自分の感情がわからないときにやるべきこと|心を整理する5つのステップ
最近、「自分が何を感じているのかわからない」と戸惑うことはありませんか?
嬉しいのか悲しいのか、イライラしているのかすら分からない――そんなとき、心は少し疲れているのかもしれません。
感情を見失うのは“弱さ”ではなく、むしろ自分を守るための自然な反応です。
この記事では、自分の感情を少しずつ取り戻すための5つのステップを紹介します。
「何も感じない自分が怖い」と思う前に、まずは心の整理から始めてみましょう。
「自分の感情がわからない」と感じるのは、誰にでもあること
「悲しいのか、怒っているのか、自分でもよくわからない」──そんな状態に戸惑うことはありませんか?
実はこれは、特別なことではなく、誰にでも起こる自然な心の反応です。
人は、毎日さまざまな情報や人間関係、ストレスの中で生きています。
その中で自分の本当の気持ちを感じ取る力が、少しずつ鈍くなってしまうことがあるのです。
とくに「頑張りすぎている人」や「周りに気を遣う人」ほど、感情を感じる余裕がなくなりやすい傾向があります。
大切なのは、「感情がわからない自分を責めないこと」。
それは心がこれまで一生懸命にあなたを守ってきた証拠でもあるのです。
感情が“麻痺したように感じる”のは、心が疲れているサイン
「何も感じない」「涙が出ない」「嬉しいのに心が動かない」──
そんな“心の麻痺”を感じるとき、あなたの心は限界に近いサインを出しています。
人の感情は、本来とても繊細です。
ストレスやプレッシャーが続くと、心が自分を守るために「感じる」ことを一時的に止めてしまうことがあります。
これは防衛反応であり、壊れてしまわないようにするための自然な働きです。
このようなときに必要なのは、“頑張ること”ではなく“休むこと”。
無理に気持ちを探ろうとせず、まずは体と心を少し緩めてあげましょう。
ゆっくり眠る、自然に触れる、何も考えずボーッとする──
小さな「余白の時間」が、少しずつ感情を取り戻すきっかけになります。
「わからない=ダメ」ではなく、“守るための反応”
多くの人が「自分の気持ちがわからないなんておかしい」「ちゃんと感じられない自分は冷たい」と思いがちですが、
それはまったくの誤解です。
感情がわからなくなるのは、“心が壊れないように守るための反応”。
長く我慢したり、人の期待に応え続けたりすると、心はオーバーヒートを避けようとして感情のスイッチを一時的に切ることがあります。
これは「あなたが弱いから」ではなく、あなたの心が正しく働いているから起こる現象です。
だからこそ、今は「感情を取り戻すこと」よりも、「感じられない自分を許すこと」が第一歩になります。
「わからなくてもいい」
そう自分に声をかけるだけでも、心の緊張が少しずつほぐれていきます。
なぜ自分の感情が見えなくなるのか?
「嬉しい」「悲しい」「腹が立つ」──
本来、私たちはさまざまな感情を感じながら生きています。
それなのに、いつの間にか「自分の気持ちがわからない」「何を感じているのかピンとこない」と思うことがあります。
実はそれには、いくつかの心のメカニズムが関係しています。
ここでは、自分の感情が見えにくくなる主な3つの原因を見ていきましょう。
忙しさやストレスで「感じる余裕」がなくなる
仕事・家事・人間関係──日々のタスクに追われると、
私たちの意識は「こなすこと」に集中してしまいます。
本来、感情を感じるには“立ち止まる時間”が必要ですが、
忙しさが続くと、心は「感じるよりも動く」モードに切り替わってしまうのです。
「悲しい」と感じる前に、「やらなきゃ」と思ってしまう。
「嬉しい」と思う前に、「次の予定」を考えてしまう。
こうして“心の声”をキャッチするスペースがどんどん狭くなり、
いつの間にか「感情を感じる感度」が鈍くなっていきます。
対処ヒント:
1日の中でほんの数分でも、“止まる時間”を意識してみましょう。
たとえば、深呼吸をする・空を見上げる・好きな音楽を聴く──
そのわずかな時間が、感情を感じ取るアンテナを少しずつ取り戻してくれます。
人に合わせすぎて「自分の気持ち」が後回しになる
「相手を傷つけたくない」「場の空気を壊したくない」──
優しい人ほど、無意識に自分の感情を抑えてしまいます。
その結果、
-
“本当は嫌だった”ことを笑って流す
-
“無理してでも頑張る”ことを続ける
といった行動が習慣化し、「自分はどう感じているのか」が見えにくくなっていくのです。
他人との関係を大切にすることは素晴らしいことですが、
それが続きすぎると、“自分の心の声”が小さくなってしまいます。
対処ヒント:
「相手がどう思うか」ではなく、「自分はどう感じるか?」という視点を少しずつ取り戻してみましょう。
たとえば、誰かに「どうしたい?」と聞かれたときに、
すぐに答えが出なくても構いません。
