お茶が冷めると苦くなるのはなぜ?|カテキンの働きと味の変化のしくみを解説
「いれたてはおいしいのに、冷めるとなんだか苦い…」そんな経験、ありませんか?
実はこの“味の変化”には、お茶に含まれる成分と、私たちの味覚のしくみが深く関わっています。中でも注目したいのが、健康効果でも知られる「カテキン」という成分。
この記事では、お茶が冷めると苦く感じる理由や、カテキンの役割、味わいの変化のしくみをわかりやすく解説します。冷めたお茶をもっとおいしく楽しむコツもご紹介しますので、日々のお茶時間がもっと豊かになるはずです。
冷めたお茶が「苦く感じる」理由とは?
温かいときは気にならないのに、なぜ冷めると苦くなる?
お茶をいれたてで飲んだときはやさしい渋みや香りを楽しめても、少し時間が経って冷めたものを口にすると「なんだか苦い…」と感じることがあります。これは、温度の変化によって「味の感じ方」に違いが出るからです。
人間の味覚は、温度によって敏感になる味と、鈍感になる味があります。たとえば、甘みやうま味は温かいとより強く感じられるのに対し、苦味や渋みは温度が下がると際立ちやすいという特徴があります。
つまり、同じお茶でも、冷めることで“甘みや香りがぼやけ”、代わりに“苦味や渋みが強調されてしまう”のです。これが「冷めたお茶は苦い」と感じる主な理由です。
苦味の正体は「カテキン」にあり
お茶の苦味や渋みの主成分として知られているのが、「カテキン」です。これは、ポリフェノールの一種で、緑茶・ほうじ茶・ウーロン茶など多くのお茶に含まれる成分。健康効果も高く、抗酸化作用や抗菌作用、脂肪燃焼サポートなどが注目されています。
ただし、カテキンには強い渋みや苦味があるため、冷めて甘味や香りが弱まると、このカテキンの苦味が際立ってしまうのです。特に煎茶や深蒸し茶など、カテキンの含有量が多いお茶ほどその傾向が強く現れます。
さらに、抽出温度が高すぎるとカテキンが一気に出てしまい、冷めたときにより強く苦味を感じる原因にもなります。お茶をよりまろやかに楽しみたい場合は、最初から低めの温度でゆっくり淹れるなど、ちょっとした工夫で印象が変わります。
カテキンとは?|お茶の渋み・苦味・健康効果の中心成分
カテキンの基本情報|ポリフェノールの一種
カテキンは、お茶の代表的な成分であり、特有の「渋み」や「苦味」を生み出すもとになっている物質です。化学的には、「フラバノール」と呼ばれるポリフェノールの一種に分類されます。
とくに緑茶にはカテキンが豊富に含まれており、その含有量は製法や品種によって異なります。カテキンは葉を高温で加熱せずに加工することで多く残るため、蒸し製の煎茶や玉露などはとくに多く含んでいます。
カテキンには種類もあり、「エピガロカテキンガレート(EGCG)」や「エピカテキン(EC)」などが代表的。これらは苦味・渋みを感じさせると同時に、さまざまな**生理活性(=体に働きかける作用)**を持っています。
温度によって抽出される量が変わるため、「お茶の淹れ方」がカテキンの量や味わいに大きく関わってくるのも特徴です。
味だけじゃない!カテキンの健康効果とは
カテキンが注目されているのは、味の面だけではありません。抗酸化作用・抗菌作用・脂肪燃焼サポートなど、健康維持にうれしい働きが多く報告されています。
主な効果としては以下のようなものがあります:
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抗酸化作用:体内の活性酸素を抑える働きがあり、老化や生活習慣病の予防に貢献。
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抗菌・抗ウイルス作用:風邪・インフルエンザ予防、口臭・虫歯予防にも効果があるとされています。
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脂肪燃焼サポート:一部の研究では、カテキンの摂取が脂肪代謝を促進する可能性が示唆されています。
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血糖値の上昇抑制:糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の急上昇を防ぐ働きが期待されています。
このように、カテキンは「お茶の味をつくる成分」でありながら、「体の調子を整えるサポート成分」でもあるのです。
ただし、カテキンは多く摂取すれば良いというものではなく、胃に刺激を与えることもあるため、空腹時の過剰摂取には注意が必要です。
お茶が冷めると味が変化するしくみ
温度によって感じ方が変わる「味覚の不思議」
味は、舌だけで感じているようでいて、実は温度、香り、口当たりなど複数の要素が合わさって「風味」として脳に伝わります。その中でも、飲み物の温度は味覚に大きく影響する要因です。
たとえば、甘味やうま味は温かいときにより強く感じやすく、逆に冷たくなると感じにくくなります。一方、苦味や渋みは低温になるほど感じやすくなるという性質があります。
そのため、いれたてのお茶では甘みや香りが立って心地よい味わいに感じても、時間が経って冷めてくると、本来は隠れていた苦味や渋みが前面に出てしまうのです。これが、冷めたお茶が「なんだかおいしくない」「苦くなった」と感じる正体です。
揮発性成分の減少で、苦味や渋みが目立つように
お茶のおいしさを構成する重要な要素のひとつが「香り」。お茶の香り成分の多くは、**温度が高いときに空気中に立ちのぼる“揮発性成分”**です。
温かいお茶を口に含んだとき、湯気とともに立ち上る香りが鼻に抜け、「まろやかで豊かな風味」として感じられます。しかし、お茶が冷めるとこの揮発性成分の動きが鈍くなり、香りが立たなくなってしまうのです。
香りが弱まると、それまで香りによって隠れていた苦味や渋みが前面に出てきてしまい、「あれ、さっきと味が違う」と感じることに。
つまり、味が変わったのではなく、味の“感じ方”が変化しているというわけです。
緑茶と紅茶では冷めたときの味の変化が違う?
