「褒められても嬉しくない…」そんな自分を責めないで|心の奥にある理由とやさしい対処法
「褒められても、心から嬉しいと思えない…」
そんなふうに感じた自分に、戸惑ったり、自己嫌悪を抱えてしまったことはありませんか?
素直に喜べないのは、感受性が鈍いわけでも、性格がひねくれているわけでもありません。
それは、あなたの心が今、少しだけ繊細になっていたり、過去の経験に影響を受けているだけなのです。
この記事では、「嬉しくない自分」を責めず、やさしく理解するためのヒントをお届けします。
あなたの心を守りながら、少しずつ“受け取れる自分”へと近づくための小さなステップ、一緒に探してみませんか?
「褒められても嬉しくない」…その気持ちは、あなたのせいじゃない
喜べない自分に戸惑うのは、心がまっすぐだから
誰かから褒められたとき、本来なら「嬉しい」「認められた」と感じるもの。でも、それがうまく感じられない自分に戸惑ったことはありませんか?
「なんで私、嬉しくないんだろう」と、そんな自分を責めたくなる瞬間があるかもしれません。
でも、それはあなたの心が“ひねくれている”からではありません。むしろ、「自分の気持ちに正直でいたい」「ちゃんと意味のある言葉だけを大切にしたい」という、まっすぐな感性の持ち主だからこそなのです。
表面的な言葉を、ただ“嬉しい”と処理することができない。そんな繊細で正直な心が、少し疲れてしまっているだけかもしれません。
「素直に受け取れないのはおかしい」と思わなくて大丈夫
褒め言葉をスッと受け取れないとき、「普通は喜ぶものなのに」「こんな私は変なのかな」と、自分に疑問を投げかけてしまうことがあります。
けれど、「素直に嬉しいと思えない=おかしい」ではありません。
気持ちというのは、理屈や常識では測れないもの。「今のあなたの心」がどう感じたか――それが、唯一の正解です。
誰かの言葉に対して、どんな反応をしてもかまいません。大切なのは「感じ方を否定しない」こと。
反応できなかったことよりも、自分の気持ちを無理に押し込めず、そっと見つめる時間を持つことのほうが、ずっと意味があります。
自分を責めてしまうクセは、過去の経験が影響していることも
「褒められるのが苦手」「嬉しいはずなのに、なぜかモヤモヤする」。
その背景には、過去の経験が影響していることがあります。
たとえば――
・褒め言葉の裏にプレッシャーを感じてきた
・褒められたあとに否定されたり、裏切られたことがある
・「調子に乗るな」と言われて育った経験がある
そんな体験が心に残っていると、たとえ本心からの言葉をもらっても、どこか身構えてしまうのは自然なこと。
「また期待されるのが怖い」「裏があるんじゃないか」と無意識に感じてしまうのです。
まずは、「反応できなかった自分」を否定せずに、「それだけがんばってきた証拠なんだ」と受け止めてあげてください。
心がやわらかくなるには、少し時間がかかるもの。でも、そんな自分をわかってあげられるのは、何よりも大きな一歩です。
どうして褒められても嬉しくないと感じてしまうの?
「褒められても心が動かない」「うまく喜べない」。
そんなとき、あなたの中にはちゃんとした“理由”があるのかもしれません。
ここでは、多くの人が感じやすい4つのパターンをご紹介します。自分を責める代わりに、「ああ、だからだったのかも」とやさしく理解するヒントにしてみてください。
①「本心じゃない」と感じてしまう
「とりあえず言ってるだけかも」「社交辞令だよね」。
そんなふうに、褒め言葉の“裏”を読もうとしてしまうこと、ありませんか?
