涙も出ないほどしんどいときは?心と体を守る対処法&セルフケアまとめ
「しんどいのに、涙も出ない…」
そんなふうに感じるとき、自分でも気づかないうちに心が限界を迎えているのかもしれません。
感情が出せない、動けない、誰にも頼れない──その状態は決して“怠け”でも“甘え”でもなく、心があなたを守ろうとしている証です。
本記事では、涙も出ないほどつらいときに試してほしい、無理をしない対処法とやさしいセルフケア習慣をご紹介します。
“何もできない日”にこそ必要なゼロベースのケア、気持ちを整理するヒント、そしてひとりでは抱えきれないときの支援窓口まで。
あなたが自分を責めず、少しでもラクになれるきっかけになりますように。
涙も出ないほどしんどい…それは心のSOSかもしれない
何かがつらいはずなのに、泣くことすらできない。そんな状態に陥ったとき、自分を「冷たい人間なのかな」「おかしいのかな」と責めていませんか?
でも実はそれ、“心の限界サイン”かもしれません。感情が出ないのは、あなたがそれだけ長い間、心にムリを重ねてきた証拠。ここでは「涙が出ないほどしんどい」と感じたときの心理状態と、やさしい受け止め方をお伝えします。
「感情が出ない」は限界サイン
人はあまりにしんどい状態が続くと、心が「これ以上感じたら壊れてしまう」と判断し、感情をシャットダウンすることがあります。
悲しいのに涙が出ない、苦しいのに何も感じない──それは決して異常ではなく、あなたの心が“自分を守るために一時的に麻痺させている”状態なのです。
たとえるなら、火傷をした直後に皮膚の感覚が一時的に鈍るようなもの。心も限界を超えると、同じように「感じること」を止めてしまいます。
そんなときは、無理に何かを感じようとせず、「あ、自分はそれだけ頑張ってきたんだな」と、まず事実として受け止めてあげましょう。
無理して頑張ってきた自分を責めないで
「泣けない自分なんておかしい」「本当につらい人は泣くはずなのに」──そんなふうに思ってしまうこともあるかもしれません。
でも、泣けるかどうかは“つらさのバロメーター”ではありません。泣く余力すら残っていないほど、あなたは頑張ってきたんです。
むしろ、泣けないほど疲弊している状態こそ、注意が必要。そんなときに必要なのは「もっと頑張ること」ではなく、「もうこれ以上がんばらなくていいよ」と自分に言ってあげることです。
自分を責める思考にハマりそうになったら、「私は今、生きるために休もうとしている」と繰り返してみてください。それだけで、少し心がゆるむこともあります。
“涙が出ない”=感情が麻痺している状態
感情が出ない=心が壊れた、ではありません。むしろ「感情が出ないほどしんどい」状態は、“心があなたを守っている”サインです。
感情の麻痺状態では、うれしい・悲しい・怖い・苦しいといった感覚が鈍くなります。そのため、「何をしても楽しくない」「何も感じない」という空白の時間が増えがちです。
そんなときは、無理に“感情を取り戻そう”とせず、まずは体を温める・少し眠る・静かな音楽を流すといった安心感を得られる行動を取り入れてみてください。
感情は、安心の中で少しずつ戻ってきます。焦らず、ゆっくり、自分の心と再びつながる時間を取り戻していきましょう。
すぐできる!しんどさを和らげる対処法
「とにかく、今このしんどさをどうにかしたい」──そう感じるときは、難しいことを考える余裕すらありませんよね。
ここでは、考えなくてもすぐに実践できる、シンプルでやさしい対処法をご紹介します。ポイントは、「心に効く」ではなく「体に効かせる」ことから始めること。小さなきっかけで、重たい気分が少しずつほどけていくこともあるのです。
深呼吸だけでもOK|体をゆるめる意識を持とう
気づかないうちに、私たちはしんどいときほど呼吸が浅くなっています。呼吸が浅いと、体は“緊張モード”を維持し続け、余計に疲れやすくなるのです。
まずは、ゆっくり3秒かけて息を吸い、6秒かけて吐き出してみましょう。
肩の力を抜いて、なるべく「吐くこと」に意識を向けてみてください。
たったこれだけでも、自律神経のバランスが整い、体と心に「休んでいいよ」という指令が届きます。動けなくても、横になったままでも大丈夫。“深く呼吸するだけ”で、あなたはちゃんと自分をケアできています。
スマホ・SNSから距離を置く
