
「口の端が切れて痛い…」「なかなか治らず食事や会話がつらい」――そんな経験はありませんか?
口角が切れて治らないのは、乾燥や栄養不足といった一時的な要因だけでなく、カンジダや細菌感染による口角炎、さらには体質や病気が背景にあるケースもあります。放置すると悪化や再発を繰り返すこともあるため、正しいケアと生活習慣の見直しが大切です。
この記事では、口の端が切れる原因、やってはいけないNGケア、日常で気をつけたいポイントを医師監修のもとで解説します。
口の端が切れて治らないのはなぜ?考えられる主な原因
乾燥やリップの刺激によるもの
空気が乾燥する季節やエアコンの使用により、唇や口角は水分を失いやすくなります。乾燥した状態で大きく口を開けると、皮膚が裂けて「切れた」状態になりやすいのです。また、香料やメントール入りなど刺激の強いリップクリームを使うと、かえって口角に炎症が起きて悪化することもあります。
対策: 無香料・低刺激のリップやワセリンで保湿を心がけ、乾燥から守りましょう。
ビタミン不足・栄養の偏り
ビタミンB2やB6、鉄分などが不足すると、皮膚や粘膜の再生がうまくいかず、口の端が切れやすくなります。特に、偏った食事や過度なダイエットをしていると栄養不足が原因になることがあります。
対策: 肉や魚、大豆製品、緑黄色野菜などをバランスよく摂ることが大切です。サプリメントを活用するのも一つの方法です。
カンジダや細菌感染による「口角炎」
乾燥や小さな傷から細菌や真菌(カンジダ菌)が入り込むと、「口角炎」と呼ばれる炎症を起こすことがあります。赤みや腫れ、かゆみ、ジュクジュクした状態になるのが特徴です。放置すると悪化して治りにくくなるため注意が必要です。
対策: 症状が強い場合は皮膚科を受診し、抗真菌薬や抗菌薬を使用して治療することが効果的です。
糖尿病やアトピーなどの体質が関係する場合も
糖尿病やアトピー性皮膚炎などの基礎疾患がある人は、皮膚や粘膜が弱く、傷が治りにくい傾向があります。また、免疫力が低下していると細菌感染を繰り返しやすく、口角が慢性的に切れてしまうこともあります。
対策: 繰り返し口の端が切れる場合や長引く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、背景にある病気の有無を確認しましょう。
口の端が切れたときの正しいケア方法




