時計が10時10分を指す理由とは?|CM・広告・展示で多い“ナゾ”を徹底解明!

時計の広告やショーケースを見ていると、どの時計もほとんどが「10時10分」を指していることに気づいたことはありませんか?
一見、偶然のように見えるこの時刻設定には、実はデザイン・心理学・ブランド戦略まで関わる深い理由があるんです。
なぜ10時10分なのか?
他の時刻ではダメなのか?
この記事では、そんな“時計業界の定番ポーズ”ともいえる10時10分の秘密を、見せ方の意図・歴史的背景・海外との違いまで徹底解説します。
なぜ時計は「10時10分」?よく見るのにはワケがある
時計の広告や展示を見ていると、針が“10時10分”を指しているものをよく目にしませんか?
これは単なる偶然ではなく、「見た目の美しさ」と「心理的な印象」を考え抜いた、プロの演出なのです。
たとえば、針が10時10分の位置にあると、左右のバランスがちょうどよく、時計全体が“開かれた笑顔”のように見えます。人の目は自然と対称的な形に安心感や美しさを感じるため、この角度が最も心地よい印象を与えるといわれています。
また、10時10分の針の配置は、文字盤上にあるブランドロゴを邪魔しないという実用的な理由もあります。多くのメーカーではロゴを12時の下や中央上に配置しており、その部分を避けるためにも10時10分がちょうど良いバランスなのです。
こうした見た目と心理の両面から、「10時10分」は時計を最も美しく、ポジティブに見せる“黄金比”のような時刻として、広告・カタログ・展示などで定着していきました。
この慣習は数十年前から世界中の時計業界で共有されており、今では「時計を魅力的に見せる基本ルール」として当たり前に使われています。
つまり、「10時10分」は、単なる時間ではなく――“見る人の心を動かすための演出”なのです。
心理的な効果|見る人の気分をよくする配置?

時計の針が「10時10分」を指しているとき、多くの人は無意識のうちに“心地よさ”や“前向きな印象”を受けます。
実はこの時刻配置には、私たちの心理に作用する3つの効果が隠されています。
① 針の角度が“笑顔”を連想させる
10時10分の針は、まるで人がにっこり笑っている口元のような形。
この“上向きのカーブ”は、心理的に「ポジティブ」「歓迎」「安心感」といった感情を呼び起こします。
人間の脳は、無意識のうちに「笑顔=安全・好意的」という認識を持っており、視覚的にそれを連想させる形を「良い印象」として捉えるのです。
そのため、10時10分の時計を見ると、自然と“優しい雰囲気”や“明るい印象”を受けやすくなります。
② 左右対称で安定感がある印象を与える
もうひとつの理由は、「左右対称の美しさ」。
針が10時と2時を指す位置にあることで、時計全体がバランスよく見え、視覚的に“安定感”を与えます。
人間の脳は、左右が対称な形を「整っている」「安心できる」と感じる傾向があります。
このため、10時10分の配置は見る人に落ち着きや信頼感をもたらし、時計そのものの“上質さ”や“完成度の高さ”を印象づけるのです。
③ 「上向きの形」がポジティブな感情を引き出す心理学的理由
心理学的には、上向きの形は“上昇”“前進”“成功”を象徴します。
たとえば、グラフやロゴデザインでも、上向きの線は「勢い」「希望」「成長」といったポジティブな意味を持つことが多いですよね。
10時10分の針がつくる「V字型」も同様に、“上に向かうエネルギー”を感じさせる形です。
そのため、広告や展示でこの時刻が選ばれるのは、単に見た目の美しさだけでなく、“前向きな印象”を演出するためでもあります。
つまり、10時10分は――
「笑顔」+「バランス」+「前向き」という3つの心理的効果を同時に満たす、理想的な時刻配置。
見る人の気分を明るくし、ブランドや製品への好印象を自然に高めてくれる、“デザイン心理の黄金バランス”なのです。
メーカーの意図|ブランドロゴや機能を引き立てる

