
耳のかゆみが気になって耳かきをしてみたのに、耳垢が出てこない…そんな経験はありませんか?実は、そのかゆみは「外耳炎」など耳のトラブルが原因になっていることがあります。放置すると悪化して痛みや聞こえづらさにつながることもあるため、早めの対処が大切です。
この記事では、耳垢がないのに耳がかゆいときに考えられる原因と、正しいセルフケアや受診の目安について医師監修のもと解説します。
耳がかゆいのに耳垢がない…それって普通?
耳のかゆみといえば「耳垢がたまっているから」と思いがちですが、実際には耳垢がなくてもかゆみが起こることがあります。耳の皮膚は非常にデリケートで、ちょっとした刺激や乾燥でもかゆみを感じやすいためです。
一時的なかゆみであれば問題ありませんが、繰り返し続く場合や強いかゆみがある場合は、外耳炎などの炎症が隠れている可能性もあります。
耳垢が原因でない耳のかゆみとは
耳垢が見当たらないのにかゆいとき、考えられる原因には以下のようなものがあります。
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耳の乾燥:洗いすぎや耳かきのしすぎで皮膚の潤いがなくなる
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アレルギー反応:シャンプーや化粧品、金属アレルギーなどで耳の皮膚が敏感になっている
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湿気やムレ:イヤホンや補聴器を長時間使用することで蒸れ、かゆみを引き起こす
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軽い炎症の初期段階:まだ痛みや分泌物が出ていなくても、炎症が始まっているサインの場合がある
このように「耳垢=かゆみの原因」とは限らず、皮膚や生活習慣の影響も大きいのです。
放置すると炎症につながるケースも
耳のかゆみを軽く考えて放置してしまうと、かき壊しや雑菌の繁殖によって外耳炎に進行することがあります。外耳炎になると、次のような症状が出ることも。
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耳の強いかゆみや痛み
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耳からの分泌物(膿や耳だれ)
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耳の腫れや赤み
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音が聞き取りにくくなる
特に「かゆいから」と耳を強くかくと、皮膚に小さな傷ができて菌が入り込み、炎症を悪化させる原因になります。
対策のポイント
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かゆみが軽いときは、まず耳を触りすぎないこと
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耳かきは控えめにして、清潔さを保つ
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強いかゆみ・痛み・分泌物がある場合は、早めに耳鼻科を受診する
外耳炎とは?かゆみとの関係

外耳炎(がいじえん)は、耳の入り口から鼓膜までの「外耳」と呼ばれる部分に炎症が起きる病気です。原因の多くは、耳かきやイヤホンの使用による小さな傷や、耳の中の湿気による細菌・真菌の繁殖。
「耳がかゆい」という症状は、外耳炎の初期にあらわれることが多く、放置すると痛みや腫れに進行するケースがあります。
外耳炎の基本的な症状
外耳炎では、次のような症状が見られます。
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強いかゆみ(初期段階で多い)
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耳の痛み(触れるとズキッとすることも)
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耳からの分泌物(耳だれ・膿)
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耳の腫れや赤み
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聞こえにくさ(腫れや分泌物で耳の通りが悪くなるため)
軽度なら「ちょっとかゆいだけ」で済むこともありますが、悪化すると生活に支障が出るほどの痛みを伴うこともあるため注意が必要です。
耳のかゆみが初期サインになることも
「耳がかゆいのに耳垢がない」状態は、外耳炎の初期サインである場合があります。特に以下のような習慣がある人は要注意です。
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耳かきを頻繁にしている
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イヤホンや補聴器を長時間使っている
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プールやお風呂で耳に水が入りやすい
対策のポイント
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かゆみだけでも長引くなら、放置せず耳鼻科で診てもらう
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耳を無理にかかない・綿棒でいじらない
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水に濡れたあとは耳をやさしく乾かす
かゆみは「ただの不快感」と思いがちですが、外耳炎のサインを見逃さないことが悪化を防ぐ第一歩です。
こんな人は注意!外耳炎になりやすい習慣とは

