自分の感情がわからないときにやるべきこと|心を整理する5つのステップ

自分の感情がわからないときにやるべきこと|心を整理する5つのステップ

「なんとなくつらいのに、理由がわからない」「嬉しいはずなのに、心が動かない」――そんなふうに、自分の感情がわからなくなることはありませんか?
現代のストレス社会では、忙しさや人間関係のなかで“自分の気持ちを後回しにするクセ”が無意識に身についてしまいがち。
その結果、「何を感じているのか自分でもよくわからない」と悩む人が増えています。

この記事では、感情を見失ってしまう理由や、心の声を取り戻すための具体的なステップをやさしく解説します。
「感じられない自分」を責めるのではなく、「感じる練習」から、少しずつ心をほどいていきましょう。

 

「自分の感情がわからない」と感じるのは普通のこと

現代人に増えている“感情迷子”の状態

「自分の気持ちがわからない」「何がつらいのか説明できない」といった“感情迷子”の状態に陥る人が、近年とても増えています。
これは決して特別なことではなく、情報過多やストレス社会で日々気を張って生きている多くの人に共通する悩みです。

感情迷子になる原因のひとつは、“忙しさに流されて心の声を聞く余裕がない”ということ。
また、他人に合わせることが多い人ほど、自分の本音や感情を後回しにする傾向があり、「本当はどう感じているのか」が自分でもわからなくなってしまうのです。

感情がわからないとき、体や行動に出るサインとは

感情が自分で把握できないとき、実は「体」や「行動パターン」にそのサインが現れていることがあります。たとえば――

  • 急に涙が出る

  • 胃や胸が重い感じがする

  • イライラや倦怠感が続く

  • 物事への興味がわかない

  • 些細なことで疲れてしまう

これらはすべて、「心の奥にある感情」が言葉にならず、体を通してSOSを出している状態ともいえます。
だからこそ、感情を無理に「理解」しようとするのではなく、まずは「今、自分にどんな反応が出ているのか」を観察してみることが第一歩になります。

無理に元気を出そうとしないでいい理由

「感情がわからない」ときに、つい自分を責めたり、無理に元気を出そうとしたりしてしまいがちですが、それは逆効果になることもあります。
なぜなら、感情が見えない状態というのは、心が疲れていたり、フリーズしていたりする「防衛反応」の一種だからです。

無理にポジティブになろうとするよりも、まずは「わからないままでいい」と受け入れてあげることのほうが、心にとってやさしい選択です。
感情が見えないときほど、【がんばらない・比べない・否定しない】という3つの“ない”を意識することが、回復のきっかけになります。

 

なぜ自分の感情が見えなくなるのか?

感情を“後回し”にするクセがついている

仕事や人間関係、家庭の中で「今は自分のことを考えている余裕がない」と感じる場面は多いものです。
忙しさや責任感の中で、つい自分の気持ちを“後回し”にするクセがついてしまうと、本来感じていたはずの感情に気づけなくなっていきます。

たとえば、「本当はつらかったけど、笑って受け流した」「怒っていいのに、我慢した」。
こうした小さな“感情のスルー”が積み重なることで、自分の気持ちを見つける力が鈍ってしまうのです。

一度、「最近、自分の気持ちを置いてきぼりにしていなかったか?」と振り返ってみることが、回復の第一歩になります。

頭で考えすぎる人は、心の声を置き去りにしやすい

論理的に考えることは大切ですが、「どうすべきか」ばかりを優先してしまうと、「どう感じているか」という感情が置き去りになりがちです。

たとえば、

  • 「こうあるべき」「これが正解」と考えてばかりいる

  • 他人の期待に応えることを最優先にしてしまう

  • 常に“理由や意味”を探してしまう

このような傾向がある人は、知らず知らずのうちに“感情よりも思考”を優先しすぎて、気持ちが見えにくくなっているかもしれません。
感情は理屈ではなく、「ただ湧いてくるもの」。
まずは“感じてもいい”と自分に許可を出すことが、心の声を取り戻すカギになります。

過去の経験や「我慢グセ」も影響していることも

「泣いても何も変わらない」「感情を出すと嫌われる」
――そんな経験や思い込みがあると、感情を表に出すことに抵抗を覚えるようになっていきます。
その結果、“感じるよりも我慢する”ことが習慣化し、自分の本音に気づけなくなるのです。

特に、子どもの頃に「感情を抑えることが当たり前だった」環境にいた人は、大人になっても無意識に感情を閉じ込める傾向があります。
「感じないようにしてきた」自分に気づけたとき、それは“感情を取り戻す準備ができたサイン”とも言えます。

我慢してきたことを責めるのではなく、「今までそうやって生きてきた自分、よく頑張った」と労ってあげましょう。

 

自分の感情を取り戻すためにやるべき5つのこと

自分の感情を取り戻すためにやるべき5つのこと

① 体の感覚に意識を向ける(呼吸・緊張・疲れ)

感情は、言葉よりも先に「体」に表れることがあります。
呼吸が浅くなっていたり、肩や首がガチガチにこわばっていたり、やたらと疲れを感じたり…。
そういった“体のサイン”は、心の声を映す鏡でもあります。

まずは1日1回、「今、自分の体はどんな感じ?」と立ち止まってみましょう。
深呼吸をしてみたり、手足を軽くストレッチするだけでも、感情とのつながりが少しずつ戻ってきます。

② 小さな「好き・嫌い」に目を向ける

自分の気持ちを知る第一歩は、「何が好き?」「何が苦手?」というシンプルな問いから始まります。
たとえば――

  • 今、飲みたいのは温かいお茶?冷たい水?

