【心理カウンセラー監修】外に出るのが怖くなったときの克服法|少しずつ「安心」を取り戻すためにできること

外に出るのが怖くなったときの克服方法|少しずつ「安心」を取り戻すためにできること

最近、「外に出るのが怖い」と感じることはありませんか?
外の世界に出ようとすると、胸がざわついたり、息が詰まるような不安に襲われたり…。
そんな自分を「おかしいのかな」と責めてしまう人も少なくありません。

でも大丈夫。その怖さは、あなたの心が「これ以上無理をしないで」と教えてくれている防衛反応でもあります。
この記事では、心理カウンセラー監修のもと、外に出るのが怖くなったときに試したい心の整え方と克服ステップを紹介します。
少しずつ「安心」を取り戻していくためのヒントを、一緒に見つけていきましょう。

 

外に出るのが怖くなるのは「心の防衛反応」かもしれない

「外に出るのが怖い」「外の空気を感じただけで不安になる」──
そんなとき、多くの人は「自分が弱いから」と責めてしまいがちです。
ですが実は、この“怖さ”は心が壊れないようにあなたを守るための防衛反応でもあります。
身体がウイルスから自分を守るように、心もストレスや恐怖からあなたを守ろうとしているのです。

不安や恐怖を感じるのは「弱さ」ではなく“自己防衛”

人間の脳には、危険を察知すると自動的に“避けよう”とする仕組みがあります。
たとえば、過去に外で嫌な経験をしたり、体調が悪い状態で出かけたことがあると、
脳は「また同じことが起きるかも」と判断し、外出を止めようとします。

これは決して「怠け」や「弱さ」ではなく、心があなたを守っているサインです。
怖いと感じるのは、それだけ心が疲れている証拠。
「今は外に出られなくてもいい」「少し休もう」と、
自分を責める代わりに“いたわる時間”を持つことが、回復の第一歩になります。

🪷対処のポイント

  • 「怖い」と感じたら、まずは否定せずに受け止める

  • 「今の私には外が少し怖いだけ」と、状況を客観的に言葉にする

  • 自分の心に「守ってくれてありがとう」と声をかけてみる

心に“許し”を与えることで、少しずつ外の世界への扉が再び開き始めます。

「外に出る=危険」と脳が誤認してしまうメカニズム

恐怖や不安を感じるとき、私たちの脳の中では「扁桃体(へんとうたい)」という部分が強く反応しています。
扁桃体は危険を察知して、体に「逃げろ!」と信号を送る場所です。
ところが一度でも外出時に強いストレスを感じると、
扁桃体がその記憶を「外出=危険」として保存してしまうことがあります。

すると、実際には安全な状況でも、
脳が過剰に反応して不安や動悸、緊張を引き起こしてしまうのです。

この“誤作動”を落ち着かせるために大切なのが、「安心感を再学習」させること
たとえば、

  • 家の玄関まで出て、深呼吸する

  • ベランダに出て太陽の光を感じる

  • 信頼できる人と短時間だけ外を歩く

といった“小さな外出体験”を繰り返すことで、
脳は「外=危険」ではなく「外=安全な場所もある」と少しずつ認識を変えていきます。

🪷対処のポイント

  • 深呼吸で体の緊張をゆるめ、脳に「今は安全」と伝える

  • 外に出る練習は「1分」「数歩」など、ハードルを低く

  • 成功したら「今日はできた」と口に出して、自信を積み重ねる

恐怖は“敵”ではなく、あなたを守ってくれる信号
その意味を理解しながら少しずつ慣らしていくことが、克服への近道です。

 

よくある原因|「外出恐怖」の背景にあるものとは

「外に出るのが怖い」という感覚には、必ず心の背景があります。
それは“性格”ではなく、“経験や環境”がつくり出した自然な反応です。
ここでは、外出恐怖を引き起こしやすい代表的な3つの要因を見ていきましょう。

過去のストレス体験やトラウマ

外に出るときに強い不安を感じる人の中には、
過去に「外で怖い思いをした」「人に傷つけられた」「倒れたことがある」など、
外の環境にまつわる記憶がきっかけになっているケースが少なくありません。

脳はその体験を「もう二度と起こしたくない」と記憶し、
似た状況になると自動的に“防衛反応”を起こします。
これが、「行こうとすると体が固まる」「心臓がドキドキする」といった反応の正体です。

