褒められても嬉しくない理由とは?|心理学でわかる原因と心が軽くなる対処法

「褒められても嬉しくない…」そんな自分を責めないで|心の奥にある理由とやさしい対処法

「褒められたのに、なぜか嬉しくない…」
そんなとき、自分が“おかしい”と思っていませんか?
実は、褒められても心が動かないのは、性格の問題ではなく心理的な背景が関係しています。

たとえば、過去の経験から「褒められる=プレッシャー」と感じていたり、
「自分なんかが褒められていいの?」という自己肯定感の揺らぎが隠れていることも。

この記事では、心理学の視点から「褒められても嬉しくない理由」をやさしく解説し、
心が少しラクになる考え方と、自然に“褒め言葉を受け取れるようになる”ためのヒントをお伝えします。

 

「褒められても嬉しくない」…その気持ちは、あなたのせいじゃない

「褒められたのに、なぜか嬉しくない」「素直に“ありがとう”って言えない」——
そんなとき、自分の中に違和感や罪悪感が生まれてしまうことはありませんか。

けれど、その感情は“おかしいこと”でも、“感謝が足りない”わけでもありません。
むしろ、あなたの心が繊細で、誠実だからこそ感じる自然な反応なのです。

人は誰でも、心が穏やかで余裕があるときは、人の言葉を素直に受け取りやすくなります。
でも、心が疲れていたり、自分を認められなくなっているときは、褒め言葉がうまく響かなくなることがあります。

まずは「嬉しくない自分」を責めずに、
「今の私は、少し心が疲れているのかも」と気づくだけでも十分です。

“喜べない自分”を責めてしまうあなたへ

褒められたときに素直に喜べないと、
「せっかく言ってもらったのに申し訳ない」「自分ってひねくれてるのかな」
そんなふうに、自分を責めてしまう人は多いです。

でも、「喜べない自分」は決して性格が悪いわけではありません。
それは、あなたが“本当の気持ち”を大切にしている証拠でもあります。

嬉しいと感じられないときは、
・相手の言葉に実感が持てない
・自分の努力をまだ認めきれていない
・「褒められても、どうせすぐ否定される」といった不安を抱えている
——そんな、心の防御反応が働いているだけなのです。

無理に「嬉しがらなきゃ」と思わなくて大丈夫。
あなたの心が今、安心できる状態じゃないだけ。
その優しさや誠実さは、消えていません。

心が反応しないのは「疲れているサイン」の場合も

実は、「褒められても嬉しくない」と感じる背景には、
心のエネルギーが低下しているケースもよくあります。

たとえば、

  • 頑張りすぎて心が休む余裕を失っている

  • 周囲の期待に応えようと、自分を押し殺している

  • 人間関係で気を遣いすぎて、感情が鈍くなっている

こうした状態のとき、心は“守りモード”になり、
嬉しい・楽しいといった感情を感じにくくなります。

それは、あなたが「もう少し休んでほしい」と心からのSOSを出しているサインかもしれません。

だから、「感じられない」ことを焦らず、
まずは何もしない時間をつくる・眠る・好きな香りを嗅ぐ・外の空気を吸うなど、
小さなセルフケアから始めてみましょう。

少しずつ心の余白が戻ってくると、
自然と人の言葉が温かく感じられる日がきます。

 

どうして褒められても嬉しくないと感じてしまうの?

褒められることは、本来なら嬉しいはずなのに──
なぜか「ピンとこない」「むしろ居心地が悪い」と感じてしまう。

そんなとき、あなたの中では“心が受け取る準備”が整っていない状態が起きています。
それは性格の問題ではなく、過去の経験や思考の癖、心の防御反応など、いくつかの理由が重なっているからです。

ひとつずつ見ていくと、「あ、自分にも当てはまるかも」と気づける部分が見つかるはずです。

「本心じゃない」と感じると、素直に受け取れなくなる

褒められたときに嬉しく感じられない理由のひとつが、
「相手の言葉に本音を感じられない」というものです。

「お世辞かな」「社交辞令っぽい」「本気で言ってるの?」と疑ってしまうのは、
あなたが人の気持ちに敏感で、言葉の裏にある“温度”を感じ取る力を持っているから。

その感性は素晴らしいものですが、
相手の意図を読みすぎてしまうと、
せっかくの言葉を“疑いのフィルター”を通して受け取ってしまうこともあります。

無理に信じようとしなくても大丈夫。
「相手がどんな気持ちで言ったのかはわからないけど、少なくとも“悪気はなかった”」
そうやって受け取り方のハードルを少し下げるだけでも、
心がふっと軽くなることがあります。