外耳炎は「耳の中に傷や湿気がある状態」で細菌やカビが繁殖することで起こりやすくなります。実は、日常のちょっとした習慣が外耳炎の原因になっていることも少なくありません。特に以下の習慣がある人は注意が必要です。
耳かきを頻繁にする
「耳がかゆい=耳かきをする」というサイクルに陥りやすいですが、耳かきをやりすぎると耳の皮膚に細かい傷がつき、そこから菌が入りやすくなります。
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綿棒で奥まで入れる
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爪やヘアピンで耳をかく
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毎日のように耳掃除をする
こうした行為は外耳炎のリスクを高めます。
対策
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耳かきは月1〜2回で十分
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奥の耳垢は自然に外へ出てくるので無理に取らない
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どうしても気になるときは耳鼻科で安全に除去してもらう
イヤホン・補聴器を長時間使用する
イヤホンや補聴器を長時間入れっぱなしにすると、耳の中が蒸れて細菌や真菌が繁殖しやすくなります。また、器具そのものに付着した汚れが炎症の原因になることも。
対策
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長時間使用する場合は、適度に外して耳を休ませる
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イヤホンや補聴器はこまめに清潔にする(アルコール拭きがおすすめ)
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違和感やかゆみが出たら無理に使用せず、耳を休める
プールやお風呂で耳に水が入りやすい
水に濡れた耳は湿度が高く、菌が繁殖しやすい状態になります。プールや温泉に入ったあとに「耳がかゆい」と感じる人は、外耳炎のリスクが高いサインです。
対策
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プールでは耳栓を使用する
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入浴後はタオルで軽く拭き、自然に乾燥させる
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綿棒で強く水を拭き取るのは逆効果(皮膚を傷つけるためNG)
耳のかゆみを感じたときのセルフチェック

耳がかゆいとき、「ただの乾燥かな?」「耳垢が原因かも?」と軽く考えてしまいがちです。ですが、耳のかゆみには外耳炎などの病気が隠れていることもあります。病院へ行くかどうかを見極めるために、次のセルフチェックをしてみましょう。
かゆみ以外の症状(痛み・赤み・分泌物)があるか
かゆみだけでなく、以下の症状がある場合は外耳炎や中耳炎の可能性が高まります。
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耳を触るとズキッと痛む
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耳の中が赤く腫れている
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膿や耳だれのような分泌物が出る
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音が聞こえにくい
こうした症状が出ている場合は、自己判断せず早めに耳鼻科を受診することが重要です。
片耳だけか、両耳か
耳のかゆみが「片耳だけ」か「両耳か」でも原因が変わってきます。
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片耳だけ → 外耳炎などの局所的な炎症や傷が疑われやすい
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両耳とも → アレルギーや乾燥、湿疹など全身的な要因の可能性がある
「片耳だけ繰り返しトラブルが起きる」場合は、慢性的な外耳炎の恐れがあるため特に注意が必要です。
かゆみの頻度やタイミングを記録する
耳のかゆみは「いつ・どんなときに出るか」を記録しておくと、原因の特定に役立ちます。
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入浴後やプール後に強くなる → 水の影響で炎症のリスク大
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イヤホン使用中や使用後に出る → 蒸れや摩擦が原因かも
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季節の変わり目や花粉シーズンに悪化 → アレルギーの可能性
対策
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スマホやメモ帳に「かゆみ日記」をつけておく
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病院で症状を伝えるときに役立つ
👉 このセルフチェックを習慣化することで、「軽いかゆみで済むのか」「病院に行くべきか」を見極めやすくなります。
かゆみが外耳炎によるものだった場合の対処法

