その使い方、実は間違い?|間違いやすい日本語の意味・使い方を言葉のプロがやさしく解説!
日常会話やビジネスの場で何気なく使っている日本語。
でも、その中には実は“誤用”されやすい言葉がたくさんあります。
たとえば「確信犯」「失笑」「役不足」――正しい意味を知ると、意外な発見があるかもしれません。
この記事では、言葉のプロが「間違いやすい日本語」をわかりやすく解説。
今日から“伝わる日本語”を楽しく身につけましょう。
その使い方、実は間違ってる?よくある日本語ミス
日常会話やSNS、ビジネスメールの中で、
「なんとなく」使っている日本語が、実は間違っていることも少なくありません。
ここでは、特に誤用が多い日本語を15個ピックアップし、
正しい意味と使い方をやさしく解説します。
1. 「確信犯」の本当の意味
誤用例:「あの人は確信犯だから、悪いと思ってない」
本来の意味:
「自分の信念や思想に基づいて行う犯罪」
(例:宗教的・政治的信念からの犯罪行為)
→ 「悪いとわかっていてやる」という意味ではありません。
2. 「役不足」と「力不足」の違い
誤用例:「私にはこの仕事、役不足です(=難しすぎる)」
正しい使い方:
「役不足」は“役が軽すぎる”、
「力不足」は“実力が足りない”。
→ 真逆の意味なので注意が必要です。
3. 「気が置けない」の誤用に注意
誤用例:「あの人は気が置けない人だから、少し距離を置こう」
正しい意味:
「気を使わずに付き合える」
つまり「気が置けない人=親しい人」です。
4. 「情けは人のためならず」は誤解されやすい諺
誤用例:「情けをかけると、その人のためにならない」
正しい意味:
「人に親切にすると、めぐりめぐって自分にも良いことが返ってくる」
→ “情けは自分に返る”というポジティブな教えです。
5. 「失笑する」は笑いをこらえる意味?
誤用例:「彼の発言に思わず失笑してしまった(=笑ってしまった)」
正しい意味:
「思わず吹き出してしまう」ではなく、
「笑ってはいけないのに苦笑・あきれ笑いする」こと。
6. 「煮詰まる」と「行き詰まる」の違い
誤用例:「話し合いが煮詰まって、もう進まない」
正しい意味:
「煮詰まる」は“結論が出る段階まで進む”というポジティブな意味。
進まなくなる場合は「行き詰まる」が正解です。
7. 「うがった見方をする」の意味
誤用例:「彼はいつも疑い深く、うがった見方をする」
正しい意味:
「物事の本質を鋭く見抜く」こと。
→ “ひねくれて見る”ではなく、むしろ“洞察力がある”意味です。
8. 「姑息な手段」の「姑息」って悪い意味?
誤用例:「姑息=卑怯」
本来の意味:
「一時しのぎの」こと。
→ 卑怯とは限りませんが、現在は「ズルい」という意味で定着しています。
9. 「憮然とする」は怒っている?
誤用例:「彼は注意されて憮然としていた(=怒った様子)」
正しい意味:
「失望してぼんやりしている」こと。
→ “怒る”ではなく“がっかりする”イメージです。
10. 「にやける」は笑顔のこと?
誤用例:「彼の笑顔がにやけていて優しい」
正しい意味:
「女性のように柔らかい表情をする」または「だらしなく笑う」
→ 「柔らかい笑顔」とは少し違うニュアンスです。
11. 「敷居が高い」は“入りづらい”ではない
誤用例:「高級すぎて敷居が高い店」
正しい意味:
「迷惑をかけたなどで、その人に会いにくい」
→ 店やブランドには本来使いません。
12. 「手をこまねく」の意味
誤用例:「腕を組んで待つ」というイメージで使う
正しい意味:
「何もせず傍観する」こと。
→ 行動を起こさない状態を指します。
13. 「気の置ける」「気が置ける」の混同
誤用例:「彼は気の置ける友人だ(=親しい友人)」
正しい使い方:
「気が置けない友人」が正。
→ “気の置ける”は「気を使う必要がある」という逆の意味になります。
14. 「爆笑する」は「大勢が笑う」
誤用例:「ひとりで爆笑した」
正しい意味:
「多くの人が一斉に笑う」こと。
→ ひとりの時は「大笑いした」が自然です。
15. 「情緒がない」「風情がない」の違い
誤用例:「この部屋、情緒がないね(=趣がない)」
正しい意味:
「情緒」=感情のゆらぎ、「風情」=趣や味わい。
→ 雰囲気を表すなら「風情がない」が正解です。
✨まとめ
日本語は、日常の中で少しずつ意味が変化し、
誤用が“新しい意味”として広まることもあります。
しかし、正しい意味を知ることは、言葉をより深く味わうこと。
使い方をひとつずつ見直すだけで、
表現力も信頼感も大きく変わっていきます。
なぜ日本語の誤用は起こるのか?