「評価される=プレッシャー」に感じる心理

「褒められる=また次も期待される」と感じてしまう人も多いです。

「次も頑張らなきゃ」「今度はもっと良くしないと」と、
無意識のうちに“評価され続ける不安”が湧いてくるのです。

これは、責任感が強く、他人の期待に応えたいと思う真面目な人ほど陥りやすい心理。
つまり、「褒められること」=「次への課題」になってしまっている状態です。

そんなときは、
「この言葉は“今の自分”への感謝なんだ」と切り替えてみましょう。
未来のことを考える前に、
まずは“今ここ”で認められた自分を素直に労ってあげてください。

過去の経験や自己肯定感の低さが影響していることも

過去に、褒められたあとに失敗を責められたり、
「調子に乗ってる」と言われた経験がある人は、
褒め言葉=“危険信号”のように感じてしまうことがあります。

心は、「またあのときみたいに傷つきたくない」と覚えていて、
無意識のうちに防御反応を起こすのです。

また、自己肯定感が低いと、
「そんなに褒められるような人間じゃない」と否定してしまいがち。
でも、それはあなたが“謙虚すぎる”だけかもしれません。

褒め言葉を信じる練習として、
「そう言ってもらえて、ちょっと嬉しいです」
「そう感じてもらえたなら良かったです」と、
“100%信じられなくても半歩だけ受け取る言葉”を使ってみましょう。
それだけで、少しずつ心のブレーキがゆるみます。

“他人軸”で生きていると、褒め言葉が自分に届きにくい

いつも「人にどう思われるか」を気にして生きていると、
自分の中に“評価の基準”がなくなってしまいます。

他人軸の状態では、褒め言葉を聞いても、
「本当の自分じゃない部分を褒められている気がする」
「たまたまできただけなのに…」と感じてしまい、
心の奥に響きにくくなるのです。

そんなときは、
「私はどう思う?」「私が頑張ったと思える部分はどこ?」と、
自分の基準で小さな満足や達成感を見つける練習をしてみてください。

人からの褒め言葉は、“おまけ”のような存在でいい。
まずは自分が自分を認めることで、
少しずつ他人の言葉もやさしく届くようになります。

 

「嬉しくない自分」を否定せず、まず“気づくこと”から始めよう

褒められても嬉しくないと感じると、
「どうして素直に喜べないんだろう」「自分、性格悪いのかな」と責めてしまいがちです。

けれど、“嬉しくない”という感情も、立派なあなたの心の反応のひとつ。
それを無理に消そうとしたり、押さえ込もうとするほど、
かえって心は苦しくなってしまいます。

まずは、「あ、今の自分、嬉しくないって感じてるな」と気づくだけで十分です。
それが、自分を責めるループから抜け出す第一歩になります。

「嬉しくない」と感じた瞬間に、心の状態を観察してみる

褒められたとき、胸のあたりがモヤッとしたり、
「なんで素直に喜べないんだろう」と思った瞬間——
それは、自分の心が何かを伝えようとしているサインです。

そのときに大切なのは、反応を判断せずに“観察”すること。

たとえば、

  • ちょっと疲れているかも

  • 相手の言葉に違和感を感じた

  • 「本当にそう思ってる?」と不安になった

  • 自分で自分を褒めてあげられてない

そんな“今の心の声”を、ただ静かに見つめてみましょう。
「嬉しくない」の裏側には、あなたの繊細さや誠実さがちゃんと隠れています。

「今は受け取れないだけ」と捉えてみる

嬉しく感じられないとき、
「私は人の気持ちを受け取れない人間なんだ」と思う必要はありません。

それは単に、“今は受け取る余裕がないだけ”。
心のキャパシティが一時的にいっぱいになっている状態です。

たとえば、スマホの電池が切れたら、
どんなに良いメッセージをもらっても表示されませんよね。
でも、充電すれば、またちゃんと見えるようになる。
感情も同じで、少し休めば、また自然に感じられるようになります。

「今は受け取れないけど、いつかまた感じられる日がくる」
そう思えたら、心に少し余白が生まれます。

無理にポジティブに変えようとしなくていい

現代の風潮では、「前向きに考えよう」「感謝しよう」と言われがちですが、
無理にポジティブになろうとすると、本当の気持ちを置き去りにしてしまうことがあります。

「嬉しくない」という感情は、ネガティブなものではなく、
心が「今はその言葉を受け止めきれない」と伝えているだけ。

だから、無理に笑顔を作ったり、感謝の言葉を絞り出す必要はありません。
“嬉しくない”というリアルな感情を抱えたままでも、
あなたはちゃんと人の言葉を大切に思っているし、
自分の心に誠実に向き合えている証拠です。

焦らず、ありのままの気持ちをそのままに。
それが、本当の意味で「心を癒す第一歩」になります。

 

