
「自分の声を録音で聞いたら、思っていたより高くてキモい…」そんな経験をしたことはありませんか? 実はこれは多くの人が感じる自然な現象で、脳や心理の仕組みが深く関係しています。
本記事では、なぜ自分の声が違って聞こえるのかを脳科学の視点から解説し、違和感を和らげる方法や自分の声に自信を持つための実践的な克服法まで紹介します。
なぜ自分の声を録音で聞くと「キモい」と感じるのか?
普段私たちが「自分の声」として認識している音は、実は“他人が聞いている声”とは少し違います。その理由は、声が耳に届く仕組みにあります。録音で初めて「客観的な自分の声」を耳にすると、想像していた声とのギャップが生まれ、「キモい」「気持ち悪い」と違和感を覚えるのです。
骨伝導と空気伝導の違いで声が変わる
声が耳に届く経路には大きく分けて2種類あります。
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空気伝導:声帯から発した音が空気を伝って耳に届く方法。他人が聞いているのはこちら。
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骨伝導:声を出したとき、頭蓋骨や体を振動させ、その振動が直接内耳に届く方法。自分が話すときにはこちらも強く影響します。
私たちは普段、自分の声を「空気伝導+骨伝導」のミックス音で聞いています。そのため、骨伝導の影響で実際よりも声が低く、響きがあるように感じられるのです。
一方、録音された声は「空気伝導だけ」。骨伝導の成分がないため、自分の頭の中で聞いている声よりも高く、軽く、頼りなく聞こえてしまい、「こんな声なの!?」と違和感を覚えるのです。
自分の声は「頭の中の声」とギャップがある
人は無意識に「自分の声はこういう声だ」というイメージを持っています。しかし、そのイメージは骨伝導を含めた“自分専用の声”。録音で再生されるのは、他人が普段聞いている“客観的な声”です。
この2つの差が大きいために、「思っていたより声が細い」「なんか鼻声っぽい」「感情がこもってない」と感じ、結果的に「キモい」と思ってしまいます。
つまり、録音の声が“特別に悪い”わけではなく、脳が記憶している声と違う=違和感が原因なのです。
脳の仕組みにある「違和感」の正体とは?




録音で自分の声を聞いたときに「キモい」と感じるのは、単なる音の違いだけではありません。実は脳の働きが深く関係しています。人間の脳は、普段聞き慣れている自分の声を基準として記憶しており、それと異なる音を「違和感」として処理してしまうのです。
脳は“聞き慣れた声”を加工して記憶している
私たちが普段「自分の声」と思っている音は、実際の声そのものではなく、脳が加工した声です。
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骨伝導の振動を含む声
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脳が「いつもの声」として安定的に認識するための補正
この2つが合わさり、私たちは「自分の声は落ち着いた低めの響き」と感じやすくなっています。
しかし録音の声は、その補正がかからない“ありのままの声”。脳が記憶している加工済みの声と比べると、「高い」「軽い」「細い」といったギャップが生じ、「本当に自分の声なの?」「違和感が強すぎる」と感じてしまうのです。
録音の声は「自分ではない声」と認識されやすい
人間の脳は「自己」と「他者」を区別する働きを持っています。ところが、録音の声は自分のはずなのに、脳が普段認識している声と大きく異なるため、“別人の声”として処理されやすいのです。
その結果、
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「誰だこの声?」という拒否反応
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「こんな声で話していたなんて恥ずかしい」という嫌悪感
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「自分の声が他人にどう聞こえているのか不安」という自意識の高まり
といった心理が生まれます。
つまり録音の声が「キモい」と感じるのは、脳が“自分ではない”と錯覚しているからなのです。
心理的な要因も関係している?




