【心理カウンセラー監修】人が怖いのに一人が寂しい…矛盾する気持ちを整える5つのヒント

人が怖いのに一人が寂しい…矛盾する気持ちをどう整える?心をラクにするヒント集

「人が怖いのに、一人は寂しい」——。
そんな矛盾した気持ちに苦しんだ経験はありませんか?
誰かと関わりたい気持ちもあるのに、近づくと怖くなる。
一人でいると落ち着くけれど、孤独を感じてしまう。

実は、この“相反するような感情”には、きちんとした理由があります。
本記事では、心理カウンセラーの視点から、
「怖さ」と「寂しさ」の両方をやさしく受け止め、心を整えるための5つのヒントを紹介します。

無理にどちらかを消そうとせず、今の自分を少しずつ認めていくことで、
心はきっと軽くなっていきます。

 

そのモヤモヤには、ちゃんと理由がある

「人が怖いのに、一人は寂しい」──
そんな矛盾した気持ちを抱えていると、「自分はおかしいのかな」と不安になるかもしれません。
でも実は、そのモヤモヤにはきちんとした理由があります。

私たちの心は、“人とつながりたい”という本能と、“傷つきたくない”という防衛本能の両方を持っています。
「人が怖い」と感じるのは、過去に人間関係で傷ついた経験や、拒絶されるかもしれないという不安があるから。
一方で「一人は寂しい」と感じるのは、心の奥で「誰かに理解されたい」「温かいつながりがほしい」と願っているからです。

つまり、この二つの感情は正反対のようでいて、どちらも“人を求める心”から生まれたもの
どちらかが間違っているわけではありません。
怖さも寂しさも、どちらもあなたの心が「安心できる関係を探している」サインなのです。

だから、無理にどちらかを消そうとしなくて大丈夫。
怖い気持ちがある自分も、寂しい気持ちを抱える自分も、どちらもあなたの一部として認めることが、心を整える第一歩になります。

 

怖さの正体を、少しずつ言葉にしてみる

怖さの正体を、少しずつ言葉にしてみる

「人が怖い」と感じるとき、その奥にはたいてい“傷つくかもしれない”という不安があります。
たとえば、
「嫌われたらどうしよう」
「また裏切られるかもしれない」
「気をつかいすぎて疲れてしまう」
――そんな思いが積み重なると、人と関わること自体が怖くなってしまうのです。

でも、その“怖さ”を否定する必要はありません。
怖さは、あなたの心が「これ以上つらい思いをしたくない」と自分を守ろうとしているサイン
つまり、“弱さ”ではなく“優しさ”から生まれている感情なのです。

少し勇気がある日に、その怖さを言葉にしてみるのもおすすめです。
「人と関わるのが怖いのは、過去に〇〇があったから」
「本当は、理解してもらえなかったのが寂しかった」
そんなふうに、怖さの背景をゆっくり見つめてみると、心の奥で固まっていた感情が少しずつほぐれていきます。

大切なのは、“すぐに克服すること”ではなく、
「自分はなぜ怖いと感じているんだろう?」とやさしく気づこうとする姿勢です。
怖さを見つめてあげることは、心の整理を始める第一歩。
少しずつ、自分の中にある“安心できる場所”を広げていきましょう。

 

寂しさは、心が「誰かとつながりたい」サイン

ふとした瞬間に感じる“寂しさ”は、決して弱さではありません。
それは、あなたの心が「誰かとつながりたい」と静かに伝えているサインです。

私たちは本来、誰かと安心して関われることで心の安定を保つ生き物です。
だからこそ、ひとりの時間が長くなったり、思いを分かち合える相手がいなかったりすると、
「このままでいいのかな」と不安や空虚さを感じやすくなるのです。

寂しさの裏側には、
「自分を理解してほしい」
「受け入れてもらいたい」
という温かい願いが隠れています。
それは、誰もが持っているごく自然な感情。
「寂しい」と感じること自体が、人とのつながりを大切に思っている証拠でもあります。

もし寂しさを感じたときは、無理に紛らわせようとせず、
「いま、誰かと話したい気持ちがあるんだな」とやさしく認めてあげてください。
そして、自分を安心させてくれる小さな行動を取ってみましょう。
たとえば、信頼できる人にメッセージを送る、温かい飲み物をいれる、好きな音楽を聴く――
そんな些細なことでも、心は少しずつ落ち着いていきます。

寂しさは、あなたの心が「愛を受け取りたい」と教えてくれているサイン。
その声を無視せず、優しく寄り添うことから、少しずつ心の安心が戻ってきます。

 

どちらの気持ちも、大切にしていい

どちらの気持ちも、大切にしていい

「人が怖い」と思う自分と、「一人は寂しい」と感じる自分。
この2つの気持ちは、まるで相反しているように見えますが、どちらもあなたの心を守るための大切な感情です。

「怖い」という感情は、これ以上傷つかないようにという防衛本能
そして「寂しい」という感情は、心が安心できるつながりを求める愛情のサイン
つまり、どちらの気持ちもあなたを守るために働いているのです。