時計の針が「10時10分」を指しているのは、単に見た目が整っているからではありません。
実は、ブランドのロゴやデザインの魅力を最大限に見せるための計算でもあります。
多くのメーカーが「10時10分」を採用するのには、明確な“意図”があるのです。
① 文字盤上のロゴ位置(多くは12時下)を邪魔しない配置
ほとんどの腕時計ブランドは、ロゴを12時の少し下に配置しています。
これは視線が最初に向かう位置であり、ブランドの印象を強く残すための“特等席”。
針を10時10分にすることで、このロゴを一切隠さず、むしろ両側から“囲うように”見せられます。
針の角度がちょうどロゴを引き立てる「額縁」のような役割を果たし、ブランド名やエンブレムを美しく際立たせるのです。
このバランスが崩れると、写真全体の印象が一気に散漫になってしまうため、10時10分の配置はロゴを最も魅力的に見せる黄金角度として定着しました。
② クロノグラフ・日付表示などもバランスよく見せられる
近年の腕時計は、ただ時刻を示すだけでなく、クロノグラフ(ストップウォッチ機能)や日付表示など、多機能モデルが主流です。
これらの要素を見せつつデザインの美しさを保つには、針の位置が非常に重要。
10時10分の針配置は、
-
クロノグラフの小さなサブダイヤル(多くは3時・6時・9時方向)を隠さない
-
日付窓(多くは3時または4時位置)も見やすくする
という利点があります。
つまり「10時10分」は、機能の視認性とデザインバランスを両立する理想の角度。
広告写真でも展示でも、時計の性能と美しさを一目で伝えられるため、メーカーが積極的に採用しているのです。
③ プロモーション写真で10:10が“基本形”になった経緯
「10時10分」が定着した背景には、長年にわたる時計広告の歴史があります。
1950〜60年代の海外カタログで、この配置が“最も見栄えが良い”と評価され、業界全体に広がりました。
やがて、どのメーカーも「針を10:10にして撮影する」のがプロモーションのスタンダードに。
この“統一ルール”が生まれたことで、
-
比較時に見た目の印象が揃う
-
見る人が違和感なく受け入れられる
というメリットも生まれ、今日に至るまで続いています。
つまり「10時10分」は、単なる慣習ではなく――
ブランドを最も美しく魅せるための“業界共通のデザイン言語”なのです。
💡 ワンポイント豆知識
一部の高級ブランドでは、ロゴ位置や針のデザインに合わせて「10時08分」「10時09分」など微調整を行うこともあります。
これは、ブランドごとのロゴ形状や針の長さに合わせた“職人の美意識”の表れです。
実は他にもある?使われることのある他の時刻

時計といえば「10時10分」というイメージが強いですが、実はメーカーやモデルによって、微妙に異なる時刻が使われていることがあります。
それは、デザインやブランドの個性を最大限に引き立てるための調整。
“10時10分”はあくまで基本形であり、そこからわずかに針の角度を変えることで、時計の印象を最も美しく見せる工夫が行われているのです。
① 10:08や10:09など、メーカーごとの微妙な違い
実際の広告写真を見ると、「10:08」や「10:09」といった時刻もよく使われています。
これは、針の重なり方やロゴの位置を避けるための細かな調整です。
たとえば、
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ロレックスやオメガなど一部ブランドでは「10:08:37」など、秒針まで指定されるケースもある。
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セイコーやシチズンなど日本ブランドでは、より自然な針の配置を意識して「10:09」前後を採用することも。
つまり“10時10分”は目安であり、各ブランドが最も美しく見える角度を追求した結果の個性が、数分単位の違いとして表れているのです。
② “針の形・長さ・モデルデザイン”で調整している理由
針のデザインや長さによっても、見え方のバランスは大きく変わります。
たとえば、細く長い針のモデルでは10時10分にするとロゴと重なってしまう場合があり、そうした時には数十秒単位で角度を変えることもあります。
また、クロノグラフやスケルトン(内部が見えるデザイン)の場合、内部機構を隠さず見せるために、針の位置を数度だけ調整することも。
このように、時計ごとに「ベストな見え方」が違うため、メーカーは撮影時に何度も微調整を重ねて、理想的な時刻配置を作り上げているのです。
③ 逆さまの「8:20表示」は“悲しげな印象”になるから避けられる
「10時10分」の反対、つまり「8時20分」の針配置を想像してみてください。
下向きの“への字”を描くその形は、まるで人が悲しんでいる口元のように見えませんか?
この「下向きカーブ」は心理的にネガティブな印象を与えるとされ、
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落ち込み
-
不満
-
終わり
といったイメージを連想させやすい角度です。
そのため、広告や展示では「8:20表示」はまず使われません。
同じ“対称形”でも、向きが違うだけで印象は180度変わってしまうのです。
“笑顔のV字(10:10)”と“悲しみの逆V字(8:20)”――この対比こそ、時計デザインにおける心理演出の象徴といえるでしょう。
💡 豆知識
一部のアーティスティックなブランドでは、10:08や8:22など独自の美的感覚で針を配置することもあります。
しかし、ほとんどのメーカーは「10:10前後」を基準に、“見た人が最も心地よく感じる時刻”を選んでいます。
【豆知識】10時10分は世界共通?海外の事情も紹介