少しずつ“受け取れる心”を育てるには

少しずつ“受け取れる心”を育てるには

「褒められても嬉しくない」という気持ちは、
一度に消えるものではありません。

でも、少しずつ“受け取る練習”を重ねていくことで、
心はじんわりと温かさを思い出していきます。

ここでは、無理をせず、自分のペースでできる
「心をやわらかくする4つのステップ」を紹介します。

小さな「ありがとう」から始めてみる

褒め言葉を素直に受け取れないときは、
まずは反応のハードルを下げてみましょう。

たとえば、
「ありがとうございます」と言葉だけでも返すこと
気持ちがついてこなくても大丈夫です。

“ありがとう”という言葉を口にする行為自体が、
少しずつ「受け取る心」を整えていきます。

最初は、感情が伴わなくてもOK。
繰り返すうちに、言葉が心に染み込み、
ある日ふっと「嬉しいかも」と思える瞬間が訪れます。

自分で自分を褒める習慣をつくる

人からの言葉を受け取れない背景には、
「自分を認める感覚」が弱くなっていることが多いです。

だからこそ、まずは“自分が自分を褒める”ことから始めましょう。

たとえば、

  • 朝ちゃんと起きられた

  • 面倒な用事をひとつ済ませた

  • 誰かに優しくできた

どんなに小さなことでもOK。
「よくやったね」「頑張った」と自分に声をかけてあげると、
“自分の価値を受け取る感覚”が少しずつ育ちます。

人の褒め言葉も、その延長線上で自然に届くようになります。

「褒められた=自分の努力が見えた」と考えてみる

褒められると「そんなことないですよ」と否定したくなるのは、
“他人の評価”として受け止めているからかもしれません。

でも、その褒め言葉は、
あなたの中にある努力・誠実さ・思いやり
“他人の目に見えた瞬間”でもあります。

つまり、

「褒められた」=「自分の頑張りが誰かに届いた」

そう考えてみると、評価としてではなく、
「自分の想いが伝わった証」として受け取れるようになります。

嬉しさはすぐに感じられなくても、
その事実だけを静かに受け止めることが、心の回復につながります。

安心できる人との関係の中で、“受け取る練習”をする

褒め言葉を受け取る力は、
「安心感のある人間関係」の中で少しずつ育ちます。

信頼できる人、あなたを否定しない人、
一緒にいて呼吸が楽になるような人——
そういう人とのやり取りの中で、
「ありがとう」「そう言ってもらえて嬉しい」と言ってみましょう。

安心できる場で“受け取る経験”を重ねることで、
他の場面でも少しずつ心が開いていきます。

焦らず、比べず、“信頼できる人から”で大丈夫。
その積み重ねが、あなたの「受け取れる心」をゆっくり育てていきます。

 

まとめ|嬉しくなくてもいい。あなたの感じ方は、あなたのままでいい

「嬉しい」と感じられない自分を責める必要はありません。
どんな感情も、あなたの心が今をどう受け取っているかを教えてくれる大切なサインです。
他人のように喜べなくても、感動できなくても大丈夫。
それは「心が止まっている」のではなく、心が静かに整理している時間かもしれません。

嬉しさや感動は“無理に作るもの”ではなく、自然に湧き上がるもの
あなたの感じ方が“あなたらしさ”そのものであり、そのリズムを尊重することが、心を整える第一歩です。

無理に“嬉しいふり”をしなくていい

誰かの期待に合わせて笑顔を作ると、心がどんどん疲れていきます。
「嬉しいふり」を続けていると、本当の自分の気持ちが見えなくなってしまうことも。

そんなときは、“感じない自分”を否定せずに受け入れることから始めましょう。
たとえば、「今はまだ心が追いついていないだけ」「そう思えない自分がいてもいい」と心の中でつぶやいてみる。
そうすることで、少しずつ感情の緊張がほぐれ、やがて自然な感情が戻ってきます。

嬉しいふりをやめることは、自分に正直でいる勇気です。
あなたの感情は、誰かのために変えるものではありません。

あなたのペースで、心の扉をひらいていけば大丈夫

感情には“その人のリズム”があります。
人よりも時間がかかっても、すぐに反応できなくても、それは遅れているわけではなく、あなたのペース

焦らず、無理に元気になろうとしなくて大丈夫。
小さなことに「ちょっと嬉しい」と思えた瞬間を、大切に拾い上げてください。
たとえ一瞬でも、心が少し動いたなら、それはもう回復のサインです。

心の扉は、外から叩いても開きません。
でも、自分のペースで静かに手をかければ、いつか自然にひらいていくものです。
あなたの歩幅で、少しずつ。
それで十分です。

 

 

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国家資格キャリアコンサルタント・メンタルヘルス・マネジメント®検定II種取得。企業での人材育成や新入社員研修の経験を経て、現在は心理カウンセラーとして個人・法人向けにカウンセリングや研修を行っています。 働く人の「こころの健康」を守ることをミッションとし、職場のストレス、自己肯定感の低下、人間関係の悩みに寄り添いながら、年間300件以上の相談に対応。信頼される「話し方」や「聴き方」のプロとして、多くのメディアにも情報提供を行っています。 「ひとりで抱え込まないで。一緒に考えることで、こころは軽くなる。」

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