耳のかゆみが「外耳炎」のサインだった場合、自己流のケアを続けると症状が悪化する可能性があります。特に市販薬や耳かきに頼りすぎるのは逆効果になることも。ここでは、安全に対処するためのポイントを解説します。
市販薬を自己判断で使うのはNG
耳の中は目で見えにくいため、「かゆい=薬を塗れば治る」と考えがちですが、これは危険です。
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ステロイド入りの軟膏を自己判断で使うと、かえって症状を悪化させることがある
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点耳薬も、症状や原因に合わなければ効果がなく、悪化のリスクがある
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綿棒や指で薬を塗り込むと、皮膚を傷つけて炎症を広げることも
👉 市販薬は使わず、必ず医師の診断を受けて処方薬を使用するのが基本です。
耳鼻科を受診すべき症状とは
次のような症状がある場合は、早めに耳鼻科を受診しましょう。
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強いかゆみや痛みが続く
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耳から膿や耳だれが出ている
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耳の中が赤く腫れている
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音が聞こえにくい、耳が詰まった感じがする
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かゆみが長期間続く、何度も繰り返す
これらは「外耳炎が進行しているサイン」であり、放置すると治りにくくなるだけでなく、中耳炎など他のトラブルにつながる可能性もあります。
受診までにできる応急ケア
耳鼻科を受診するまでの間は、以下のセルフケアで悪化を防ぎましょう。
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耳を触らない・かかない:かゆくても我慢して触らないことが一番の予防
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耳を乾燥・清潔に保つ:入浴後はタオルでやさしく水分を拭き取る
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イヤホンや補聴器を控える:耳の中を蒸らさないようにする
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痛みが強いときは冷やす:タオルで包んだ保冷剤を耳の周囲にあてると一時的に楽になる
👉 ポイントは「自己判断で薬を使わない」「悪化サインがあれば受診」「それまで耳を触らず清潔に保つ」という3点です。
外耳炎を予防するためにできること

外耳炎は一度なると再発しやすいトラブルです。だからこそ、日頃から「耳を守る習慣」を身につけておくことが大切。ここでは、耳のかゆみや炎症を防ぐための具体的な予防法をご紹介します。
耳かきは控えめに
「耳はきれいにしなければ」と思い、つい耳かきを頻繁にしてしまう人は要注意です。
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耳かきのしすぎで皮膚が傷つき、炎症やかゆみを招く
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耳垢は自然に外へ押し出される仕組みがあるので、頻繁に掃除しなくてもOK
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綿棒を奥まで入れるのは逆効果
予防ポイント
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耳掃除は月1〜2回程度で十分
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耳の奥は触らず、見える範囲だけ軽く掃除
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気になるときは耳鼻科で安全に耳垢を取ってもらう
イヤホン・補聴器の清潔を保つ
イヤホンや補聴器は耳に直接触れるため、雑菌が繁殖しやすいアイテムです。これが外耳炎の原因になることもあります。
予防ポイント
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使用後はこまめにアルコールシートで拭く
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長時間使う場合は1〜2時間ごとに外して耳を休ませる
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耳に違和感があるときは無理に使用せず、耳を清潔に保つ
耳を乾燥・清潔に保つ習慣
耳の中は「湿気」も「乾燥」も外耳炎の原因になりやすい敏感な部位です。バランスを意識したケアが重要です。
予防ポイント
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入浴やプール後は、耳の入り口をタオルで軽く拭く
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ドライヤーの冷風を当てて、やさしく乾かすのも有効
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耳の保湿が必要な場合(乾燥肌の人など)は、医師に相談のうえ保湿剤を使用
👉 外耳炎予防のカギは「やりすぎない耳ケア」と「清潔・乾燥のバランス」です。
正しい習慣を取り入れることで、耳のかゆみや炎症をぐっと防ぎやすくなります。
まとめ|耳のかゆみを放置せず、早めの対策を

「耳がかゆいけれど耳垢はない」という状態は、乾燥やアレルギーといった軽い要因の場合もあれば、外耳炎の初期サインであることもあります。
かゆいからといって耳をいじりすぎると、かえって炎症を悪化させてしまうため注意が必要です。
ポイントの振り返り
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耳かきのしすぎやイヤホンの長時間使用は外耳炎のリスクを高める
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痛み・赤み・分泌物などの症状があるときは耳鼻科を早めに受診する
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普段から「耳を触りすぎない」「清潔と乾燥のバランスを保つ」ことが予防につながる
耳はとてもデリケートな器官だからこそ、自己流ケアよりも「触らない・清潔を保つ・異常は早めに受診」という基本を守ることが大切です。
👉 「ちょっとかゆいだけ」と放置せず、早めのケアで耳の健康を守りましょう。


