間違いやすい日本語10選|意味・使い方を言葉のプロがやさしく解説!
「破天荒って、“豪快な人”って意味じゃないの?」
「“敷居が高い”って、高級で入りづらいってことだと思ってた…」
そんなふうに、私たちが普段“当たり前”に使っている言葉の中には、実は意味を取り違えているものがたくさんあります。
でも大丈夫。間違いに気づけた瞬間こそ、言葉を深く理解するチャンスです。
この記事では、特に間違いやすい日本語10個を厳選して、
言葉の本来の意味と、誤用される背景をやさしく解説します。
正しい使い方を知れば、あなたの語彙力も、会話の説得力もワンランクアップ。
言葉にちょっとだけ敏感になることで、日常がもっと豊かに感じられるかもしれませんよ。
その使い方、実は間違ってる?よくある日本語ミス10選
1.「敷居が高い」=入りにくい?→本当の意味は「気まずい」
誤用例:「高級すぎて、あのお店は敷居が高いなあ」
正しい意味:「過去に迷惑をかけたから、顔を出しにくい」=心理的に気まずい
🔍 解説:「敷居」とは、家に入るためにまたぐ部分のこと。そこを“またげない”というのは「申し訳なさ」や「遠慮」を表しています。高級かどうかは関係ありません。
2.「破天荒」=豪快な人?→本来は「前例がないこと」
誤用例:「あの人って破天荒で派手だよね」
正しい意味:「誰もやったことがないことを初めて成し遂げた人」=偉業
🔍 解説:「天荒」とは“未開の地”という意味。そこを「破る」=道を切り開いた人への称賛の言葉なのです。
3.「失笑する」=笑いをこらえる?→実は「思わず笑ってしまう」
誤用例:「面白すぎて失笑した」
正しい意味:「おかしさやあきれて思わず笑ってしまうこと」
🔍 解説:「失」は“思わず”という意味。「笑いを失う」ではなく「ふと笑ってしまう」が本来の使い方です。
4.「煮詰まる」=行き詰まる?→実際は「結論に近づく」
誤用例:「会議が煮詰まって、もう進まない」
正しい意味:「話し合いが十分に行われて、結論が出そうな状態」
🔍 解説:料理で煮詰めると、味が凝縮されて仕上がりに近づきます。行き詰まりではなく、むしろ“最終段階”という意味なのです。
5.「情けは人のためならず」=人に優しくすると自分が損?→逆!
誤用例:「人に親切にしても意味がないってことだよね」
正しい意味:「人に親切にすることは、巡り巡って自分のためになる」
🔍 解説:「ならず=ではない」ではなく、「ならず=他人だけのためでは終わらない」という意味。温かい言葉だったんですね。
6.「役不足」=自分には無理?→本当は「自分の力に見合わない簡単な役」
誤用例:「私にはその仕事は役不足です」←謙遜のつもりが失礼に!
正しい意味:「自分には簡単すぎる役目・仕事」
🔍 解説:本来は「もっと責任ある役を任せてほしい」といったニュアンス。目上の人に使うと誤解されがちなので注意が必要です。
7.「姑息」=ずる賢い?→実は「その場しのぎ」
誤用例:「彼のやり方は姑息で卑怯だ」
正しい意味:「一時的にしのぐだけの、その場限りの対応」
🔍 解説:「卑怯」や「ずるい」ではなく、「根本的な解決にならないこと」を指す言葉です。
8.「他力本願」=人任せ?→仏教では深い意味がある
誤用例:「他力本願な人って、努力しないよね」
正しい意味:「阿弥陀仏の力にゆだねて救済を願う」という仏教用語
🔍 解説:現代では「人任せ」というニュアンスが広がっていますが、本来は「自力では救われない自分を素直に認め、仏にゆだねる」という謙虚な思想です。
9.「御の字」=まあまあ?→本当は「非常にありがたい」
誤用例:「それなら御の字だね(=それなりにOK)」
正しい意味:「これ以上ないほどありがたい」という最上級の褒め言葉
🔍 解説:「御」という丁寧な接頭語を使うことで、“最大限の感謝・満足”を表現しています。
10.「にやける」=ニヤニヤする?→語源は「なよなよする」
誤用例:「彼女と話すとき、にやけててキモい」
正しい意味:「男性が女性っぽく、なよなよした様子になること」
🔍 解説:元々は“女のように色っぽくふるまう男性”を揶揄した言葉。今では“ニヤニヤ笑う”の意味が浸透していますが、本来は仕草・態度を指す表現です。
なぜ日本語の誤用は起こるのか?