口角(唇の端)が切れてしまったとき、その傷を悪化させずにきちんと治すためには、清潔さ・保湿性・刺激の少なさ・内側からの補強を総合的に考える必要があります。以下、それぞれの要素ごとに対策方法と具体的な注意点を示します。
患部を清潔に保つ
なぜ大事か
傷口には雑菌が入り込みやすく、炎症が悪化して治りが遅くなるリスクがあります。特に口のまわりは食事・会話などで常に刺激を受けやすいため、清潔を保つことが基本です。
また、唾液や食べかすが付着したままだと、菌の繁殖を招いたり、唇のふちに残った歯磨き粉成分などが刺激になる可能性もあります。
具体的なケア方法
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食後や飲食後は、水かぬるま湯で軽く口周りや唇の端をすすぎ、やさしくティッシュやガーゼで押さえるように水分を取る
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歯磨き粉の成分(特にミント・界面活性剤・研磨剤など)が残らないよう、入念に口をゆすぎ、口角部分に付着しないように気をつける
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傷に触れないように、指や舌でいじらない(無意識に触れてしまうと刺激や感染の原因になる)
-
ガーゼやコットンを使う場合は清潔なものを使う。アルコールや刺激の強い消毒液で拭くのは逆効果になることもある(アルコールは刺激が強いため、患部がヒリヒリする・逆に悪化する可能性)
保湿剤やワセリンで乾燥を防ぐ
なぜ大事か
乾燥すると皮膚のひび割れが起こりやすくなり、既存の傷が広がったり癒着づらくなったりします。唇・口角部分は皮ふが非常に薄いため、小さな乾燥が裂け目を引き起こすこともあります。
具体的なケア方法
-
乾燥しやすい時(朝起きたとき・就寝前・屋外から戻ってきた時など)には、無香料・低刺激タイプの保湿剤またはワセリンを薄く塗布する
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保湿剤を重ね塗りしすぎず、うすく膜を張るように塗るのがコツ
-
室内乾燥が強いときは、加湿器を併用して湿度を保つ
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就寝中も唇が乾燥しないよう、マスクをするなどして室内の湿度を維持する
使いやすい市販品の例
以下は日本国内で比較的入手しやすく、刺激が少ない・保湿性が期待できる製品例です:
- ヴァセリン オリジナル ピュアスキンジェリー — 無香料で非常にシンプルな処方。唇や口角部分の保護膜として使いやすい。
リンク - ヴァセリン ピュア ペトロリューム ジェリー オリジナル (大容量) — 上記と同じ成分。大容量で顔全体や乾燥部位にも使える。
リンク - モアリップ N — 医薬品リップクリーム。唇荒れ・口角炎対応の成分を含む処方。
リンク - DHC 薬用リップクリーム — 比較的穏やかな薬用処方で、毎日のリップケアとしても使いやすい。
リンク
注意: いずれの製品も、患部に合うかどうかは人それぞれです。使用開始後、刺激があればすぐ中止し、皮膚科受診を検討してください。
刺激の少ないリップケアを選ぶ
なぜ大事か
刺激の強い成分(香料・メントール・アルコール・着色料・強い防腐剤など)が入っていると、治癒途中の皮膚をさらに刺激し、かえって悪化させてしまうことがあります。特に口角部分は外的刺激に弱いため、慎重に選ぶ必要があります。
具体的なケア方法
-
無香料・無着色・低刺激処方の製品を選ぶ
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ミント系・メントール系など「スースー感」がある成分が入っているものは避けたほうが安全
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UVカット入りでも刺激が強すぎないものを選ぶ。日中どうしても使いたいなら、極薄く塗る程度にする
-
リップ製品を指で直接塗るタイプより、チューブやスティックで清潔に使えるタイプのほうが望ましい
-
複数のリップを重ね塗りするのは避け、信頼できる一品に絞って使用する
栄養バランスを整えて体の内側からケア
なぜ大事か
皮膚や粘膜の再生・修復には、体内の栄養状態が深く関わっています。特にビタミンB群、鉄、タンパク質などが不足すると、細胞の再生力が落ち、傷が治りにくくなることがあります。
具体的なケア方法
-
毎日の食事で、以下の栄養素を意識的に摂取する:
- タンパク質(肉・魚・豆類・卵など)
- ビタミンB群(特に B2, B6)を含む食品(豚肉・レバー・緑黄色野菜・ナッツ類など)
- 鉄分(赤身肉、魚、ほうれん草など)
- ビタミンC (野菜・果物など) — 鉄の吸収を助ける -
食事だけでは不足しがちな場合は、食事補助としてビタミンサプリメント(特にB群複合ビタミン + ミネラル)を活用する
-
水分補給も忘れずに。体が十分な水分を持っていないと、代謝・細胞修復機能も働きにくくなる
-
睡眠・ストレス管理も重要。回復モードに体を持っていくことが、傷の治癒を早める
やってはいけないNGケアと注意点




口の端が切れてしまったとき、つい無意識でやってしまう行動や、良かれと思って続けてしまうケアが、実は治りを遅くしていることがあります。以下のポイントを避けることで、悪化や再発を防ぎやすくなります。
舐めてしまう・触ってしまう
なぜNGか
乾燥してヒリヒリすると「舐めて潤そう」としてしまいますが、唾液は一時的に潤ったように感じてもすぐに蒸発し、かえって乾燥を悪化させます。また、舌や指で触れることで雑菌が入り込み、炎症や感染を引き起こす原因にもなります。
対策
-
乾燥を感じたら舐めるのではなく、無香料のワセリンや低刺激リップをこまめに塗る
-
無意識に触らないよう、日中はマスクで口元をカバーするのも有効
刺激の強いリップや化粧品の使用
なぜNGか
メントールやアルコール、香料入りのリップは「スースーして効いている」ように思えても、傷ついた皮膚には強い刺激となり、症状を悪化させることがあります。また、口紅やリキッドファンデーションが患部に触れると、化学成分が刺激となって治りを妨げる場合があります。
対策
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無香料・無着色・低刺激処方のリップクリームを使用する
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口角が治るまでは、リップメイクやカバー用の化粧品を避ける
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「治すケア」と「見せるメイク」は分けて考えるのが大切
自己判断で市販薬を長期使用する
なぜNGか
市販の軟膏や薬用リップの中には、抗菌成分やステロイドが配合されたものもあります。短期間で使う分には効果がある場合もありますが、自己判断で長く使い続けると副作用や耐性菌のリスクが出ることがあります。特に、感染が原因である「口角炎」の場合は、適切な薬を選ばないと悪化することもあります。
対策
-
市販薬を使っても数日〜1週間で改善が見られない場合は、皮膚科や内科を受診する
-
同じ症状を繰り返す場合は、基礎疾患(糖尿病や栄養不足)が関わっている可能性もあるため、早めの医師相談が安心
-
「長く使えば効くはず」と思わず、改善しなければ必ず専門家に相談する
口角が切れやすい人が日常生活で気をつけたいポイント