「なぜこんなに日本語の誤用が多いの?」
「どうして間違った使い方が定着してしまうの?」
実は、私たちが無意識に使っている“言葉のクセ”や“文化の変化”が、
誤用を生み出す大きな要因になっています。
ここでは、日本語の誤用が起こる主な3つの理由を解説します。
1. 会話での“なんとなくの使い方”が定着するから
私たちは日常会話で、意味よりも「雰囲気」や「ニュアンス」で言葉を使うことが多いですよね。
たとえば、
-
「確信犯=悪いとわかっててやる人」
-
「煮詰まる=話が行き詰まる」
など、耳で覚えた使い方が「正しい」と思い込んでしまうケースです。
言葉は本来、使われる頻度が高いほうが“正解”として広まる性質があります。
つまり、「なんとなく」で使う人が増えると、それが“新しい日本語”として定着してしまうのです。
一方で、正しい意味を知ると、
「本来こういうニュアンスだったのか」と言葉の深みが見えてきます。
誤用を減らす第一歩は、“耳で覚えた言葉”を一度立ち止まって見直すことです。
2. SNSやメディアでの誤用が広まりやすい
現代では、SNSやテレビ番組、ニュースサイトなどで
日本語が大量に発信・拡散される時代です。
短い文章やテンポの早い会話では、
“正確さ”よりも“伝わりやすさ”や“響きのよさ”が重視されがち。
たとえば、「爆笑=一人で笑う」「敷居が高い=入りにくい店」など、
誤用がキャッチーに使われることで、そのまま広まってしまうのです。
また、有名人やメディアが誤用を使うと、
「この使い方が普通なんだ」と感じる心理(同調効果)も働きます。
言葉は生き物なので、
“誤用がスタンダードになる”こと自体も、現代日本語の特徴といえるでしょう。
ただし、フォーマルな場面では正しい言葉づかいが信頼感につながります。
TPOを意識して使い分けることが大切です。
3. 「漢字の印象」で意味を勘違いしてしまう
日本語は「漢字のイメージ」に引っ張られやすい言語です。
たとえば、
-
「役不足」→“力が足りない”と感じやすい
-
「気が置けない」→“気を使う”と勘違いしやすい
-
「情けは人のためならず」→“情けをかけるのはその人のためにならない”と誤解される
これらは、漢字や言葉の見た目が本来の意味とずれているために生まれる誤解です。
特に現代では、読書量の減少や口語中心のコミュニケーションによって、
「文字としての意味」を深く考える機会が少なくなっています。
だからこそ、
「字の印象ではなく、“言葉の由来”から意味を知る」ことが、
正しい使い方を身につける一番の近道です。
誤用の背景を知ると、日本語の奥行きが見えてくる
日本語の誤用は、“間違って覚えた”という単純な話ではなく、
人の心理や文化の変化によって自然に生まれる現象です。
大切なのは、「間違い探し」ではなく、
「言葉の成り立ちを知って、より正確に使えるようになる」こと。
言葉の背景を知ると、日本語がもっとおもしろく、
そして“伝わる”言葉づかいができるようになります。
言葉の誤用を防ぐ3つのコツ
誤用をなくすために大切なのは、「知識を詰め込むこと」ではありません。
ポイントは、“使う前に少しだけ立ち止まること”。
ここでは、誰でもすぐに実践できる
日本語の誤用を防ぐ3つのコツを紹介します。
1. 「なんとなく」で使わず、一度辞書を引いてみる
言葉を“なんとなく”使うクセは、誤用のもとになります。
たとえば「確信犯」や「気が置けない」など、
耳で覚えた印象だけで使っている言葉は意外と多いもの。
そんなときこそ、一度辞書アプリや国語辞典で調べてみるのがおすすめです。
たった数秒でも、「あ、この言葉にはこういう背景があったんだ」と理解が深まります。
正しい意味を知ることは、“語彙力を増やす”だけでなく、
相手に誤解されない安心感のある表現を身につけることにつながります。
