
部屋に入った瞬間、「あれ?何しに来たんだっけ…」と立ち尽くした経験はありませんか?
実はこの現象、脳の“ワーキングメモリ”や日常のストレス・疲労と深く関係しています。誰にでも起きることですが、ちょっとした工夫で防ぐことが可能です。
この記事では、「何しに来たっけ?」が起こる原因とその仕組みをわかりやすく解説し、今日からできる立ち尽くし防止習慣やカンタン記憶術をご紹介します。忘れ物やうっかりを減らして、毎日をスムーズに過ごしましょう。
なぜ「何しに来たっけ?」が起きるのか?
脳の仕組みと“ワーキングメモリ”の関係
「何しに来たっけ?」という現象の大きな原因は、脳の一時的な記憶領域である ワーキングメモリ にあります。
これは、頭の中で“今やろうとしていること”を保持しておく短期的な記憶の仕組みです。
しかしワーキングメモリの容量は限られていて、情報が多すぎるとすぐにあふれてしまいます。
例えば、「リビングからキッチンに移動してコップを取る」という目的があっても、途中で「スマホを充電しなきゃ」と別のことを思いつくと、最初の目的が記憶の奥に押しやられ、忘れたように感じるのです。
マルチタスクやストレスが記憶を妨げる理由
「何しに来たっけ?」を引き起こしやすいのが、 同時進行の作業(マルチタスク) や ストレス状態 です。
脳は本来、一度に複数の作業を並行して処理するのが苦手。
仕事中にメールを見ながら会話しつつ、頭の中で別の予定を考える――そんな状況が続くと、脳は「どれが最優先か」を見失いやすくなります。
さらにストレスや疲労があると、記憶を司る 海馬の働き が低下し、ワーキングメモリの保持力も弱まります。結果として、立ち尽くして「目的を忘れた」状態になりやすくなるのです。
誰にでも起きる“日常の小さな記憶抜け”
安心してほしいのは、この「立ち尽くし現象」は 誰にでも起きる自然なこと だという点です。
脳は常に大量の情報を処理しており、重要度の低いものは“自動的に消去”してしまいます。
・部屋に入った瞬間に別のものが目に入った
・頭の中で別の考え事をしていた
・移動中に小さな刺激(物音やスマホ通知)があった
こうした日常の些細な要因が、目的の記憶を一時的に上書きしてしまうのです。
つまり「何しに来たっけ?」は、脳が正常に働いている証拠でもあり、特別に心配しすぎる必要はありません。
「何しに来たっけ?」現象を防ぐ5つの対策




行動の前に“目的を口に出す”
脳は「声に出した情報」をより強く記憶する特徴があります。
例えば「冷蔵庫から牛乳を取る」と声に出してから動けば、行動と目的が結びつきやすくなり、途中で忘れるのを防げます。
独り言のようで少し照れくさいかもしれませんが、特に忙しいときや考えごとをしているときには効果的です。
スマホやメモに「一言メモ」を残す
思いついたことをすぐに忘れやすい人は、一言で書き留める習慣を取り入れましょう。
スマホのメモアプリや付箋に「郵便物を出す」「USBを持って行く」と書くだけで十分。
短い言葉でも“外部メモリ”として脳の負担を減らし、目的を忘れにくくなります。
動作と目的をセットにして覚える
「ながら記憶法」とも言える方法で、行動と目的をセットで関連づけると記憶に残りやすくなります。
例えば「立ち上がったら充電器を持つ」「キッチンに入ったら鍋を火にかける」といったように、動作とタスクをペアにするのです。
体の動きと結びつけることで、記憶が行動の“トリガー”となり、忘れにくくなります。
環境を整えて集中しやすくする
「何しに来たっけ?」は、視覚や聴覚の刺激によって記憶が中断されると起こりやすくなります。
机の上にモノが散らかっていたり、通知音が頻繁に鳴る環境だと注意が分散しやすいのです。
片付けや不要な通知オフなど、目的に集中できる環境作りも立ち尽くし対策の一つです。
休養・睡眠で脳の働きをリセットする
脳の記憶力は、休養と睡眠によって大きく左右されます。
慢性的な睡眠不足や疲労があると、ワーキングメモリの働きが低下し、忘れ物や「何しに来たっけ?」が増えやすくなります。
昼休みに軽い昼寝を取り入れたり、夜はしっかり眠ることが、最もシンプルで効果的な予防法です。
記憶に定着させる!カンタン記憶術




