「よくよく考えると」は意味合ってる? 意外と間違えやすい日本語の正しい使い方とは?
なんとなく使っているけれど、「よくよく考えると」って本当に意味は合ってる?
実はこの言い回し、よく知っているようで誤用しやすい日本語の一つです。
「よくよく」は「よく」の強調ではなく、再考・熟考を表す繊細な表現。
意味やニュアンスを理解せずに使ってしまうと、知らず知らずのうちに“伝わらない日本語”になってしまう可能性も。
この記事では、「よくよく考えると」の正しい意味・「よく考える」との違い・誤用例・自然な使い方まで徹底解説!
スマートに言葉を使いこなすヒントをぜひチェックしてみてください。
そもそも「よくよく考えると」ってどういう意味?
「よくよく考えると」は日常会話でもよく使われる表現ですが、実は意味をきちんと理解せずに使っている人も多い日本語のひとつです。一見すると「よく考える」と同じように思われがちですが、「よくよく」と重ねていることで、微妙にニュアンスが変わってきます。
正しく理解して使うことで、文章や会話に深みや説得力を持たせることができる一方、意味を取り違えてしまうと誤解を招く可能性も。ここではまず、「よくよく」という言葉の意味から整理していきましょう。
「よくよく」とは?繰り返しに込められた強調表現
「よくよく」は、副詞「よく」を重ねた表現です。このように同じ言葉を繰り返すことを**畳語(じょうご)**と呼び、古くから日本語の中では強調や反復、状態の継続などを表すために使われてきました。
具体的に「よくよく」の場合は、単なる「よく(=注意深く、丁寧に、十分に)」よりも、さらに注意深く、念入りに、深くという意味合いが強くなります。
つまり、「よくよく考える」とは、「時間をかけて、じっくり丁寧に、何度も考え直す」というニュアンスを含んでいるのです。
「よくよく考えると」の正しい意味とニュアンス
「よくよく考えると」は、一度の考察では気づけなかったことに、じっくり考え直すことでようやく気づくという場面で使われる表現です。
たとえば、
-
「そのときは正しいと思っていたけれど、よくよく考えると間違いだった」
-
「よくよく考えると、あの言葉には別の意味があったのかもしれない」
このように、「よくよく考えると」は、再考によって新たな真実や視点に気づくという文脈で使われます。
ポイントは、「よくよく考えると」の前提には“最初は気づいていなかった”という状態があること。表面的な理解ではなく、内面を掘り下げて気づきを得る、そんな深さがある表現です。
「よく考える」と「よくよく考える」の違いとは?
「よく考える」と「よくよく考える」、似ているようで実は意味の深さが違うこの二つの表現。どちらも“考える”という行動に「注意深さ」や「丁寧さ」を加える副詞ですが、使い分けを意識することで、より繊細で説得力のある表現が可能になります。
「よく考える」は“普通の熟考”
「よく考える」は、「物事を丁寧に考える」「適切に判断するために意識的に思考する」という、ごく一般的な熟考を意味します。たとえば、
-
「このプランで本当に大丈夫か、よく考えよう」
-
「失敗しないように、よく考えて行動してね」
というように、「慎重に考えてね」という意味合いで使われます。
日常的なレベルでの注意深い思考を表す言葉といえるでしょう。
「よくよく考える」は“念入りで深い熟考”
一方、「よくよく考える」は、単なる「よく」よりも強調された言い回しです。
何度も念入りに、自分の内面に深く向き合って考える、そんなイメージが含まれています。
-
「そのときは気づかなかったけど、よくよく考えると彼の言葉には深い意味があった」
-
「よくよく考えると、私の判断は少し感情的だったかもしれない」
このように、「よくよく考える」は時間をかけて何度も頭の中で反すうするような思考プロセスを示し、「再確認」「再評価」的な意味合いを持つのが特徴です。
微妙なニュアンスの違いが伝え方を変える!