📖おすすめ:
-
「goo辞書」や「Weblio国語辞典」などのオンライン辞書
-
“意味”+“語源”で検索してみると理解がさらに深まります
2. 正しい日本語を使う人の表現を“まねる”
正しい日本語は、実際に“使いこなしている人”から学ぶのが一番です。
たとえば、
-
新聞やニュース番組のナレーション
-
教養系YouTubeやラジオのアナウンサー
-
読みやすく、語彙の丁寧なブログやコラム
こうした媒体に触れることで、「自然で正確な言葉づかい」が感覚として身につきます。
また、尊敬できる“言葉の使い手”をひとり見つけて真似るのも効果的。
文章のテンポや言葉の選び方、言い回しを意識的に吸収することで、
誤用だけでなく、“伝わる日本語”へとアップデートできます。
📌ポイント:
「この人の日本語はきれいだな」と感じたら、言葉選びを観察してみる。
正しい日本語は、“真似”から自然に身につきます。
3. 書き言葉と話し言葉を意識的に使い分ける
日本語の誤用は、書き言葉と話し言葉を混同すると起こりやすくなります。
たとえば、
-
会話では「めっちゃ」「やばい」などのスラングを使う
-
文章では「非常に」「興味深い」といった丁寧語に変える
このように、場面に合った日本語を選ぶことで、
誤用や不自然な表現をぐっと減らすことができます。
特にビジネスメールや公式文書では、
「耳で聞いて自然」よりも「文字で読んで正確」な表現を選ぶ意識が大切です。
💡実践のコツ:
-
話す前に「これを書いたらどう見えるか」を想像する
-
書いた文章を声に出してみて、違和感がないかチェックする
→ この“行き来の意識”が、言葉の誤用を防ぐトレーニングになります。
言葉を見直す時間が、自分の「伝える力」を育てる
正しい日本語を意識することは、
“堅苦しいルールに縛られること”ではなく、
相手に気持ちを正しく届けるためのやさしい習慣です。
言葉を調べる・観察する・使い分ける——
この3つを意識するだけで、あなたの言葉は自然に磨かれていきます。
「正しい言葉づかい」は、知識ではなく“日々の積み重ね”。
ひとつずつ丁寧に学ぶことで、日本語はもっと楽しくなります。
まとめ|正しい日本語を知ると、言葉がもっと楽しくなる
「間違わないようにしなきゃ」と身構えるよりも、
「なぜそう言うのか」を知ることが、日本語を深く楽しむ第一歩です。
言葉の意味を正しく知ることは、“堅苦しいマナー”ではなく、
日常のコミュニケーションを豊かにするための「知的な楽しみ」。
たとえば、同じ「ありがとう」でも、
言葉の選び方や使い方を少し工夫するだけで、
相手に伝わる温度や印象はまったく変わります。
正しい日本語を学ぶということは、
単に「正解を覚える」ことではなく、
「自分の気持ちを、より正確に、やさしく伝えられるようになる」こと。
言葉を知ることは、「思いやり」を深めること
言葉は人と人をつなぐ架け橋です。
正しい日本語を知ろうとする姿勢には、
「相手に誤解なく伝えたい」「心を込めて話したい」という思いやりが込められています。
つまり、言葉を磨くことは、思いやりを磨くこと。
その積み重ねが、信頼される話し方や、心地よい文章を生み出していきます。
✨おわりに
日本語はとても奥深く、そして自由な言葉です。
使い方を学べば学ぶほど、「伝える」ことの面白さや奥行きを感じられるようになります。
焦らず、ひとつずつ。
今日出会った言葉を調べ、丁寧に使うことで、
あなたの中の“言葉のセンス”は少しずつ育っていきます。
言葉を知ることは、自分を知ること。
正しい日本語を味方にして、伝わる言葉を一緒に磨いていきましょう。
日本語 間違い探し🔻


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