🪷対処のポイント

  • 「あのときの自分は怖かった」と、過去の体験を“評価せずに”認める

  • 無理に思い出そうとせず、「今の私は安全」と現在の感覚に意識を向ける

  • 同じ場所に行く場合は、信頼できる人と一緒に行くなど“安心感の上書き”をする

トラウマは“癒す”よりも、“安心を少しずつ取り戻す”ことから。
あなたのペースで、ゆっくり前へ進めば大丈夫です。

体調不良やメンタルの疲労によるもの

外出恐怖は、心だけでなく体の状態にも深く関係しています。
睡眠不足、ホルモンバランスの乱れ、自律神経の不調などが続くと、
体が常に“緊張モード”になり、外に出るエネルギーが出なくなってしまうことがあります。

また、仕事や人間関係で心がすり減っていると、
「人の目に触れる」「移動する」といった日常の刺激でさえ負担に感じやすくなります。
それは“怠け”ではなく、心と体が「これ以上は無理」と教えてくれているサインです。

🪷対処のポイント

  • まずは睡眠と食事のリズムを整える

  • 朝起きたら、カーテンを開けて自然光を浴びる

  • 「できたことリスト」を書いて、エネルギーが少しずつ戻っている実感を得る

体が整えば、心にも余裕が戻ります。
「外に出られるようになる」のは、その回復の副産物として自然に訪れることが多いです。

コロナ禍や社会的変化による環境ストレス

コロナ禍以降、「外出=リスク」という感覚が私たちの中に強く残りました。
長期間、家の中で過ごすことが“安全”とされてきた結果、
外の環境を「危険」と感じる脳の回路が形成されてしまったのです。

さらに、社会全体の変化──マスクの着脱、会話の減少、人との距離の取り方など──が、
無意識のうちに人との関わりへの不安を高めています。
これらは多くの人が共通して感じているストレスであり、「自分だけ」ではありません。

🪷対処のポイント

  • まずは「外に出られない自分を責めない」と決める

  • 人が少ない時間帯・場所から外の空気に慣れる

  • 外出先では“安心できる習慣”を取り入れる(好きな音楽・アロマ・マスクなど)

社会の変化で感じる不安は、人間として自然な適応反応です。
焦らず、自分の“心の安全圏”を広げていけば、また外の世界に穏やかに戻ることができます。

 

少しずつ克服するための具体的なステップ

少しずつ克服するための具体的なステップ

「外に出るのが怖い」という気持ちは、
一気に消そうとするほど強くなることがあります。
大切なのは、“怖さをなくす”ことではなく、
「怖くても少し動けた」自分を積み重ねていくこと。

ここでは、無理せず外出への自信を取り戻すための3つのステップを紹介します。

① “行けそうな範囲”を小さく設定する

克服の第一歩は、「できそう」と思える小さな行動から始めること。
いきなり遠くまで出かけようとせず、
たとえば以下のように“距離と目的”を細かく分けてみましょう。

  • 家の玄関まで出て、外の空気を吸う

  • ゴミを出すついでに数歩、外に立ってみる

  • 近くの自販機やコンビニまで歩いてみる

このように、成功体験を少しずつ積み重ねることで、
脳は「外に出ても大丈夫」という**“安心の記憶”**を再びつくり始めます。

🪷対処のポイント

  • スマホのメモやカレンダーに「今日は玄関までOK」などの記録を残す

  • 「これなら行けるかも」と思える範囲を毎回自分で決める

  • 無理な日は「今日はやめておこう」と、引き返す勇気も大切にする

“少し行けた”という経験の積み重ねが、やがて「外に出るのが当たり前」に変わっていきます。

② 「外に出た自分」を褒める習慣をつける

克服の過程でいちばん大切なのは、自分を認めることです。
外に出られたかどうかよりも、
「怖いのに挑戦した」という行動自体が大きな一歩だからです。

人は「できなかったこと」よりも「できたこと」に目を向けると、
脳内でドーパミン(やる気を生む物質)が分泌され、
次の行動へのエネルギーが自然と湧きやすくなります。

🪷対処のポイント

  • 「今日も外の空気を吸えた」「玄関を開けただけでもOK」と言葉にする

  • 頑張った自分にご褒美をあげる(お茶を飲む・好きな音楽を聴くなど)