これは、これまでの人間関係の中で「本音と建前」をたくさん見てきた人が持ちやすい感覚です。
だからこそ、「どうせお世辞でしょ」と疑いを向けてしまうのも、心の防衛反応のひとつ。
でも、言葉を疑ってしまう自分を責める必要はありません。
「本音で褒められること」より、「表面的に褒められて裏切られること」に傷ついてきたからこそ、慎重になっているだけなのです。
②「もっとできる人がいる」と比べてしまう
褒められても、「でも私なんて…」「もっとすごい人がたくさんいる」と、自分を過小評価してしまうこともあります。
これは、「ちゃんと認められるべき人は、もっと上にいる」と自分を低く見るクセが根づいているサインかもしれません。
でも、他人と比較してしまうのは、自分をより良くしたいと思う気持ちの裏返し。
成長意欲がある人ほど、「まだまだ」と思いやすいのです。
それでも、誰かと比べなくても、あなたがやってきたこと、がんばってきたことには、ちゃんと価値があります。
「今のあなた」を褒めた人の気持ちを、少しだけ信じてみてもいいかもしれません。
③「褒められる=期待されている」とプレッシャーになる
「すごいね!」「よくやったね」と言われるたびに、心のどこかで「また同じようにがんばらなきゃ」「失敗できない」とプレッシャーを感じてしまうことがあります。
褒められることが「次も求められること」に変わってしまうと、単純に喜べなくなるのは当然のこと。
これは特に、まじめで責任感の強い人が陥りやすい思考です。
褒められた=次も完璧にやらなきゃ…ではありません。
たまには「たまたまうまくいっただけかもだけど、ありがとう」と、力を抜いて受け取ってもいいのです。
④過去に褒め言葉で傷ついた経験がある
過去に、褒められた直後に期待を裏切ったと言われたり、「そんなにできるならもっと頑張れるでしょ」とプレッシャーをかけられたり。
そんな苦い経験があると、「褒められる=罠」「信用しちゃいけない」と心が学習してしまうことがあります。
それは、あなたの心が弱いからではなく、守ろうとしているから。
大切なのは、その「警戒してしまう自分」を責めずに、丁寧に扱ってあげることです。
過去に傷ついた経験がある人ほど、言葉の奥を読み取ろうとします。
それは“心の賢さ”の証でもあるのです。
「嬉しくない自分」を否定せず、まず“気づくこと”から始めよう
褒められても、何かをしても、誰かに優しくされても――
「嬉しい」と思えないときって、ありますよね。
そんな自分に気づいた瞬間、「どうして私は素直に反応できないんだろう」「おかしいのかな」と、自分を否定してしまいそうになることも。
でも、まず大切なのは“その感情”にラベルを貼らないこと。
嬉しくないと感じる自分も、あなたの一部です。そして、その感情が悪いものだとは限りません。
喜べない=悪いことではない。反応は心の“今の状態”
人の心はいつも一定ではありません。
体調や疲れ、過去の経験、その日の気分――さまざまな影響を受けて、感情の出方は日によって変わるものです。
だから、「褒められたのに嬉しくない」「心が動かない」と感じるのは、“あなたが今、そういう心の状態にある”ということ。ただそれだけです。
感情の反応に「正解」や「理想の形」はありません。
「嬉しくない」と感じたときは、無理に“嬉しがるフリ”をしなくてもいいのです。
「そう感じたんだね」と自分の気持ちに共感する
自分を否定したくなったときほど、大切にしたいのが「自己共感」。
それは、自分の感情に「なんで?」と問い詰めるのではなく、「そう感じたんだね」と静かに寄り添う姿勢です。
たとえば、友人が「今日はなんか元気出ないんだよね」と言ってきたら、「なんで元気出ないの?」よりも「そっか、そんな日もあるよね」と共感しますよね。
その“やさしい受け止め”を、自分自身にもしてあげてください。
心が少しずつゆるんでいく、第一歩になります。
「嬉しくない」と感じる瞬間にも、あなたの価値は変わらない
人から褒められても反応できなかったとき、
「ちゃんと喜べない自分なんてダメだ」「期待に応えられていない」と感じるかもしれません。
でも――あなたの価値は、感情の出方や、誰かにどう返せたかでは決まりません。
たとえ喜べなかったとしても、あなたがそこにいて、頑張って生きていることに、ちゃんと意味があります。
どんな自分でも「そのままでいい」と思えることは、自分自身を大切にする力につながっていきます。
無理に変わろうとしなくても、心は気づきとともに少しずつ変化していきます。
まずは、「感じたままの自分」を否定せず、そっと見つめることから始めてみてくださいね。
