「破天荒」の本当の意味、知ってる?実は多くの人が間違って使ってる!
「破天荒な人」「破天荒な性格」など、よく耳にする言葉だけど——その使い方、本当に合ってる?
実は多くの人が、「破天荒」を“型破り”や“豪快”といった意味で使ってしまっていますが、それは誤用の可能性大。
本来の「破天荒」は、もっと重みのある、“ある種の偉業”を表す言葉なのです。
この記事では、「破天荒」の正しい意味と語源、そして誤用されやすいポイントや正しい使い方までをわかりやすく解説。
なんとなく使っていた日本語を、今日から“正しく、スマートに”使えるようになりましょう!
「破天荒」ってどんな意味?まずは正しい定義を知ろう
「破天荒(はてんこう)」という言葉、なんとなく「豪快」「ぶっ飛んでる」「型破り」といったイメージで使っていませんか?
実はその使い方、間違っている可能性があります。
まずは、辞書にも載っている正しい意味や語源を知って、言葉を正しく使えるようにしましょう。
「破天荒」は“前例がないこと”を意味する言葉
「破天荒」とは、本来 “いまだかつて誰も成し遂げたことがないことをやってのけた” という意味を持ちます。
つまり、「前代未聞の偉業」や「誰も達成できなかったことを初めて実現した」といったニュアンスで使うのが正解。
たとえば、
「この地域から東大合格者が出たのは破天荒だ」
という使い方はOK。
“これまで一人も合格した人がいなかった”という前提があるため、正しい用法になります。
語源は中国の古典「韻史」から!
「破天荒」は中国の古典『韻史』に由来する表現です。
「天荒」とは“未開の地”や“いまだ人が足を踏み入れていない状態”を意味し、それを「破る(突破する)」ということから、
「これまで誰も到達できなかった境地を打ち破る」
という肯定的な意味が生まれました。
もともと中国では、科挙(役人登用試験)で誰も合格者がいなかった地方から初の合格者が出た際に「破天荒」と表現したことが語源とされています。
そのため「初の快挙」や「先駆け」を意味する言葉として伝わったのです。
ポジティブでもネガティブでもない“中立的な表現”
「破天荒」という言葉自体には、ポジティブ(良い)かネガティブ(悪い)かという評価は含まれていません。
大切なのは、「前例がなかったことを初めて成し遂げた」という点。
たとえば、
-
前人未到の快挙 → ポジティブな破天荒
-
非常識な行動 → 誤用の可能性あり(※要注意)
つまり、褒め言葉として使う場合も、状況に「初めて」「前例なし」の要素があるかを確認するのがポイントです。
「ぶっ飛んでる」「奇抜」「自由すぎる」という意味ではないので、注意が必要です。
よくある誤用パターンに注意!こんな使い方はNG
「破天荒」という言葉は、ニュースやSNSなどでも頻繁に使われていますが、その多くが実は誤用だとご存知ですか?
本来の意味とズレたまま使い続けると、ちょっと恥ずかしい思いをすることも…。
ここでは、特に多い3つの誤用パターンを紹介します。
「えっ、今までずっとそう思ってた!」という方も、これを機に正しく覚えておきましょう。
“型破り”や“豪快”と混同していない?
破天荒の誤用で最も多いのが、「型破り」や「豪快」と混同して使うケースです。
たとえば、
「あの人は破天荒な発言で注目を集めている」
「自由奔放で破天荒な生き方がかっこいい」
……というような文脈では、「奇抜さ」や「大胆さ」を強調したいのでしょうが、これらは正確には**「破天荒」ではなく「奔放」「突飛」「型破り」**などのほうが適切です。
▶️ NG例:「破天荒な服装でパーティに登場」
▶️ OK例:「前例がなかった方法で、破天荒な快挙を成し遂げた」
芸能人や有名人への“褒め言葉”としての誤用例
テレビ番組や記事などで、
「彼女は破天荒な性格で面白い!」
「あの俳優、破天荒キャラで人気だよね」
という表現を見かけたことはありませんか?
この場合も、“常識にとらわれない自由な人”という意味合いで使っているのですが、「破天荒=奇抜・個性的」ではありません。
こうした使い方はカジュアルな会話では一見通じてしまうかもしれませんが、正しい意味を知っている人からすると「それ、意味ズレてるよ…」と感じられてしまいます。
特にビジネスや文章で使用する際は、意味を誤ると信頼性にも関わるため注意が必要です。
「破天荒な性格」「破天荒な人生」は実はズレている?