  • 「前より少しできた」と気づいたら、しっかり自分を褒める

“外に出られた自分”を責めるのではなく、勇気を出した自分を祝福すること。
この小さな肯定の積み重ねが、不安をやわらげ、心の安定を育てていきます。

③ 1人で抱えず、信頼できる人と話してみる

不安を軽くするうえで最も効果的なのは、誰かと気持ちを共有することです。
人に話すことで、心の中の“怖いイメージ”が言葉として整理され、
感情の渦から少し離れて自分を見つめ直すことができます。

信頼できる家族や友人に「最近外に出るのが怖い」と正直に話してみましょう。
もし身近な人に話しづらい場合は、
カウンセラーやオンライン相談など、専門のサポートに頼るのも立派な選択です。

🪷対処のポイント

  • 話すときは「アドバイスがほしい」ではなく「聞いてほしい」と伝える

  • SNSではなく、安心できる1対1の場を選ぶ

  • “理解してもらえる場所”を見つけることが、心の安全基地づくりにつながる

外出恐怖を克服するのは、決して1人で頑張ることではありません。
誰かに話すことは「助けを求める」ではなく、「回復を始める」サインなのです。

 

心の安全基地をつくる|不安と向き合うための習慣

外に出るのが怖くなったとき、
焦って「克服しなきゃ」と思うほど、不安が強まってしまうことがあります。
そんなときこそ大切なのは、「外に出る練習」よりも「心を落ち着かせる習慣」を持つこと。

安心できる時間や空間を少しずつ増やしていくことで、
心の中に“安全基地”ができ、不安への抵抗力が自然と育っていきます。

自分が安心できる“居場所”を意識して増やす

心が疲れているときは、外の世界が“刺激の多い場所”に感じられます。
そんなときは、**「自分にとって安心できる場所」**を意識的に増やすことが大切です。

安心できる居場所は、必ずしも「家」だけではありません。

  • 好きなカフェや公園

  • 信頼できる友人の家

  • オンライン上で穏やかに話せるコミュニティ

など、「ここにいると落ち着く」と感じる空間が、あなたの“心の避難所”になります。

🪷対処のポイント

  • 「安心できる場所リスト」をスマホやノートに書き出しておく

  • 不安を感じたときは、その中のどこかへ“心を避難”させる

  • 居場所を「物理的な場所」+「人」+「習慣」で考えてみる

安心できる居場所をいくつか持つことで、
「怖くても戻れる場所がある」と感じられ、心が少し軽くなります。

深呼吸・ストレッチ・アロマなどで心身をゆるめる

外出恐怖の背景には、自律神経の乱れが関係していることがあります。
不安を感じると交感神経が過剰に働き、
心臓がドキドキしたり、体がこわばったりしてしまうのです。

そこで役立つのが、「体をゆるめる習慣」。
体を落ち着かせると、脳も「今は安全」と認識し、自然と安心感が戻ります。

🪷おすすめのリラックス法

  • 深呼吸:息を4秒で吸い、6秒でゆっくり吐く。呼吸に集中するだけでOK

  • ストレッチ:肩・首をまわす、背伸びをするなど軽めの動きで血流を促す

  • アロマ:ラベンダーやベルガモットなど、“安心”を感じる香りを取り入れる

これらの小さな行動は、「外に出られない自分」への優しいセルフケア。
心と体の緊張をゆるめることが、不安に飲み込まれない土台をつくります。

「今日できたこと」を振り返って、自己肯定感を積み上げる

外に出ることに不安を感じる日々では、
「また出られなかった」「情けない」と自己否定に陥りやすくなります。
しかし、克服のカギは“できなかったこと”ではなく、「できたこと」に目を向ける習慣です。

どんなに小さなことでも構いません。

  • 朝起きられた

  • カーテンを開けた

  • 深呼吸をした

  • 外の景色を眺めた

それらすべてが、立派な“回復への一歩”です。

🪷対処のポイント

  • 寝る前に「今日できたことを3つ」ノートに書く

  • 「昨日よりできたこと」を見返して、少しずつ自信を積み重ねる

  • できなかった日も、「今日は休む日だった」と優しく認める

小さな達成を積み上げることで、自己肯定感は確実に回復していきます。
そしてその積み重ねこそが、やがて「また外に出てみようかな」と思える力になるのです。

 