「また口の端が切れてしまった…」という人は、生活習慣や日々のちょっとしたクセが関係していることもあります。以下のポイントを意識することで、再発を防ぎ、口元の健康を守りやすくなります。
食後は口周りを清潔にする
なぜ必要か
食べ物のカスや調味料が口角に残ると、刺激や雑菌繁殖の原因になります。特に酸味や塩分の強いものが残ると、傷口にしみて治りにくくなります。
具体的な対策
-
食後は必ず口をゆすぎ、柔らかいティッシュやガーゼで優しく水分を拭き取る
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外食や外出先ではウェットティッシュや清潔なハンカチを活用
-
歯磨き粉の成分が口角に残らないよう、すすぎは丁寧に
乾燥対策をしっかり行う
なぜ必要か
乾燥は口角が裂ける大きな原因のひとつ。空気の乾燥やマスクの摩擦で水分を失い、ひび割れしやすくなります。
具体的な対策
-
日中・就寝前は無香料のワセリンや低刺激リップを塗る
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加湿器で室内の湿度を40〜60%に保つ
-
冬やエアコン使用時は特にこまめな保湿を心がける
鉄分・ビタミンB群を意識して摂取
なぜ必要か
皮膚や粘膜の修復には栄養バランスが不可欠。特に「鉄分」や「ビタミンB群(B2・B6)」が不足すると、口角炎や皮膚トラブルが起こりやすくなります。
具体的な対策
-
鉄分 → 赤身肉、レバー、ほうれん草、ひじき
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ビタミンB2 → 卵、納豆、乳製品、レバー
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ビタミンB6 → 魚、バナナ、ナッツ類
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食事で不足しがちな場合は、サプリメントを活用するのも有効
睡眠やストレス管理も忘れずに
なぜ必要か
睡眠不足や強いストレスは、免疫力や皮膚の回復力を下げ、傷が治りにくくなる原因となります。
具体的な対策
-
1日7時間前後の質の良い睡眠を心がける
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入浴やストレッチでリラックスする習慣を持つ
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過度なストレスを抱え込まず、気分転換の時間を意識的に取る
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規則正しい生活リズムを保つことで自然に免疫力もアップ
口の端が繰り返し切れるときは病気のサインかも?




「乾燥のせいかな」と思ってケアしても、口の端が何度も切れて治らない場合、体の不調や病気が隠れている可能性があります。早めに原因を見極めることが大切です。
口角炎・皮膚炎の可能性
口の端が赤くただれて、痛みやかゆみを伴う場合は「口角炎」が疑われます。カンジダ菌や細菌感染によって悪化することもあり、繰り返しやすいのが特徴です。また、リップや歯磨き粉などによる接触性皮膚炎が原因となるケースもあります。
免疫力の低下が背景にある場合
口角炎や皮膚トラブルは、免疫力が落ちているときに悪化しやすくなります。糖尿病、貧血、アトピー性皮膚炎、栄養不足(鉄分・ビタミンB群)などが関係していることもあります。生活習慣の乱れやストレス、睡眠不足も免疫低下につながるため注意が必要です。
皮膚科や内科を受診すべき目安
-
1〜2週間セルフケアしても改善しない
-
何度も繰り返し口の端が切れる
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出血や膿、強い痛みを伴う
-
全身のだるさや体調不良も感じる
こうした場合は 自己判断せず皮膚科や内科を受診 しましょう。適切な検査や治療を受けることで、原因を特定し、早めに改善につなげられます。
まとめ|正しくケアして再発を防ごう




口の端が切れる症状は一時的な乾燥や刺激が原因のこともあれば、栄養不足や感染症、体質・病気が関係していることもあります。放置せず、正しいケアと生活習慣の見直しで再発を防ぎましょう。
放置せず原因を見極めることが大切
「すぐ治るだろう」と放置すると、炎症が悪化して口角炎などに進行することもあります。症状が続くときは原因を突き止めることが改善への近道です。
セルフケアと生活習慣の見直しで改善を
保湿や清潔なケアに加えて、ビタミンB群や鉄分を意識した食事、十分な睡眠、ストレスコントロールも大切です。体の外側と内側から同時に整えることで治りが早くなります。
繰り返す場合は医師の診断を受ける
セルフケアで良くならない、または何度も繰り返す場合は、皮膚科や内科を受診しましょう。適切な治療を受けることで再発防止につながり、快適な毎日を取り戻せます。
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