そのとき、「自分は本当はどう感じているんだろう?」と考えるだけでも一歩前進です。
過去の経験から“感情を抑えるクセ”がついていることも
「泣いたら怒られた」「弱音を吐いたら迷惑をかける」──
過去の経験が、今の感情表現に影響を与えていることも少なくありません。
幼い頃や人間関係の中で、
「感じる=悪いこと」「素直に出すと傷つく」と学習してしまうと、
無意識のうちに“感情を抑えるクセ”が身についてしまいます。
この場合、感情がわからないのは“問題”ではなく、
心が自分を守るために長年続けてきた生き方の結果なのです。
対処ヒント:
過去の自分を否定せず、「あの頃の私は、それで精一杯だった」と認めることから始めましょう。
感情を取り戻すために必要なのは、“変わること”ではなく、“受け入れること”。
過去のあなたを責めず、今のあなたを少しずつ肯定していくことで、
心は再び「感じる力」を取り戻していきます。
自分の感情を取り戻すためにやるべき5つのステップ
「自分の気持ちがわからない」ときに、いきなり“本音を見つけよう”とするのは難しいもの。
感情は、無理に引き出すものではなく、“少しずつ戻ってくるもの”です。
ここでは、心をほぐしながら感情を取り戻すための5つのステップを紹介します。
どれも今日からできる、やさしい習慣ばかりです。
① 立ち止まって「今どんな気分?」と自分に問いかける
まずは、“感じるためのスペース”をつくることから始めましょう。
忙しい毎日の中では、心の声がかき消されやすくなります。
そんなときに意識したいのが、「今、どんな気分?」という小さな問い。
たとえば、
-
朝起きたとき
-
通勤や移動中
-
一日の終わりにベッドの中で
ほんの数秒、自分に尋ねるだけでOKです。
「よくわからない」でも構いません。
問いかけを続けるうちに、少しずつ「なんとなく落ち着かない」「ちょっと疲れてるかも」といった微細な感情が見えてきます。
② 頭ではなく“体の反応”に目を向けてみる
(例:肩こり・息苦しさ・お腹の重さ)
感情は、言葉よりも先に体にサインとして現れることがあります。
たとえば、
-
緊張して肩がこる
-
モヤモヤして胸が重い
-
不安で呼吸が浅くなる
こうした身体の反応は、「今の自分は何かを感じているよ」という心のメッセージ。
頭で「私は平気」と思っていても、体は正直です。
無理に理由を探さなくても、まずは「今、ここが重いな」「少し息が浅いな」と気づくだけで大丈夫。
その“気づき”が、感情を取り戻す第一歩になります。
③ 感じたことを言葉やノートに書き出す
心の中だけで感情を整理しようとすると、どうしても考えすぎてしまいがち。
そこでおすすめなのが、「書く」ことです。
ノートやスマホのメモに、思ったままを書いてみましょう。
-
「今日はなんとなく疲れた」
-
「誰かに否定された気がして悲しかった」
など、短くても構いません。
書くことで、頭の中の感情が“目に見える形”になります。
自分でも気づかなかった気持ちやパターンに気づくことができ、
少しずつ「自分はこう感じていたんだ」と理解が深まります。
④ 「何を感じてもOK」と自分に許可を出す
多くの人は、「怒ってはいけない」「弱音を吐いてはいけない」と、
無意識のうちに感情に“制限”をかけています。
でも本来、感情に「良い・悪い」はありません。
怒りも悲しみも、不安も喜びも、すべて自分の一部です。
「こんなことで悲しいなんてダメだ」ではなく、
「そう感じたんだね」と自分に声をかけてみましょう。
この小さな“自己受容”が、心をやわらかくほぐし、
閉じていた感情の扉を少しずつ開いてくれます。
⑤ 安心できる人や環境で“感情を出す練習”をする
感情は“安全な場所”でしか、自然に表れません。
信頼できる友人や家族、またはカウンセラーなど、
「受け止めてもらえる」と感じる相手と話すことで、
心の中にため込んでいた感情が少しずつ流れ出していきます。
もし人に話すのが難しい場合は、
-
音楽を聴く
-
絵を描く
-
自然の中で深呼吸する
といった「安心を感じられる環境」に身を置くだけでもOK。
感情は、安心を感じた瞬間に“顔を出す”もの。
焦らず、少しずつ「出せる場所」を増やしていきましょう。
コラム:感情日記で心の整理をする簡単ワーク
1日1行でもいいので、「今日感じたこと」を書き留めてみましょう。
たとえば——
朝は気分が重かったけど、夕方には少し落ち着いた
誰かに笑顔を向けられて、ちょっと嬉しかった
感情の“記録”を続けることで、自分の気持ちの流れが見えてきます。
「感情を感じられない日」があってもOK。
それすらも、“心が静かに休んでいる日”として受け入れてあげましょう。
こんなときは要注意!感情を閉じ込めすぎているサイン
感情を抑えることは、誰にでもある自然な防衛反応です。
しかし、それが長く続くと、心が「感じる力」を失ってしまうことがあります。