自分の声が録音で「キモい」「嫌だ」と感じるのは、物理的な仕組みや脳の認識の問題だけではありません。心理的な要因も大きく関係しています。声に対する自己評価や、他人からの見え方への意識が、違和感を強めてしまうのです。
自己評価と声の印象のズレ
人は自分の声を「こう聞こえているはず」と思い込み、それを基準に自己評価をしています。
しかし録音を聞いたとき、その声がイメージと大きく違うと「理想と現実のギャップ」に直面します。
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思っていたより声が高い → 「幼い」「頼りない」印象に感じる
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思っていたより鼻声っぽい → 「不健康そう」と思う
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思っていたより抑揚がない → 「感情がこもっていない」と感じる
このように、自分の評価と録音の声の印象が食い違うことで、嫌悪感が生まれやすいのです。
「恥ずかしい」「嫌悪感」を生む心理メカニズム
心理学では、人は自分の外見や声といった「自己イメージ」が崩されると、不快感や羞恥心を強く抱くといわれています。録音の声は、その典型的な例です。
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自己認識との不一致 → 「こんな声だったの!?」という驚き
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他者視点への意識 → 「周りにはこんな風に聞こえてるのか…」という恥ずかしさ
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否定的な感情の投影 → 「この声じゃ印象が悪い」と自分にダメ出し
この心理の流れが、「自分の声がキモい」という感覚を強めてしまいます。
自分の声に慣れるにはどうすればいい?




録音で自分の声を聞いたときの違和感や嫌悪感は、多くの場合「慣れ」の問題です。仕組みを理解したうえで、段階的に慣れていくことで「キモい」と感じる気持ちは徐々に薄れていきます。さらに工夫をすれば、声を改善して自信につなげることも可能です。
録音を繰り返し聞いて慣れる
最もシンプルな方法は、自分の声を繰り返し録音して聞くことです。
最初は違和感が強くても、繰り返し聞くことで脳が「この声も自分の声」と認識し始めます。
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スマホで短いメモや日記を録音
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プレゼンや会話を試しに吹き込んで聞き返す
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同じ文章を何度か読み上げて録音して比べる
これを習慣にすることで、少しずつ「録音の声=自分の声」と受け入れられるようになります。
客観的な意見を取り入れる
自分の声に対して厳しい評価を下してしまうのは「自己評価の偏り」が原因です。他人は意外と気にしていなかったり、むしろ「落ち着いた声」「明るくていい声」と感じていることも多いものです。
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信頼できる友人や同僚に感想を聞く
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客観的な立場から意見をくれる人に頼む
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自分では気づかない長所を教えてもらう
他者の意見を取り入れることで、ネガティブな自己イメージを修正しやすくなります。
発声トレーニングやボイストレーニングで改善
どうしても声に自信が持てない場合は、発声方法を改善するアプローチもおすすめです。
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腹式呼吸を意識して声に安定感を出す
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発声練習で声を通りやすくする
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ボイストレーナーに指導を受ける
発声を整えることで声質が改善され、録音の声もより魅力的に聞こえるようになります。さらに「自分の声を好きになれる」きっかけにもつながります。
まとめ|「キモい」は一時的、声に自信を持とう




録音で自分の声を聞いたときに「キモい」「嫌だ」と感じるのは、誰にでも起こる自然な現象です。声の仕組みや脳の認識、心理的な要因が重なっているだけで、あなたの声そのものが「悪い」わけではありません。むしろ多くの人は、自分の声を客観的に聞いたときに同じ違和感を体験しています。
違和感は脳と心理の仕組みからくる自然な反応
骨伝導と空気伝導の差によって声が変わり、さらに脳は「聞き慣れた声」を基準に記憶しているため、録音の声を別人のように感じてしまいます。これは脳の正常な働きによるもので、特別な問題ではありません。
また、理想の声とのギャップや「他人にこう聞こえているのか」という自意識が、恥ずかしさや嫌悪感を強めてしまうのです。
慣れと工夫で「自分の声=嫌い」から抜け出せる
録音を繰り返し聞いて慣れることや、周囲からの客観的な意見を取り入れること、さらには発声を改善することで、自分の声に対するイメージは大きく変わります。
最初は「キモい」と思っても、それは一時的な違和感にすぎません。慣れと工夫を重ねることで「これが自分の声なんだ」と受け入れられるようになり、自信を持って話せるようになります。
👉声はあなた自身を伝える大切なツール。嫌うのではなく「どう生かすか」に意識を向ければ、あなたの声は必ず強みになります。
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