カラスはなぜ黒い?昔話と科学の2つの説で迫る“黒の謎”とは
夜空のように真っ黒なカラス。その姿に、どこか神秘的な印象を持つ人もいれば、「ちょっと不吉かも…」と感じる人もいるかもしれません。けれど、ふと疑問に思いませんか? なぜカラスは黒いのか?
この問いには、昔話に語られる“物語的な理由”と、科学的な視点からの“現実的な理由”の2つがあります。古くから人々に語り継がれてきた民話や神話、そして進化や生態に基づいた科学的な説明。どちらも、カラスの「黒」に深い意味を与えているのです。
この記事では、**昔話と科学の2つの説から「カラスが黒い理由」**を徹底解説!読み終えるころには、カラスの印象が少し変わって見えるかもしれません。
昔話に見る「カラスが黒い理由」
日本の昔話・民話に描かれる“黒くなった理由”とは?
「カラス=黒い鳥」というイメージは、自然現象としてだけでなく、昔話や民話にも深く刻まれています。
人々はその黒さに意味を見出し、物語として語り継いできました。ここでは、代表的な説を3つ紹介します。
火の神に仕えた“焼け焦げカラス”説(例:太陽の使いの話)
日本や中国など東アジアには、カラスが太陽や火の神に仕えていたという伝承があります。
ある昔話では、「カラスはかつて白かった」と語られています。
ある日、天の神に命じられて火を運ぶ役目を負ったカラスは、その強烈な熱によって羽を焼かれ、真っ黒になってしまった――というのが「焼け焦げ説」です。
この説は、カラスが“空を飛ぶ神の使い”として敬われていた時代の名残ともいわれ、単なる黒い鳥ではなく、高貴で重要な存在として描かれていました。
天罰によって黒くなったという教訓的な話
別の昔話では、カラスが黒くなったのは**「悪いことをしたから」**と語られます。
たとえば、
・神の命令に背いた
・他の動物をだました
・嘘をついた
といった行為により、「罰として体を黒くされた」という展開がよく見られます。
このような話には、「悪い行いをすれば見た目にも現れる」「神様は見ている」という道徳的なメッセージが込められているのです。
特に子どもへのしつけや戒めとして、こうした昔話は長く語り継がれてきました。
世界の昔話に見る“黒いカラス”の象徴と意味
カラスの黒は、日本だけでなく世界中の昔話や神話でも重要な意味を持ちます。
たとえば──
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北欧神話では、神オーディンの使者として知恵と情報をもたらす存在
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**中国の「三本足のカラス(ヤタガラス)」**は太陽の中にいる神聖な存在
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西洋の中世伝承では、不吉・死の象徴として扱われることも
つまり、カラスの黒には“神聖”と“不吉”の両極のイメージが共存しているのです。
それぞれの文化が、カラスの黒をどのように解釈するかは興味深い比較対象となります。
科学で解明!カラスが黒い本当の理由
羽の色、進化、生存戦略…科学はこう語る
昔話では“神の使い”や“天罰”とされたカラスの黒い色。でも実は、この色には科学的な理由と生き残りの戦略が詰まっています。
カラスがなぜ黒いのか――その答えは、羽の構造や色素、進化の過程にありました。
羽の構造と「黒い色素(メラニン)」の役割
カラスの羽が黒い最大の理由は、「メラニン色素」が豊富に含まれているからです。
このメラニンは、人間の肌や髪にも含まれる色素で、紫外線からの保護や、摩擦に強くなる働きを持っています。
カラスの羽には特に黒色のユーメラニンが多く、これが羽の表面を深い黒に見せています。さらに、羽の構造そのものが光を吸収しやすくなっており、まるで“黒光り”するような質感を生み出しているのです。
進化上のメリット:日光吸収や耐久性の高さ
黒い羽は、単なる色の特徴ではなく、生存に有利な性質でもあります。
たとえば──
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日光を効率よく吸収して体温を保つ
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羽の摩耗や劣化に強い(メラニンの保護作用)
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雑菌の繁殖を抑える抗菌効果もあるという研究も
特にカラスは街中でも活動し、環境変化に強く生き延びる野鳥として知られています。黒い羽は、こうした厳しい生息環境の中で進化した“耐久仕様”とも言えるのです。
黒が敵から身を守る?カモフラージュ説や社会性との関係
カラスの黒は「目立つ色」と思われがちですが、実は**背景に溶け込む“カモフラージュ効果”**も持っています。
特に──
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夜明けや夕暮れなど薄暗い時間帯に行動する際、黒は目立ちにくい
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森林や都市部でも、影と同化しやすく、天敵に見つかりにくい
また、黒い色は仲間同士の視認性にも優れ、群れでの連携やコミュニケーションに役立つとも言われています。
群れで暮らすカラスにとって、**黒は“孤立しない色”**でもあるのです。
「黒いカラス」に対するイメージの変遷
なぜ“怖い・不吉”と思われるのか?文化的背景を探る
カラスはただの黒い鳥…ではありません。