日常会話の中での“なんとなく理解”が原因
私たちが日本語を間違って使ってしまう大きな理由のひとつが、「雰囲気で覚えていること」。
たとえば、誰かが「敷居が高い」と言っていたのを聞いて、「あ、あのお店みたいに高級な雰囲気のことを言うんだな」と無意識に覚えてしまう。
そのまま自分も同じように使いはじめて、誤用が広がっていく――そんなパターン、実はとても多いんです。
🔍 ここがポイント!
・ニュースやSNS、ドラマなどでよく耳にする=正しいと思い込んでしまう
・「意味までは知らないけど、よく聞くからなんとなく使える」状態が落とし穴
つまり、**“耳で覚えて、意味を知らずに使ってしまう”**ことが誤用の温床になっているんですね。
言葉は時代と共に変化していくもの
もう一つ見逃せないのが、日本語そのものが「変化する生き物」であるということ。
たとえば「にやける」は、もともと「なよなよした男の仕草」を指していた言葉ですが、
今では「ニヤニヤ笑っている様子」として使われることがほとんど。
こうした“誤用”が定着し、やがて“新たな意味”として認められることも少なくありません。
🌀 言葉は時代とともに“進化”する
・辞書に「本来の意味」と「現在の使われ方」が併記されている例も増えている
・誤用が広がりすぎて、もはや「どちらでもOK」になっている言葉もある
ただし、「仕事の場」「公式な文書」などでは、誤用が“恥”になる場面もあります。
だからこそ、言葉の本来の意味や背景を知っておくことは、自分を守る“教養”にもなるのです。
言葉の誤用を防ぐ3つのコツ
1. 意味があいまいな言葉は一度調べてみる
「たぶんこういう意味だろう」と思って使っている言葉、実はあいまいなままになっていませんか?
そんなときは、一度ネットや辞書でサッと意味を確認するクセをつけましょう。
スマホで「〇〇 意味」と検索するだけでもOK。1分足らずで、長年の勘違いがスッキリ解消されることもあります。
📌 ちょっとした意識で、誤用の芽を早めに摘める!
・会話中に「あれ?」と思ったらメモ→あとで調べる
・辞書アプリや国語系のサイトをブックマークしておくのもおすすめ
2.「なんとなく」で使わず、文脈とセットで覚える
言葉は“意味”だけでなく、“どういう場面で使うか”がとても大事。
たとえば「役不足」は正しい意味を知っていても、使い方を間違えれば逆に相手を不快にさせてしまいます。
だからこそ、「その言葉が使われる文脈ごと覚える」ことが誤用防止のカギになります。
🔍 具体的な例文とセットでインプットすると記憶にも残りやすい!
・「破天荒」は「彼の挑戦は破天荒な試みだった」のように“前例のない挑戦”と覚える
・「御の字」は「この条件なら御の字です」と、“最高にありがたい”文脈で覚える
3. 誤用に気づいたときは、人に優しく教えてあげよう
自分が誤用に気づいたとき、あるいは人の誤用を見つけたとき、つい指摘したくなりますよね。
でもそのときこそ、**「言葉の使い方以上に“伝え方”が大切」**になります。
✔ 正しく伝えるコツは、「マウントを取らないこと」。
✔ たとえば、「実はこんな意味もあるらしいよ!」という柔らかい言い回しにすると、相手も素直に受け取りやすくなります。
🌱 言葉を学ぶ姿勢は、まわりにも伝わるもの。
やさしく教え合える関係性が、言葉への理解と敬意を深めてくれます。
まとめ|正しい日本語を知ると、言葉がもっと楽しくなる
正しく使えると、話し方にも自信がつく
言葉の使い方に自信がある人は、それだけで説得力が増します。
逆に、なんとなく使っていた言葉の意味を正しく知ったとき、「あっ、今までちょっと恥ずかしい使い方してたかも…」と気づくことも。
でもそれは、成長のチャンスでもあります。
正しい意味や使い方を知るたびに、言葉を扱う力が磨かれていく。
それはやがて、“話し方の自信”や“知的な印象”につながっていきます。
📘 言葉は、あなたの「印象」や「信頼」をつくるツール。
たったひと言の使い方が、あなた自身の印象を大きく変えてくれるのです。
学びながら、言葉との付き合い方を深めよう
正しい日本語を覚えるのは、堅苦しいことではありません。
むしろ、「へえ、こんな意味だったんだ!」という発見の楽しさにあふれています。
言葉は日々変化し、私たちの生活や心に寄り添ってくれる存在。
だからこそ、少しずつでも「正しく知る努力」をしていくことが、言葉との距離を縮める第一歩です。
🖋 今日からできる、小さな積み重ねが未来の自分をつくる。
正しい日本語を学ぶことは、あなた自身を丁寧に育てることにもつながります。
📌 最後にひとこと:
「間違っていた」と気づけることは、恥じゃなく“伸びしろ”。
これからも、ことばの世界を一緒に楽しんでいきましょう!


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