SNSやスマホは、無意識のうちに心のエネルギーを削ってしまうことがあります。特にしんどいときには、「みんな元気に見える」「比べてしまう」「通知が気になる」といったストレスが積み重なりがち。
そんなときは、スマホを1時間だけでも手の届かないところに置いてみましょう。
通知を切って、画面を見ない時間をつくるだけで、脳と心に“余白”が生まれます。
もし難しい場合は、SNSだけでも一時的にログアウトしたり、表示される情報を一時的に絞ったりするのもおすすめです。「見ることをやめる」ことも立派なセルフケアのひとつです。
誰かに頼るのが難しいなら「紙に書く」だけでも効果あり
「誰かに話したいけど、うまく言葉にできない」「話せる人がいない」──そんなときは、思っていることを紙に書き出してみてください。
箇条書きでも、ぐちゃぐちゃでもOK。
「しんどい」「わからない」「助けて」とだけでもいいのです。頭の中でぐるぐるしていた感情が、“紙の上”に出ていくだけでも、心の負荷は少し軽くなります。
さらに、「○○がイヤだった」「××が悲しかった」と書いてみると、自分の中で感情が整理され、「本当はこう思ってたんだな」と気づけることもあります。
誰かに見せる必要はありません。書いた紙は破って捨ててもOK。
“外に出す”という行為が、あなたの心を少しずつ解放してくれます。
何もできないときの“ゼロベースケア”
何かをしなきゃ…と頭では分かっていても、体も心も動かない。そんな日があって当然です。
でも、そんなときに「私はダメだ」「何もできてない」と思い詰めてしまうのは、さらに自分を追い込むことになりかねません。
ここで紹介するのは、“何もできない日”にこそ取り入れてほしい、ゼロから始めるセルフケア。
動けなくても、誰かと話せなくても大丈夫。あなたが“生きているだけで価値がある”ということを、思い出せるようなケア方法です。
「起きられない日」は横になってるだけで十分
布団から出られない。起き上がる力も湧かない──そんな日は、無理に動こうとしなくてOKです。
体も心も休息を必要としているサイン。「横になっているだけ」「何もせずに過ごすこと」も、立派な自己回復のプロセスです。
もし可能であれば、カーテンを少しだけ開けて自然光を取り入れる、毛布を整えて体を包むなど、“心地よさ”をちょっとだけ意識してみてください。
それだけでも、自律神経が少し整い、回復のスイッチが入りやすくなります。
「今日は何もしない日」ではなく、「今日は休むことに全力を注ぐ日」ととらえてみましょう。
食べられないときは、ゼリー飲料やスープで栄養補給
「食べる気力がない」「胃が受け付けない」──それでも、少しだけでもエネルギーは必要です。
そんなときは無理に食事をとろうとせず、ゼリー飲料・栄養スープ・ヨーグルト・ポカリなど、“飲めるもの”で補うだけでも充分です。
キッチンに立てないときは、コンビニや宅配でもOK。レトルトや冷凍食品を常備しておくと、気力が戻ってきたときの手助けにもなります。
「ちゃんと食べなきゃ」と焦るよりも、「今の自分にできる最小限のケアでいい」と思えたとき、心にも少し余白が生まれます。
“できたこと”に目を向けて、自分を肯定しよう
何もできていないように思えても、本当に“ゼロ”だった日はありません。
「目を覚ました」「水を飲んだ」「トイレに行けた」──それらはすべて、あなたが生きるためにちゃんと動いた証です。
どんなに小さなことでも、「今日できたことリスト」を頭の中ででもいいのでつくってみてください。
書き出せばなお良し。「できたこと」を目に見える形にすると、“自分を責める思考”の隙間に、自信の芽が生まれます。
何もしていないように見える日でも、あなたはちゃんと、自分の心と体を守ろうとしている。それだけで、十分なんです。
気持ちを整理したいときのセルフケア習慣
しんどい気持ちをずっと抱えたままだと、心の中がごちゃごちゃして、何がつらいのかも分からなくなってしまうことがあります。
そんなときは、「原因をはっきりさせる」よりも、「今の自分に寄り添う」ことが大切です。
ここでは、自分の感情を少しずつ整理し、穏やかに心を回復させていくためのセルフケア習慣をご紹介します。特別な道具も準備もいりません。今日この瞬間から、やさしく始めてみましょう。
感情のラベル付けをしてみる(モヤモヤ=疲労?怒り?)