その色と鳴き声、行動パターンから、長い歴史の中で「不吉」「神秘的」「賢い」など、さまざまなイメージを持たれてきました。
ここでは、日本と西洋の文化背景を比較しながら、現代のカラス像のルーツを探ります。
日本文化でのカラス:神の使いから不吉の象徴へ
日本では古くから、カラスは神の使いとして神聖視されてきました。
その代表が、「八咫烏(やたがらす)」。熊野神社の神使であり、神武天皇を導いた存在として、太陽の化身・導きの象徴として描かれています。
しかし時代が下るにつれ、カラスは次第に「死を呼ぶ鳥」「縁起の悪い鳥」というイメージに変化します。
その背景には──
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火葬場や墓地に現れる習性
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残飯や小動物を食べる姿への嫌悪感
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夜明け前の不気味な鳴き声
などがあり、日常生活における“不気味さ”が信仰よりも勝るようになったと考えられます。
西洋との比較:カラスは悪魔?それとも知恵の象徴?
一方、西洋文化ではカラスは**「死」「闇」「魔術」**と深く結びつけられてきました。
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キリスト教圏では、カラスは悪魔の使い、死の前触れとされることも
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「カラスが1羽鳴けば誰かが死ぬ」といった迷信が残る地域も
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エドガー・アラン・ポーの詩『The Raven(大鴉)』では、死者の霊を象徴する存在として登場
しかし同時に、北欧神話では主神オーディンに仕える知恵の使者として、2羽のカラス「フギンとムニン」が登場するなど、知性や情報の象徴としての側面もあります。
つまり、カラスは西洋でも**“恐れられつつ、同時に一目置かれる存在”**として描かれているのです。
現代の私たちが抱くカラス像と、そのギャップ
現代の日本人にとって、カラスのイメージはどちらかというと「怖い・うるさい・ちょっと不気味」という印象が強いかもしれません。
ですが実際には──
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高い知能を持ち、道具を使うこともできる鳥類
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社会性が高く、家族単位で行動する優れたコミュニケーション能力を持つ
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繁華街や都市で生き抜く適応力の高さと賢さ
など、人間以上に“人間らしい”生存術を持っているとも言えます。
そのため、「不吉な鳥」とされがちなカラスですが、科学的・生態学的視点ではむしろ「賢くたくましい存在」と再評価されることも増えてきました。
まとめ|カラスの“黒”に込められた意味を知ろう
昔話と科学、2つの視点で見えてくる真実
「カラスが黒いのはなぜか?」という疑問には、神話や昔話が語る象徴的な理由と、科学が明かす現実的な理由の2つがあります。
どちらの視点も、私たちがカラスをどう見るかに影響を与えてきました。
この章では、物語と科学が交差するその“真実”に、改めて目を向けてみましょう。
神話と科学、どちらの話にも意味がある
カラスが黒い理由を昔話では「焼けたから」「罰を受けたから」と語り、科学では「メラニンが多くて羽が強くなる」と説明します。
一見、全く違う話のようですが、実はどちらも**人が世界を理解しようとした結果の“答え”**なのです。
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昔話は、カラスの黒に物語的な意味や教訓を与えました
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科学は、**その黒が持つ“実用性や機能性”**を解き明かしました
つまり、「なぜ黒いのか?」という素朴な疑問に、人類は昔から様々な形で答えてきたのです。
どちらの答えも、私たちの知識や価値観を豊かにしてくれる重要な“視点”と言えるでしょう。
“黒い理由”を知れば、カラスの見方が変わるかも
「黒い=怖い」「不吉な鳥」と思われがちなカラスですが、その理由を知ることで見方はガラッと変わります。
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神の使いとして崇められていた歴史
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進化の中で選ばれた“合理的な黒”
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賢く社会的な生き方をする鳥としての側面
こうした事実を知れば、カラスの黒は「不気味」ではなく、むしろ賢さや生存力の象徴として見えてくるはずです。
私たちが普段何気なく目にしている“黒いカラス”にも、物語と科学が重なり合う深い背景がある。
それを知ることは、自然や生き物を見る目を少し優しく、そして鋭くしてくれるかもしれません。


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