それでもつらいときは|頼れる専門サポートとは

それでもつらいときは|頼れる専門サポートとは

心理カウンセラーや心療内科のサポートを受ける

どれだけ自分なりに頑張っても、気持ちが沈み続ける・不安で眠れないなどの状態が続くときは、専門家の力を借りることを考えてみましょう。
心理カウンセラーは「心の整理のプロ」であり、安心して話を聞いてもらえる存在です。話すだけで心の負担が軽くなり、問題の整理や解決への糸口が見えることもあります。
また、心療内科では必要に応じて医師による診断や薬のサポートを受けられます。
「受診するのは大げさかな…」と思う必要はありません。体と同じように、心もケアすることは自然なことです。

オンライン相談・メンタルケアサービスの活用法

最近では、スマホやPCから気軽に相談できるオンラインカウンセリングメンタルケアサービスも増えています。
外出が難しいときや、対面で話すのが不安な場合にも、チャットやビデオ通話で専門家に話を聞いてもらえます。
「対面はまだハードルが高い」「自分のペースで話したい」という人にもおすすめです。
公的機関や自治体でも無料・匿名で相談できる窓口があるので、まずは気軽に利用してみましょう。
(例:こころの健康相談統一ダイヤル〈0570-064-556〉、よりそいホットライン など)

早めの相談が「回復を早める」第一歩になる

心の不調は、早めに相談するほど回復がスムーズになることが多いです。
「もう少し頑張れる」「誰かに迷惑をかけたくない」と我慢し続けるよりも、少しの不安や違和感を感じた時点で話してみることで、深い疲れになる前に立て直すことができます。
専門家に相談することは、弱さの証ではなく、自分を大切にする勇気ある選択です。
つらさを1人で抱え込まず、信頼できるサポートへ“つながる”ことで、心の回復は確実に進んでいきます。

 

まとめ|“怖くなった自分”を否定せず、一歩ずつでいい

まとめ|“怖くなった自分”を否定せず、一歩ずつでいい

恐れはあなたを守る“サイン”でもある

「外に出るのが怖い」「人に会うのが怖い」と感じる気持ちは、あなたが弱いからではありません。
その“怖さ”は、これまで頑張ってきた心が「少し休ませて」と伝えているサインでもあります。
人は危険を察知したときや、過去のつらい経験を思い出したときに恐れを感じるものです。
つまり、恐れは自分を守るための本能的な反応
まずは「怖い」と感じている自分を否定せず、「今は心が慎重になっているだけ」と受け止めてあげましょう。

安心を取り戻すスピードは人それぞれ

心の回復には「正しいペース」も「早道」もありません。
昨日より少し外の空気を吸えた、窓の外を眺められた──そんな些細なことでも、立派な前進です。
誰かと比べず、自分のペースで少しずつ安心を取り戻すことが、何より大切です。
焦りや自己否定が出てきたときは、「私はちゃんと頑張っている」と声に出してみてください。
それだけでも、心の中に小さなやさしさの灯がともります。

今日できる小さな一歩を、ゆっくり踏み出そう

一歩とは、「外に出ること」だけではありません。
布団から起きる、好きな音楽を聴く、温かいお茶を飲む──それも立派な一歩です。
どんなに小さくても、「今日できたこと」を認めることが、明日への力になります。
もし怖さが消えなくても大丈夫。立ち止まる日があっても、また歩き出せる日がきます。
“怖くなった自分”を受け入れながら、今できることを一つずつ積み重ねていく
その先に、もう一度「安心して生きられる日常」がきっと戻ってきます。

 

 

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国家資格キャリアコンサルタント・メンタルヘルス・マネジメント®検定II種取得。企業での人材育成や新入社員研修の経験を経て、現在は心理カウンセラーとして個人・法人向けにカウンセリングや研修を行っています。 働く人の「こころの健康」を守ることをミッションとし、職場のストレス、自己肯定感の低下、人間関係の悩みに寄り添いながら、年間300件以上の相談に対応。信頼される「話し方」や「聴き方」のプロとして、多くのメディアにも情報提供を行っています。 「ひとりで抱え込まないで。一緒に考えることで、こころは軽くなる。」

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