少しずつ“受け取れる心”を育てるには
褒められても、感謝されても、どこかで心に引っかかる。
「私なんかにそんなこと言われても…」と戸惑ったり、素直に受け取れない自分が苦しかったり。
でも、“受け取れない心”は「悪い心」ではありません。
もしかしたら、ただ疲れていたり、驚いて戸惑っていたり、過去の痛みが邪魔をしていたり。
どんな理由があっても、それはあなたの心が“今のかたち”でがんばってきた証拠です。
ここでは、そんな心にやさしく寄り添いながら、少しずつ「受け取れる感覚」を育てていく方法をご紹介します。
無理に喜ばなくていい。まずは「ありがとう」と言ってみる
褒められたとき、「嬉しくなきゃ」と思うと、かえって心が固まってしまいます。
だからまずは、感情を変えようとせず「ありがとう」と言葉にするだけで十分。
たとえ実感がなくても、「嬉しい」と言わなくても、「ありがとう」が言えたら、それは立派な“受け取る”という行動です。
喜べなくても、反応が薄くても、自分なりの方法で言葉を受け取ってみる。
その小さな一歩が、心の奥の“受け取る力”を育ててくれます。
褒め言葉に対して「自分を肯定する習慣」をつくっていく
たとえば誰かに「頑張ってるね」と言われたとき――
「いやいや、私なんてまだまだです」と返す癖がある方も多いのではないでしょうか。
それは日本人に多い謙遜の文化かもしれませんが、心の奥では「自分を認めること」にブレーキがかかっていることも。
少しずつでいいので、「そう言ってもらえて嬉しいな」「自分なりに頑張ってたかも」と思える時間を増やしてみてください。
言葉に出さなくても、心の中で“自分を否定しない”練習をするだけで、受け取り方は変わっていきます。
自分自身を“自分の言葉”で褒めてあげよう
他人からの言葉を受け取るのが難しいときは、まずは自分で自分を褒めてあげることから始めてみましょう。
たとえば――
「今日、外に出られた私、えらい」
「ちゃんと食べた、すごい」
「疲れてても仕事行った、自分頑張った」
こんなふうに、“ささいだけど確かな努力”を、自分の言葉で認めてあげる習慣は、自己肯定感をじわじわと回復させてくれます。
他人の言葉がまだ心に響かなくても、自分の声なら届くことがあります。
自分を大切にする言葉を、自分で届けてあげてください。
“受け取る”という行為は、無理やり心を開くことではありません。
小さな「ありがとう」や「わたし、ちゃんとやってたよね」という気づきの積み重ねが、少しずつ心の扉をゆるめてくれます。
焦らなくて大丈夫。あなたのペースで、少しずつ「自分を信じられる感覚」を育てていきましょう。
まとめ|嬉しくなくてもいい。あなたの感じ方は、あなたのままでいい
褒められても、優しくされても、心が動かない。
「嬉しい」と思えない自分に、どこか罪悪感を抱えてしまう日もあるかもしれません。
でも、どんな反応をしてしまったとしても、あなたはちゃんと“あなたらしく”そこに存在しています。
感情の動き方に、正解も不正解もありません。
「嬉しくない」と感じる自分も、立派に生きている、かけがえのないあなたの一部です。
心にゆとりができれば、自然と受け取れる日が来る
「受け取らなきゃ」「喜ばなきゃ」と思うほど、心はかたくなってしまいます。
でも、焦らなくて大丈夫。
今はまだうまく受け取れなくても、心に少しずつ余白ができてくると、不思議と「嬉しいかも」と感じられる瞬間がやってきます。
それは、あなたが“変わったから”ではなく、“回復してきたから”。
心が元気になると、自然と世界の見え方も変わっていきます。
無理に開こうとせず、あなたのペースで、心が緩むのを待ってあげてくださいね。
「反応」ではなく「あなた自身」を大切にして
誰かに褒められたとき、どんな反応をしたか――
それよりもずっと大切なのは、「あなたがどんな気持ちでそこにいたか」ということ。
反応が薄くても、うまく笑えなくても、あなたの価値は何も減りません。
大切なのは、“どう感じたか”よりも、“今ここにいるあなた自身”をちゃんと大切にしてあげること。
「嬉しくない自分」も、「戸惑う自分」も、まるごと抱きしめてあげるように。
それができるようになったとき、きっとあなたの心は、もう一段やさしくなっているはずです。
あなたは、感情の出方で評価される存在ではありません。
ただ、あなたでいることに価値がある――そのことを、どうか忘れないでください。


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