「なんだかモヤモヤする」「理由もなくしんどい」と感じるとき、まずはその感情に“名前”をつけてみましょう。
たとえば、「これは不安?怒り?寂しさ?」「それとも、ただ疲れているだけ?」と問いかけてみるのです。
この“ラベル付け”をすることで、感情が整理され、心の混乱が少し落ち着いてきます。
言葉にできない感情は、ただの「重たい塊」として残ります。でも、名前をつけられた感情は、「それにどう対応しよう?」と考えられる対象になります。
ノートやスマホのメモ帳に書き出してみるのもおすすめです。
「名前をつける」ことは、自分の気持ちを大切に扱う第一歩です。
小さな楽しみを取り戻す工夫を
何も楽しいと思えないとき、「楽しまなきゃ」と無理をする必要はありません。でも、ほんの少しでいいので「ちょっとだけうれしい」「気持ちが和らぐ」ことを、意識してみましょう。
たとえば──
・お気に入りのマグカップで飲むお茶
・コンビニスイーツをひとつ買ってみる
・好きなキャラクターのスタンプを眺める
・窓を開けて風にあたってみる
これらは一見、小さすぎて意味がないように思えるかもしれません。
でも、“心が動く瞬間”を少しでも感じられたら、それは確実に回復のサインです。
“楽しい”のハードルを下げて、「気分がほんの少しマシになるもの」を拾い集めてみましょう。
「笑える作品」「癒される音楽」に助けられることも
何かを考える元気がないときは、外からの「癒し」に頼るのも立派なセルフケアです。
YouTubeや配信サービスで、**自分が“考えずに笑える作品”**を探してみたり、リラックスできる音楽や自然音を流してみたりするだけでも、心がふっとゆるむ瞬間が生まれます。
感情が疲れているとき、言葉で癒されるのが難しいこともあります。そんなときこそ、音・映像・テンポといった“感覚”に訴えるものを取り入れるのが効果的です。
中には、泣ける映画やヒーリング系の動画を観て、ようやく涙が出た…という人も少なくありません。
「何もしないで感じるだけ」で十分。無理せず、自分の心に寄り添えるコンテンツを味方につけてください。
それでもつらいときは、専門機関やサポートを頼って
セルフケアを試しても気持ちが晴れない。何日も何週間もつらさが続く…。
そんなときは、「もう頑張らなくていいから、誰かに委ねる」ことが大切です。
心の不調は、風邪やケガと同じく、「適切なサポートを受ければ回復する」もの。
専門家の助けを借りることは、甘えでも弱さでもなく、むしろ「回復のために必要な行動」です。
以下では、心療内科や相談窓口の利用を検討するための目安と、安心して頼れる支援先についてご紹介します。
心療内科・カウンセリングを受ける目安とは?