「よく考える」と「よくよく考える」の違いは、単なる言葉の強調ではありません。伝えたい意図や思考の深さを相手にどう伝えるか、という表現力の違いに関わってきます。
たとえば、
-
軽いアドバイスや注意喚起なら「よく考える」で十分。
-
自分自身の反省や内省を強調したいときは「よくよく考える」が適切です。
また、「よくよく考える」は、後から気づいた本質や裏の意味に言及する際に特に効果的。
つまり、思考の深度を表現する日本語として、意図に合わせて使い分けることが大切なのです。
「よくよく考えると」のよくある誤用パターン
「よくよく考えると」は、日常会話や文章でもよく使われる表現ですが、その意味や使い方を正しく理解せずに使ってしまい、本来の意図と異なる伝わり方をしてしまうことがあります。
ここでは、「よくよく考えると」の典型的な誤用パターンについて詳しく見ていきましょう。
「よくよく=よくの強調」と誤解されがち?
多くの人が誤解しやすいのが、「よくよく」はただの「よく」の強調版、つまり「とてもよく考えた」くらいの意味だと思い込んでしまうケースです。
確かに言葉としては「よく」の繰り返しですが、「よくよく」には単なる強調ではなく、深く・念入りに・慎重に考えるという、再考や深掘りのニュアンスが含まれています。
たとえば、
-
誤用例:「よくよく考えて買った高級バッグ」
→ 正しくは「よく考えて買った」が自然。再考のニュアンスがないため「よくよく」は不適切。
つまり、「最初から十分に検討した」場面では「よく」で十分であり、「よくよく」は後から考え直した結果に使う表現です。
文脈で意味がずれてしまう例
「よくよく考えると」は、それまでの認識や判断に変化があった場合に使うべき表現です。そのため、文脈に合わないと違和感を生むことがあります。
例1:意味のズレ
-
NG例:「彼は最初から優しかった。よくよく考えると、やっぱり素敵な人だ」
→ 最初から好意的に見ていた場合、「よくよく考えると」は不自然。
→ OK例:「最初はぶっきらぼうに見えたけど、よくよく考えると、いつも私を気遣ってくれていた」
→ これは「後から気づいた真実」に使われており、自然な使い方。
文脈に「前提の変化」や「再認識」がないと、「よくよく考えると」の本来の意味がズレて伝わってしまうのです。
無意識に使って誤解を招くケース
「よくよく考えると」は少し硬めの言い回しなので、日常会話の中で無意識に使うと、相手に「考え直して意見が変わった」「何か問題があったのか?」という印象を与えることがあります。
例2:誤解されるリスク
-
発言者の意図:「いろいろ考えた結果、この案が一番良さそうです」
-
実際の表現:「よくよく考えると、この案にするのが妥当ですね」
→ 聞き手:「え? さっきの案を否定してるの?」
このように、「最初の意見に迷いがあった」「変化があった」という印象を与えるため、ビジネスの場などでは慎重に使う必要がある表現です。
まとめ:意味の理解で「よくよく考えると」を正しく使いこなそう
「よくよく考えると」は、ただの強調語ではなく、「再考」「内省」「深掘り」を伴う表現です。
誤用を避けるには、文脈の流れとニュアンスを正しく理解することが大切です。
丁寧に言葉を選ぶことで、あなたの伝えたいことがより的確に、そして信頼感を持って相手に届くようになります。
実際に使ってみよう!正しい使用例・誤用例
「よくよく考えると」は意味を正しく理解していても、いざ文章や会話に取り入れようとすると、使いどころが難しいと感じる表現です。
ここでは、実際の例文を通して、正しい使い方と間違いやすいパターンを具体的に見ていきましょう。また、ビジネスや日常会話での自然な活用例も紹介します。
正しい使用例
「よくよく考えると」は、再考の結果として新たな気づきがあったときに使うのが基本です。以下は自然で正確な使用例です。
✅ 正しい使用例①(自省・気づき)
最初は彼が悪いと思っていたけれど、よくよく考えると、私にも非があったように思う。
→ 初めの印象から、深く考え直した結果、見方が変わったことを表現しています。
✅ 正しい使用例②(新たな視点)
この仕事、最初は大変そうだと思っていたが、よくよく考えるとスキルアップのチャンスかもしれない。
→ 一見マイナスに見えたものが、再考によってポジティブな面が見えてきたケース。
✅ 正しい使用例③(分析・振り返り)
よくよく考えると、このトラブルは事前の準備不足が原因だったのかもしれない。
→ 過去の出来事を振り返って原因を探る場面でも、「よくよく考えると」は効果的です。
間違った使用例とその解説
「よくよく考えると」は便利な言い回しですが、文脈に合わない場面や、再考が前提でない内容に使ってしまうと違和感が生じます。
❌ 誤用例①(単なる強調のつもり)
このレストラン、よくよく考えるとすごくおいしい!