「10時10分」は、今や時計広告の“世界共通語”ともいえるほど広く使われています。
しかしその背景をたどると、単に見た目が美しいだけでなく、文化的・心理的な共通感覚が関係していることがわかります。
さらに、国やブランドによってはわずかに異なる時刻を採用するケースもあり、そこには地域ごとの価値観やデザイン哲学が反映されています。
① アメリカ・ヨーロッパの広告でも10:10は一般的
“10時10分表示”が広まったのは、1950年代のアメリカやスイスの時計広告が始まりでした。
当時の広告デザイナーたちは、「針の角度が笑顔のように見える」「ロゴを邪魔しない」という理由から、この時刻を“最も魅力的に見える構図”として採用。
やがて、スイス・ドイツ・フランスなどの時計ブランドがこの表示を標準化し、世界的に広がっていきました。
現在でも、ロレックス(Rolex)・オメガ(OMEGA)・タグ・ホイヤー(TAG Heuer)など、名だたる海外ブランドがすべて10時10分前後で商品を撮影しています。
つまり、10:10はヨーロッパ発祥の“デザインの定番”と言っても過言ではありません。
② アジア圏やブランドによって“微妙に違う時刻”を採用する例も
一方で、アジア圏ではブランドによって微妙に異なる時刻が使われることがあります。
たとえば、日本のセイコーやシチズンは「10:08」や「10:09」を採用することが多く、これは秒針やロゴ位置を考慮した精密な調整によるもの。
また、中国や韓国のメーカーの中には、
-
「10:09」:数字の“9”が縁起の良い意味を持つため
-
「10:08」:発音が“繁栄”を連想させるため
といった言語的・文化的な縁起担ぎを理由に、微妙な時刻を選ぶケースもあります。
このように「10:10」を基準にしながらも、文化やデザイン感覚に合わせて“最良の見せ方”を追求しているのが、各国ブランドの特徴です。
③ 「文化的に縁起の良い角度」とされる国も
興味深いのは、“針の角度”そのものが縁起の良い形として受け止められている国があることです。
たとえば、アジア圏では「上向き」「開いた形」「V字」などの形状が、
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幸運
-
成功
-
発展
を象徴するポジティブな意味として扱われる傾向があります。
そのため、時計の針が上向きに開いた「10:10の形」は、見る人に明るい未来や前向きな印象を与える“幸運の角度”とされるのです。
文化の違いはあっても、“上を向いた笑顔のような形が心地よい”という感覚は、世界共通なのかもしれません。
💡 豆知識
一部のブランドでは、記念モデルや特別コレクションの撮影時に、ブランド設立年や創業時間にちなんだ時刻(例:18:88や12:59)を表示することも。
それでも多くのメーカーが最終的に「10時10分前後」を選ぶのは、やはりこの角度が“最も美しく・印象に残る”とされているからです。
このように「10時10分」は、美しさ・心理効果・文化的縁起という3つの観点から、世界中で愛される時刻。
どの国でも“人の心を明るく見せるデザイン”として根付いているのです。
まとめ|「10時10分」は見せ方まで計算されたプロの技!

時計広告でよく見る「10時10分」は、単なる時刻ではなく、視覚心理とブランド戦略が融合した“プロの演出”です。
針の角度ひとつで、ブランドロゴを美しく見せ、文字盤のデザインを引き立て、見る人に“ポジティブな印象”を与えるよう計算されています。
また、針が作る「V字型」は、無意識のうちに“笑顔”や“開放感”を連想させ、見た人の気持ちを明るくする効果も。
この細やかな美的バランスこそが、時計業界が長年にわたって磨き上げてきたプロフェッショナルの技術です。
次に時計を手に取るときは、「なぜこの時刻なのか?」というデザインの裏側にも注目してみてください。
そこには、ブランドの個性や想い、そして“見る人を心地よくさせる”工夫が隠れています。
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