冷めたときの味の変化は、実はお茶の種類によっても違いがあります。
たとえば、**緑茶に多く含まれる「カテキン」や「テアニン」**は、温度によって感じ方が大きく変わる成分。特に煎茶などは、香りの揮発性成分も多く、温かいうちに飲むことで本来の美味しさが発揮されます。
一方で、**紅茶には「テアフラビン」や「テアルビジン」**といった発酵によって生まれた成分が多く、やや甘みやコクのある風味が特徴。そのため、冷めても比較的味のバランスが崩れにくく、「アイスティー」としても好まれる傾向にあります。
つまり、冷めてもおいしく飲めるかどうかは、お茶の種類や成分構成に左右されるのです。
温かいうちに楽しむべきお茶と、冷たくしてもおいしいお茶、それぞれに最適な飲み方があると言えるでしょう。
カテキンは飲むだけではなく料理やお菓子にも使えますよ🔻
苦味を抑えておいしくお茶を飲むコツ
カテキンの抽出量をコントロールする淹れ方
お茶の苦味の主な原因であるカテキンは、抽出温度と時間によって出方が大きく変わります。この特性を知っておくと、好みに合わせた味わいに調整しやすくなります。
たとえば、カテキンは高温(80℃以上)で抽出されやすい一方で、低温(50〜60℃)では比較的控えめに抽出されるという特徴があります。つまり、まろやかで苦味の少ないお茶にしたい場合は「ぬるめのお湯でゆっくり淹れる」のがポイントです。
また、お湯の量や茶葉の量でも味は変わります。以下はおすすめの淹れ方の目安です:
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お湯の温度:60〜70℃
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抽出時間:90秒〜2分ほど
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茶葉の量:少なめにする(2g〜3g/1人分)
少し手間に感じるかもしれませんが、お茶は「淹れ方ひとつでまったく違う顔を見せてくれる飲み物」。苦味が気になる方は、ぜひ試してみてください。
冷めてもおいしいお茶にする工夫とは?
冷めたお茶の「苦味・渋み」を抑えるには、最初の淹れ方と保存方法がカギになります。
まずは、「二煎目・三煎目を活用する」のも一つの手。一煎目である程度カテキンを出し切っておけば、二煎目はよりまろやかで冷めても味のバランスが整いやすくなります。
また、冷やして飲むことを前提にするなら、水出しや低温抽出が断然おすすめ。水や冷水でゆっくり時間をかけて抽出することで、苦味成分(カテキン)は抑えつつ、うま味成分(テアニン)が引き立つため、冷めてもまろやかで飲みやすいお茶に仕上がります。
冷やすときは、以下の点に注意すると風味が損なわれにくくなります:
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常温放置ではなく、冷蔵保存ですばやく冷やす
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蓋付きの容器に入れて香りの飛散や酸化を防ぐ
ちょっとした工夫で、冷めたお茶の印象がグッと変わります。
“苦味もおいしさ”に変える!食事との組み合わせ
苦味を抑えるだけでなく、「苦味をおいしさとして楽しむ」方法もあります。そのカギは**食事とのペアリング(組み合わせ)**です。
カテキンの持つ渋みや苦味は、脂っこい料理や甘いものと非常に相性がよく、後味をさっぱりと整えてくれます。
たとえば:
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天ぷらや唐揚げ+温かい煎茶
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和菓子(羊羹・まんじゅう)+濃いめの緑茶
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洋食+ほうじ茶やウーロン茶
このように、料理の脂分や甘さとバランスを取ることで、苦味が「味のアクセント」や「引き立て役」として働いてくれるのです。
「お茶は単体で飲むもの」という先入観を少し手放して、**“食べ物と合わせて味わう”**という視点を取り入れてみると、苦味さえも魅力に感じられるかもしれません。
まとめ|お茶の苦味は「冷めたからこそ」わかる自然のしくみ
カテキンは悪者じゃない。正しく知って味わおう
冷めたお茶が「苦い」と感じると、ついその味をネガティブに捉えてしまいがちですが、その正体であるカテキンは、本来とても優秀な成分です。渋み・苦味を生むだけでなく、健康維持に役立つ抗酸化力や殺菌作用、脂肪燃焼のサポートまでしてくれる、いわば“体にやさしい苦味”。
むしろ、お茶を冷まして飲んだときに苦味を感じるというのは、カテキンがしっかりと抽出されている証拠とも言えます。
味覚の変化を通じて、私たちはお茶の成分やその働きを自然に体感しているのです。
「苦い=悪」ではなく、「苦味=自然な成分の味わい」として正しく理解すれば、お茶をより深く味わえるようになるでしょう。
冷めたお茶をおいしく楽しむ工夫を取り入れてみて
冷めたお茶も、工夫次第でおいしく楽しむことができます。大切なのは、「冷めたお茶=劣化」ではなく、味わいの変化の一つとして楽しむ視点を持つこと。
具体的にはこんな工夫があります:
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低温で淹れることで苦味を抑える
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水出しにして、まろやかさを引き出す
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アイスティーとしてアレンジする
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食事やスイーツと合わせて“苦味の活かし方”を探る
また、お茶の種類によっても冷めたときの印象は変わります。ほうじ茶や麦茶のように冷めても香ばしさが残るものは、常温でも非常に飲みやすく、むしろ常備茶として人気です。
ちょっとした視点の切り替えと工夫で、冷めたお茶の時間も“味わい深いひととき”へと変わります。
ぜひ、温度の変化も含めて、お茶の奥深さを楽しんでみてください。
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