→ 「よくよく考えると」は、味覚の“感想”に対して使うには不自然。再考した過程が感じられません。
→ ✅ 正しくは:「行った当初は普通だと思ったけど、よくよく考えると味のバランスが絶妙だった」
❌ 誤用例②(最初から肯定的な意見)
最初から彼が一番優秀だと思っていた。よくよく考えるとやっぱり彼が適任だ。
→ 最初から確信があるなら、深く考え直す意味がありません。
→ ✅ 正しくは:「他の人も検討したけれど、よくよく考えるとやっぱり彼が適任だった」
❌ 誤用例③(すでに十分考えた内容)
プロジェクトの方向性は、よくよく考えるとこれしかないですね(初回の会議で)
→ 会議の初回など、まだ深く検討していない段階で使うと違和感が出ます。
→ ✅ 正しくは:「何度も話し合いを重ねた結果、よくよく考えるとこの方向性が最適だと感じています」
ビジネス・日常会話での自然な使い方
「よくよく考えると」は、ややフォーマルな響きもあるため、使い方に注意すればビジネスでも説得力ある表現として役立ちます。また、日常会話では「ちょっとかしこまった雰囲気」を出すのに効果的です。
■ ビジネスでの使い方(例文)
いくつかの案を比較検討しましたが、よくよく考えると現行案が最も現実的だと判断しました。
→ 客観的な思考過程と、熟考した印象を与える言い回しとして有効。
■ 日常会話での使い方(例文)
よくよく考えると、あの時あの人が言ってたこと、すごく的を射てたかもね。
→ 日常会話に自然に入れつつも、思慮深さを感じさせる印象を与えられます。
■ カジュアルな言い換え(ライトな場面では)
-
「改めて考えてみると」
-
「振り返ってみると」
-
「冷静に考えると」
これらの表現を使い分けることで、シーンに応じた柔軟な会話が可能になります。
まとめ:例文から学ぶ「よくよく考えると」の適切な使い方
「よくよく考えると」は、単なる思考の強調ではなく、“再考”によって気づきを得た”という深い意味合いを持つ日本語です。
正しい場面で使えば、あなたの言葉に説得力や信頼感を与える力を持っています。
使用例と誤用例をしっかり押さえて、会話や文章表現に活かしてみましょう。
まとめ:「よくよく考えると」を正しく使いこなそう
「よくよく考えると」は、深い思考や再認識を表す日本語表現として非常に便利な一方で、使い方を誤ると伝えたい意図とズレてしまう繊細な表現です。
本記事で紹介した意味・使い分け・誤用例などを踏まえて、日常やビジネスシーンでも自信を持って使えるようになりましょう。
意味の理解が表現力アップにつながる
言葉の意味を正しく理解すると、それだけで表現の幅が大きく広がります。
「よくよく考えると」は単なる“深く考える”ではなく、一度下した判断を再び丁寧に振り返ることによって、新たな気づきを得るというニュアンスを含んでいます。
だからこそ、単に「よく考える」と言うよりも、より思慮深く・説得力のある表現として効果的です。
こうした言葉を適切に使えるようになると、文章にも会話にも知的さや奥行きが生まれ、相手に与える印象も格段にアップします。
誤用を避けてスマートな日本語を
便利な表現ほど、なんとなくの感覚で使ってしまいがち。しかし、「よくよく考えると」のように文脈を選ぶ言葉は、誤用すると違和感を与えたり、相手に誤解を与えるリスクもあります。
例えば、
-
「再検討した」という前提がない文脈で使う
-
ただの強調語として使ってしまう
-
意見を変えた印象を与える場面で不用意に使う
これらの誤用を避けることで、より洗練されたスマートな日本語表現になります。
正しい意味を理解し、使う場面を選ぶことこそが、言葉に対する信頼感や表現力の向上につながる近道です。
最後に
日本語は、似ているようで微妙な違いを持つ言葉が多くあります。「よくよく考えると」もその一つ。意味を深く理解し、場面に応じて正しく使うことで、あなたの言葉はもっと豊かに、もっと的確に相手に届くようになります。
言葉を大切にすることは、自分自身の思考や人間関係を豊かにする第一歩です。
ぜひ、今日から「よくよく考えると」を上手に使いこなしてみてください。


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