもしれませんが、繰り返し録音した音声を聞くことで、脳がその声を「自分の声」として認識し始め、違和感が徐々に薄れていきます。

▼トレーニングの手順例：

スマホのボイスメモなどで短い文章を録音
再生して、自分の話し方や声質を冷静に聞く
声の高さやスピード、癖に注目して分析する
数日おきに録音→再生を繰り返す

最初は恥ずかしくても、脳が“新しい自分の声”に慣れていくプロセスを意識することが大切です。

声を使う活動で「慣れ」を育てる

録音を聞くだけでなく、「声を出す場面」を日常に取り入れることも、慣れへの近道になります。

たとえば：

読み聞かせや音読
ラジオ風の音声日記を録音してみる
ボイスメッセージを送る
SNSで音声投稿（例：stand.fmやVoicy）

これらの活動を通じて、自分の声をアウトプットすることが当たり前になると、「聞かれる」ことへの不安や違和感も次第に軽減されます。

また、声を使う活動は滑舌や発声の改善にもつながるため、結果的に「より好印象な声」に近づくこともできます。

他人の声のように受け止めるコツ

違和感を減らすためには、「自分の声＝他人の声」として客観的に捉えることも効果的です。
「これが自分の声なんだ」と無理に納得しようとするのではなく、“他人の声を評価するように”冷静に聞くことがポイントです。

たとえば、次のような視点で聞いてみましょう：

「聞き取りやすいかな？」
「感情が伝わっている？」
「印象は明るい？落ち着いてる？」

他人の声に対して冷静に判断できるように、自分の声も“素材”として見ることで、主観的な嫌悪感が薄れていきます。

また、自分の声を使って褒めてもらった経験（「いい声だね」など）がある場合は、その記憶を思い出すことも「声への抵抗感」を和らげる助けになります。

まとめ｜「キモい」は一時的、声に自信を持とう

録音で自分の声を聞いたときに「キモい」と感じてしまうのは、決してあなたの声に問題があるわけではありません。
それは、脳の仕組みや音の伝わり方の違い、さらには心理的なギャップによって生まれる一時的な違和感にすぎません。

誰もが一度は通る違和感ですが、それを乗り越える方法はしっかりとあります。
録音を繰り返し聞いたり、声を使う活動に取り組んだりすることで、自分の声への理解と客観性が育ち、自然と慣れていくはずです。

自分の声に慣れてくると、「意外と悪くないかも」「伝わりやすい声だな」と感じられる瞬間が増えていきます。
そして何より、自信を持って話せるようになることで、コミュニケーションや自己表現の質が大きく変わっていくでしょう。

最初は少し恥ずかしくても、大丈夫。
「キモい」と感じるその声も、あなただけの大切な個性です。少しずつ、自分の声と仲良くなっていきましょう。

リンク

この記事を書いた人
最新の記事

鈴木一輝（美容専門家）｜ご支援はこちら

美容・健康業界で10年以上の経験を持ち、男女問わずスキンケアやエイジングケアをサポート。肌質改善・脱毛・健康美容を専門とし、これまでに1000人以上をカウンセリング。美容商品の監修やメディアでの執筆・講演も行う。「美しさは健康とライフスタイルのバランスから生まれる」を信念に、専門知識を活かした実践的な美容情報を発信中。