「破天荒な性格」「破天荒な人生」など、人物の性質やライフスタイルに対して形容詞的に使うケースもありますが、これも本来の意味とはズレています。
たとえば――
✔「破天荒な人生」=波乱万丈、自由奔放、型破り → ❌誤用
✔「破天荒な性格」=ぶっ飛んでる、常識外れ → ❌誤用
破天荒とは、“前人未到のことを成し遂げた”ことに対して使う言葉。性格や人生そのものを表すのには適していません。
「前例のない生き方を社会に示した」などのように、具体的な「実績・成果」にフォーカスするならOKですが、ただの“風変わり”を表すなら別の表現を使いましょう。
正しい使い方を例文でチェックしよう
「破天荒」の正しい意味はわかったけれど、
「じゃあ実際、どんな場面でどう使えばいいの?」と迷う方も多いはず。
ここでは、正しい使い方を“具体的な例文付き”で紹介します。
さらに、よくある誤用をどう言い換えれば自然か?というポイントや、使う前に確認したいワンポイントも解説!
ビジネス・歴史などでの使用シーン例
「破天荒」は、初めての快挙や前人未到の成果に対して使うのが基本です。
以下のような文脈なら、正しい意味でスマートに使えます。
✅ ビジネスシーンの正しい使用例
「この新サービスは、業界初の試みでまさに破天荒なチャレンジだった。」
→(これまで誰も実現できなかったことを成し遂げた)
✅ 歴史にまつわる例文
「その女性は、当時では珍しく、女性で初の知事に就任した破天荒の人である。」
→(それまでに例がなかったことをやり遂げた)
✅ スポーツや芸術分野での例
「日本人初のグラミー賞受賞という破天荒な快挙を成し遂げた。」
→(前例がないことを達成)
「破天荒な○○」を正しく言い換えるなら?
よく使われがちな「破天荒な性格」「破天荒な生き方」などの表現は、実は意味的にズレているケースが多数。
そうした場合は、状況に応じて別の言葉に言い換えるのがベターです。
誤用表現 | 正しい言い換え |
---|---|
破天荒な性格 | 型破りな性格/自由奔放な性格 |
破天荒な発言 | 過激な発言/突飛な意見 |
破天荒なファッション | 奇抜なファッション/個性的な服装 |
破天荒な人生 | 波乱万丈な人生/常識にとらわれない生き方 |
「前例がないかどうか」がポイントなので、それがない場合は別の形容詞で置き換えるのがスマートです。
間違いを避けるためのワンポイントチェック
「破天荒」を使う前に、以下のチェックポイントを確認すると、誤用を避けやすくなります。
✅ 使う前の3ステップチェック!
-
前例のない出来事・成果か?
→ YES:破天荒の可能性あり/NO:別の表現を選ぼう -
人物そのものではなく、行動や実績に対して使っているか?
→ 「性格」「雰囲気」ではなく、「成し遂げたこと」に使うのが正解 -
「スゴい」「変わってる」と感じた理由が、“初”であることか?
→ 単に派手・自由・大胆=誤用の可能性あり
この3つを意識するだけで、「あれ?意味違ってない?」とツッコまれるリスクをぐっと減らせます。
まとめ|「破天荒」は“初めて成し遂げた人”にふさわしい言葉
「破天荒」という言葉は、日常会話やメディアの中でよく耳にしますが、正しい意味を理解して使えている人は意外と少ないものです。
本来の意味は「誰も成し遂げたことのないことを初めてやってのけること」。
つまり、“派手”とか“自由奔放”といったイメージとは違い、実績に裏打ちされた重みのある言葉なのです。
だからこそ、「破天荒」という表現は、ただの「変わり者」ではなく、歴史や常識を打ち破った“先駆者”にこそふさわしい敬意ある言葉だと言えるでしょう。
意味を知れば、言葉の重みが変わる
言葉は、正しい意味を知ることでその“深み”がわかるようになります。
「破天荒」もまさにその一つ。
なんとなくのイメージで使っていた言葉が、
「“誰も成し遂げなかったことを初めてやった”って、すごく名誉ある言葉なんだ」
と気づくことで、より丁寧に、より慎重に使えるようになります。
誤用されがちな言葉だからこそ、意味を正しく理解しているだけで、一歩リードできますよ。
正しい日本語で、スマートな印象を手に入れよう
「言葉の使い方」は、あなた自身の印象や信頼度を左右する大切な要素です。
特にビジネスや文章表現では、「その言葉、ちゃんと意味わかって使ってる?」と問われる場面も少なくありません。
「破天荒」という一語を、正しく、そして的確に使えるだけで、
-
知的な印象
-
言葉への理解力
-
コミュニケーション力
が自然と高まって見えるのです。
今後、「破天荒」という言葉に出会ったら、**“初の偉業を成し遂げた人”**を思い出して、スマートに使ってみましょう。


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