「受診するほどじゃないかも」「相談するのは大げさかも」と思ってしまう方も多いですが、悩みの深さより、“日常生活への影響”が判断のポイントです。
以下のような状態が2週間以上続く場合は、受診を検討してみてください:
-
食欲や睡眠に大きな変化がある
-
仕事や家事、勉強が手につかない
-
好きだったことにも興味がわかない
-
人と話すのがつらい、引きこもりがち
-
「消えてしまいたい」と感じることが増えた
心療内科やメンタルクリニックは、薬を出すだけの場所ではありません。
話を聞いてもらう、状況を整理する、安心する場所としても使えます。まずは一歩、電話相談やWebで予約・問診から始めても大丈夫です。
相談できる窓口一覧(無料・匿名あり)
「いきなり病院はハードルが高い」
そんな方は、まず無料・匿名で相談できる窓口を活用してみてください。誰にも知られず、名前も出さずに話せる場があります。
■ こころの健康相談統一ダイヤル
全国どこからでも:0570-064-556
(お住まいの自治体の相談窓口につながります)
■ いのちの電話(24時間対応)
電話:0570-783-556(ナビダイヤル)
特定の時間ならフリーダイヤル:0120-783-556
■ 東京英和女学院「よりそいホットライン」
24時間/LINE相談あり/多言語対応:0120-279-338
■ 若者の悩みに特化|BONDプロジェクト
LINE・電話・メールなどで気軽に相談できます
※相談内容は秘密厳守。話すだけで気持ちが少し軽くなることもあります。「まとまってなくて話せない」と思っていても、スタッフが丁寧に寄り添ってくれますので安心してください。
「助けを求めるのは弱さ」じゃない
「人に頼るのは負け」「みんな耐えてるのに、自分だけ…」
そんなふうに思ってしまう方こそ、抱えすぎている証拠です。
本当に強い人とは、**「自分の限界を知り、必要なときに助けを求められる人」**のこと。
無理して壊れる前に、今の自分を守ってあげることが、あなたのこれからの人生を救ってくれます。
もし今、「このページを見るだけでもつらい」「誰にも言えない」と感じているなら、それだけ苦しい中でがんばっているということ。
一人で抱えなくていい。あなたには、頼っていい場所がちゃんとあります。
まとめ|涙も出ないときこそ、自分に一番やさしくしてあげよう
涙すら出ないほどしんどいとき、人はつい「自分はもうダメだ」と思いがちです。でも、本当に必要なのは、「そんな自分でもいい」と受け止めてあげること。
あなたの心は、いま休もうとしているだけです。戦い抜いた末に、ようやく“守るために止まった”だけなのです。
だからこそ、これからの時間は「がんばるため」ではなく、「やさしく生きるため」に使ってください。
ここからは、自分にやさしく寄り添う回復のヒントを、もう一度まとめます。
“休む力”は生きるために必要なスキル
頑張ることばかりが正解ではありません。
むしろ、“うまく休む力”こそが、現代を生き抜くために欠かせない大切なスキルです。
休むとは、立ち止まることではなく、「これからの自分を守る準備」。
心と体に必要な“燃料”を補給する時間です。
「何もしていない」と感じるその時間が、あなたを再び動ける状態に整えてくれます。
堂々と休んでいいんです。それは逃げじゃなく、“生きる選択”です。
今日できたことにOKを出そう
「起きられた」「ごはんを一口食べられた」「深呼吸だけした」──そのすべてが、立派な“行動”です。
他人と比べる必要はありません。今日の自分が、今日できたことを大事にするだけで十分です。
何も進んでいないように見える日も、実は心の中では小さな変化が起きているかもしれません。
「できなかったこと」よりも、「できたこと」に目を向けて、自分をそっと肯定してあげましょう。
あなたのペースで、少しずつ回復していけば大丈夫
回復に“正解のスピード”なんてありません。
早く元気にならなきゃ、というプレッシャーよりも、「今日はちょっとマシだった」でOK。
一歩進んで二歩戻る日もあるかもしれません。でも、そのすべてが「自分を取り戻す過程」です。
焦らず、比べず、自分のリズムで。
あなたがあなたを大切にできたその瞬間から、回復は始まっています。
どんな状態のあなたも、十分に価値がある。
涙が出ないときこそ、自分にやさしくしてあげることを忘れないでください。
あなたは、ひとりじゃありません。


最新記事 by 佐藤 彩香(心理カウンセラー) |ご支援はこちら (全て見る)
- ひとりで居たいのに寂しいのはなぜ?矛盾する気持ちとの上手な付き合い方 - 2025年7月13日
- なにをしても満たされない日は、なぜ来るの? 心が空っぽになる理由とやさしい乗り越え方 - 2025年7月13日
電話番号 052-265-6488