ここでは、感情を閉じ込めすぎているときに現れやすいサインを紹介します。
もし当てはまるものがあれば、今のあなたの心が「そろそろ休ませて」と伝えているのかもしれません。
何をしても楽しく感じない・やる気が出ない
以前は好きだったことに興味が湧かない。
何をしても「楽しい」と感じられない。
そんなとき、心はすでにエネルギー切れを起こしています。
感情が閉じてしまうと、脳は「喜び」や「ワクワク」を感じ取る働きをセーブしてしまうため、
何をしても“無味無臭”のように感じてしまうのです。
これは怠けでも性格でもなく、心が「これ以上、刺激を受け止められない」と休もうとしているサイン。
対処ヒント:
-
「楽しもう」と頑張るのではなく、「何もしない時間」を意識的に取る
-
体を動かす・自然に触れる・ゆっくりお風呂に入るなど、五感をやさしく刺激する
といった“感情を取り戻す下準備”をしてあげましょう。
“感じない時間”も、実は心が回復している途中です。
人に会うのがしんどい、イライラが続く
感情を抑え続けていると、人との関わり自体が負担に感じるようになることがあります。
本当は疲れているのに「大丈夫」と笑ったり、
怒りや悲しみを我慢し続けたりしているうちに、
心の中に“未処理の感情”がたまり、少しの刺激でもイライラしやすくなります。
「誰かと会うのが面倒」「何もされていないのに腹が立つ」と感じるとき、
それは人間関係の問題ではなく、あなたの心が「限界を超えているよ」と教えてくれているのです。
対処ヒント:
-
無理に誰かに合わせず、“一人で過ごす時間”を増やす
-
SNSや連絡を一時的にシャットアウトする
-
「今は静かにしていたい」と自分の気持ちを尊重する
他人と距離を取ることは、「逃げ」ではなく「リセット」の時間です。
「何も感じない自分」が怖くなる
「嬉しいのか悲しいのかもわからない」
「心が動かない自分が怖い」
そんなふうに感じるとき、あなたの心はフリーズ状態(凍結反応)になっている可能性があります。
これは、トラウマや長期的なストレスで、心が“感情を感じること自体”に疲れ果ててしまった状態。
つまり、「もう痛みたくない」「これ以上つらくなりたくない」という、
心が自分を守るための最後の防衛反応なのです。
対処ヒント:
-
「何も感じない自分」を責めず、「よくここまで頑張った」と認める
-
感情を無理に引き出そうとせず、“安心できる時間”を積み重ねる
-
信頼できる人や専門家に話すのも、心をほぐす大切な一歩
“何も感じない”のは壊れた証拠ではなく、
「もう少しやさしくして」と心が静かにSOSを出しているサインです。
コラム:感情の“フリーズ状態”は、休息と自己受容のサイン
感情が止まったように感じると、多くの人は「自分がおかしくなった」と不安になります。
けれど、それは壊れたわけではなく、心が自分を守るために一時停止しているだけ。
感情が動かないときは、
「何も感じなくていい」
「今の私で大丈夫」
と、静かに自分を受け入れてあげましょう。
感情は“感じる力”を取り戻すまで、少し時間が必要です。
焦らず、自分のペースで「安心できる瞬間」を積み重ねていくことで、
心はまたゆっくりと動き始めます。
まとめ|感情は“感じる練習”で少しずつ取り戻せる
焦らず、「わからないまま」でも大丈夫
感情がわからないとき、「早く何か感じなきゃ」「変わらなきゃ」と焦る必要はありません。
心は“安全だ”と感じたとき、初めて少しずつ動き出します。
今はただ、「わからない」という感情をそのまま認めてあげるだけで十分です。
それも、あなたの大切な“今の状態”だからです。
心を閉じていた時間があるほど、ゆっくりでいい
長い間、頑張りすぎたり、我慢を重ねたりすると、心は自然と感情を閉じて守ろうとします。
それは“壊れないための反応”であって、悪いことではありません。
だからこそ、取り戻すときも“ゆっくり”が正解です。
「今日は少し悲しかったかも」「ちょっと嬉しいかも」――そんな小さな感情の芽を感じ取れたら、
それだけで一歩前進です。
少しずつ、“自分の声”を取り戻していこう
感情を感じることは、自分自身と再びつながることでもあります。
頭で考えるよりも、心が何を訴えているかに耳を傾けてみましょう。
たとえば、静かな時間に深呼吸をして「今、私の心はどう感じてる?」と問いかけてみてください。
最初は答えが出なくても大丈夫。
その問いかけを続けるうちに、少しずつ“自分の声”が戻ってきます。
やさしいひとこと
感情を取り戻すのに「遅い」なんてことはありません。
どんなに時間がかかっても、自分の心はちゃんと応えてくれます。
今日もあなたが「自分を感じよう」としたこと自体が、すでに大切な一歩です。


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