多くの人は「こんな矛盾した気持ちはダメだ」と感じてしまいますが、
実は“どちらもあっていい”のです。
心は常にひとつの方向にしか動かないわけではなく、複数の感情が同時に存在するのが自然
怖さがあるのはそれだけ人に真剣に向き合っている証拠であり、
寂しさがあるのはそれだけ人とのつながりを大切に思っている証です。

無理にどちらかを消そうとするのではなく、
「どちらの気持ちも、自分の一部なんだ」と受け入れてあげることが、“自己受容”の第一歩です。

たとえば、
「怖いと感じるのも私、寂しいと感じるのも私。どちらも間違っていない。」
そう自分に声をかけてみてください。
感情を否定せずに受け入れることで、心の中に少しずつ安心できる居場所が生まれていきます。

そしてその安心感こそが、今後の人間関係を築くための心の土台になっていくのです。

 

自分にとっての「ちょうどいい距離感」を見つける

「人が怖い」と感じるときは、誰かとの距離が近すぎたり、
「一人が寂しい」と感じるときは、距離が離れすぎていたり――
そんなふうに、心がバランスを崩しているサインかもしれません。

私たちにはそれぞれ、心地よく感じる“距離感”があります。
それは「相手とどれくらい関わりたいか」だけでなく、
「自分が安心できる範囲」を知ることでもあります。

たとえば、
・毎日会うより、数日に一度メッセージを送り合う方が落ち着く
・大人数より、少人数の関係が気楽
・予定を詰め込みすぎず、ひとり時間も確保したい
――こうした“小さな違和感”に気づくことが、あなたにとってのちょうどいい距離感を見つけるヒントになります。

大切なのは、無理に人に合わせないこと。
相手に好かれようとして無理を続けると、心がすり減ってしまいます。
自分にとって「このくらいが心地いい」と感じるペースを保つことで、
人との関係もより穏やかで安定したものになっていくのです。

そして、距離を取ることは“拒絶”ではなく“自分を大切にする選択”。
心に余白がある状態で関わる方が、自然と優しさや思いやりを持てるようになります。

「誰かと一緒にいる時間」と「ひとりで過ごす時間」。
このバランスを整えることが、人間関係の疲れを減らし、心の安心を育てるカギになるのです。

 

心が整ってくると、人との関わり方も変わる

心が整ってくると、人との関わり方も変わる

自分の心と向き合い、少しずつ整理されていくと、
「人が怖い」「一人は寂しい」と感じていた頃とは、人との関わり方が少しずつ変化していきます。

怖さが完全になくなるわけではありません。
けれどその“怖さ”は、あなたが慎重に人を見つめ、
「どんな関係を築きたいか」を大切に考えるためのやさしいブレーキになります。
一方で、“寂しさ”も悪いものではなく、
人とのつながりを求める思いやりや優しさに変わっていくのです。

このように、感情を抑え込むのではなく受け止めることで、
あなたの中にあった“矛盾”が“バランス”へと変わり始めます。

そして気づくのです。
人との距離を変えることよりも、
まずは「自分との関係」を見直すことが何より大切だということに。

自分を責めるより、いたわる。
無理をするより、休む。
嫌われないように頑張るより、“自分らしさ”を守る。

そうやって心が整ってくると、
人に対しても「怖い」より「理解したい」「寄り添いたい」という気持ちが自然に芽生えます。

“怖さ”も“寂しさ”も、あなたの中でちゃんと意味を持っている。
それを受け入れたとき、
人との関わりは“我慢するもの”から、“あたたかくつながるもの”へと少しずつ変わっていくのです。

 

まとめ|「人が怖いけど一人は寂しい」そのままでいい

「人が怖いのに、一人は寂しい」――
そんな自分を、どう扱えばいいのか分からず、戸惑ってしまうことがありますよね。
でも大丈夫です。
その矛盾した気持ちは、決しておかしいものではありません。

「怖い」という感情は、あなたを守ろうとする心の働き。
「寂しい」という感情は、誰かとつながりたいという自然な願い。
どちらもあなたの中でちゃんと意味を持っている、大切な感情なのです。

無理にどちらかを解決しようとしたり、「こんな気持ちはダメ」と否定する必要はありません。
それよりも、
「怖いときもあるし、寂しいときもある。どちらの気持ちもOK」
――そう思えることが、心をラクにする第一歩です。

人は、完璧にバランスを取ることはできません。
でも、矛盾を抱えながらも“今の自分を許すこと”ができれば、
心の中に少しずつ安心できるスペースが生まれていきます。

そしてその安心が、やがて“人との優しいつながり”を育てていく力になります。

怖くてもいい。寂しくてもいい。
そのままのあなたで、ちゃんと大丈夫です。

 

 

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国家資格キャリアコンサルタント・メンタルヘルス・マネジメント®検定II種取得。企業での人材育成や新入社員研修の経験を経て、現在は心理カウンセラーとして個人・法人向けにカウンセリングや研修を行っています。 働く人の「こころの健康」を守ることをミッションとし、職場のストレス、自己肯定感の低下、人間関係の悩みに寄り添いながら、年間300件以上の相談に対応。信頼される「話し方」や「聴き方」のプロとして、多くのメディアにも情報提供を行っています。 「ひとりで抱え込まないで。一緒に考えることで、こころは軽くなる。」

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