“場所”と“行動”をリンクさせる「場所法」
古代ギリシャの弁士も使っていたといわれる記憶術が「場所法」です。
これは、特定の場所と覚えたい内容をセットで関連づける方法。
たとえば、
-
「玄関に来たら宅配の伝票を持つ」
-
「ダイニングに来たら薬を飲む」
-
「寝室に入ったらスマホを充電する」
といったように、場所そのものを“記憶のスイッチ”にするのです。
人の脳は空間や位置情報と一緒に記憶するのが得意なので、行動が自然と引き出されやすくなります。
目的を「リズム」や「語呂」で覚える
短期記憶を強化するには、覚えたいことをリズムや語呂にして頭に残しやすくするのも効果的です。
例えば、買い物リストの「牛乳・卵・パン」を「ぎゅう・たま・パン!」とリズムよく唱えたり、
「コピー・ファイル・USB」を「コ・ファ・ユ」と略語にして覚えたりします。
脳はリズムやパターン化された情報を保持しやすいため、ちょっとした記憶抜けを防ぐのに役立ちます。
人に話すことで記憶を強化する
覚えたいことを誰かに話す・説明するのも有効な方法です。
「後で銀行に行くんだ」「今日は帰りに野菜を買うよ」と口に出すだけで、自分自身の脳にも再入力されます。
これは“出力による記憶の定着”と呼ばれる効果で、実際に学生の勉強法やビジネス研修でも使われています。
もし周りに人がいなければ、声に出して独り言を言うだけでもOK。目的を忘れにくくなります。
年齢や環境も関係あり?注意が必要なケース




加齢による記憶力低下の可能性
「何しに来たっけ?」という立ち尽くしは年齢を問わず起こりますが、加齢に伴う記憶力の変化が影響している場合もあります。
年を重ねると脳の神経細胞の働きが少しずつ鈍くなり、短期記憶の保持力や処理スピードが低下しやすくなります。
ただし、これは自然な加齢変化であり、多少の「うっかり」や「思い出すのに時間がかかる」程度なら心配はいりません。
疲労・ストレス・睡眠不足による一時的な影響
「最近、特に忘れっぽい」と感じる場合、生活リズムや心身の状態が原因のことも多いです。
-
睡眠不足で脳が情報を整理できていない
-
強いストレスで集中力が下がっている
-
疲労の蓄積で判断力が鈍っている
こうした状態では、ワーキングメモリや注意力が一時的に低下しやすくなります。
休養やリフレッシュを取ることで改善するケースがほとんどなので、まずは 生活習慣を整えること が大切です。
日常生活に支障が出るときは医療機関の相談を
「何しに来たっけ?」が頻繁に起きるだけでなく、
-
財布や鍵など生活必需品を繰り返し紛失する
-
約束や予定を立て続けに忘れてしまう
-
語彙や判断力の低下で日常生活が困難になる
といった場合には、認知症や脳の病気の可能性も考えられます。
本人や家族が不安を感じるレベルで生活に支障がある場合は、早めに医療機関に相談することが安心につながります。
今すぐできる!「立ち尽くし防止」習慣チェックリスト




実践しやすい「ながら防止習慣」
「何しに来たっけ?」を減らすには、小さな工夫を生活に組み込むことがポイントです。
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立ち上がる前に「目的を声に出す」
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部屋を移動するときは「手ぶらで行かない」(目的のものを必ず一つ持つ)
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用事を思いついたら、その場でメモかスマホに入力する
こうした“ながら習慣”を意識するだけで、立ち尽くす回数はぐっと減らせます。
毎日取り入れたい“脳を鍛える習慣”
忘れ物やうっかりを防ぐには、脳そのものを鍛えることも大切です。
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毎日10分の読書や日記で集中力を養う
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ウォーキングなど軽い運動で脳の血流をアップする
-
パズルや暗算などの軽い脳トレを習慣にする
これらは脳の“ワーキングメモリ”や“注意力”を刺激し、記憶力低下を防ぐ効果が期待できます。
チェックリストでセルフ確認してみよう
次のようなセルフチェックを習慣にすると、自分の「うっかり度」を客観的に把握できます。
-
□ 立ち上がる前に目的を声に出している
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□ 用事はスマホやメモに書き残している
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□ 1日の中でリフレッシュ時間を取れている
-
□ 睡眠は6〜7時間以上確保している
-
□ 運動や脳トレを週に数回取り入れている
3つ以上チェックがつけば、日常の立ち尽くし対策はしっかりできています。
逆にチェックが少ない場合は、できそうな項目から取り入れてみましょう。
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まとめ|「何しに来たっけ?」を防いでスムーズな毎日を!




「何しに来たっけ?」と立ち尽くすのは、誰にでも起こるごく自然な現象です。
脳のワーキングメモリには限界があり、ストレスや疲労、環境の影響で記憶が抜け落ちてしまうことがあります。
しかし、
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行動前に目的を口に出す
-
一言メモやリズムで記憶を補助する
-
環境を整えて集中力を高める
-
睡眠や休養で脳をリセットする
といったシンプルな工夫を取り入れることで、立ち尽くしの回数はぐっと減らせます。
また、日常生活に支障をきたすような物忘れが続く場合は、医療機関への相談も大切です。
「忘れるのは仕方ない」と諦めるのではなく、脳の特性を理解し、自分に合った対策を習慣にすることが、スムーズで快適な毎日につながります。
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