  • 今日の服、着心地はどう?

  • この場所、落ち着く?ざわざわする?

こうした“小さな感覚”に気づくことは、「私はこう感じる」という感情の土台になります。
正解を探さず、ただ「自分の反応」を大切にしてあげましょう。

③ 気持ちを言葉にしてみる(書く・話す)

感情を取り戻すには、“アウトプット”がとても効果的です。
思ったことを言葉にしてみることで、「あ、自分はこう感じていたんだ」と気づくことがよくあります。

方法は何でも構いません。
・ノートに思ったことを書き出す
・独り言のようにつぶやく
・信頼できる人に話してみる

最初はまとまらなくても大丈夫。「イライラする」「なんかわからないけど疲れた」――それだけでも立派な感情表現です。

④ 安心できる時間と場所をつくる

感情は、“安全な場所”がないと出てこないこともあります。
忙しい日常の中で、感情が抑えられているのは、環境的なストレスも関係しています。

まずは、短時間でも「誰にも邪魔されず、リラックスできる時間・空間」を確保してみましょう。
好きな音楽を流して、お気に入りの飲み物を片手に、ゆっくり深呼吸する――
そんなささやかな習慣が、心をゆるめ、感情を受け取る土台になります。

⑤ 「感情に良い悪いはない」と受け入れてみる

「怒っちゃいけない」「悲しんでる自分はダメ」――
そんなふうに、感情に“ラベル”を貼って否定していませんか?

でも本来、感情に「良い・悪い」はありません。
怒りも、悲しみも、不安も、あなたの内側から自然に生まれてきた大切なメッセージです。

「そんなふうに感じてたんだね」と、自分の感情に声をかけるように受け止めてあげることで、心は少しずつほぐれていきます。
感情に寄り添うことは、心を取り戻す優しい第一歩です。

 

こんなときは要注意!感情を閉じ込めすぎているサイン

何をしても“無感情”になってしまう

以前は楽しかったことが楽しく感じられない。
美味しいものを食べても「おいしい」と思えない。
喜怒哀楽のどれもが「なんとなくわからない」と感じるようになっていたら、それは心からの“赤信号”かもしれません。

これは、感情を押し込めすぎた結果、心が“感じる”ことを止めてしまっている状態です。
感情を感じることは、ときにしんどい作業でもあります。だからこそ心は、苦しさを回避するために「感じない」ことで自分を守ろうとするのです。

何も感じられないことを責める必要はありません。
むしろ、「あ、今、自分の心はとても疲れてるんだな」と気づくことが、癒しへの第一歩です。

人との関わりが苦しく感じるとき

家族や友人、職場の人との関わりに疲れてしまう。
「会話がうまくできない」「誰かと一緒にいるのがしんどい」と感じることが増えたら、それも感情が閉じているサインです。

本来、人とのやりとりには「気持ちのやりとり」が必要です。
けれど、自分の感情に気づけていない状態では、相手の感情もうまく受け取れず、ただ“気を遣うだけ”の関係になりがち。

人間関係がつらく感じるときは、無理に関わりを続けようとするより、いったん“心を休ませる時間”を優先しましょう。
他人との距離感を見直すことで、自分の感情にも余白が生まれます。

イライラや落ち込みが長く続くとき

小さなことにすぐイライラする。
なんとなく気分が沈みっぱなしで、立て直せない。
――こうした状態も、実は「本当の感情に気づけていない」ことが原因であるケースが多くあります。

怒りや不安は、“心の奥にある未処理の感情”が変化して現れていることも少なくありません。
本当は「寂しい」「わかってほしかった」「無理してた」という気持ちが、別のかたちで表に出ているのです。

感情のサインを受け取るには、「なんでこんなにイライラするんだろう?」と、心の奥に静かに問いかけてみること。
その裏側にある“本当の気持ち”に触れることができれば、イライラや落ち込みも少しずつほどけていきます。

 

まとめ|感情は“感じる練習”で取り戻せる

まとめ|感情は“感じる練習”で取り戻せる

ゆっくりでもいい。自分の気持ちを知る時間を持とう

感情は、頭で理解しようとしてもなかなか見えてきません。
だからこそ、「感じる」ということには少しずつ慣れていく“練習”が必要です。

今日、何をしていて心地よかったか。
誰といて安心できたか。
逆に、何が引っかかってモヤモヤしたか――。
そんな小さな気持ちに目を向ける時間を、意識してつくってみましょう。

急にすべての感情が戻ってくるわけではありません。
でも、少しずつでも自分に寄り添うことで、確実に“心の輪郭”は取り戻されていきます。

感情に気づけると、生きることが少しラクになる

感情に気づけるようになると、自分を無理にコントロールしなくてもよくなります。
「なぜかわからないけどつらい」「何も感じない」――そんなモヤモヤに名前がつけられるようになると、心は少しずつ軽くなるのです。

怒りや不安、寂しさや喜びをそのまま感じられるようになることで、自分自身をもっと理解できるようになり、人との関係も自然にラクになります。

感情を取り戻すことは、自分の人生を“自分のものとして感じられるようになる”ということ。
その第一歩は、ただ「感じてもいい」と、自分に許すことから始まります。

 

 

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国家資格キャリアコンサルタント・メンタルヘルス・マネジメント®検定II種取得。企業での人材育成や新入社員研修の経験を経て、現在は心理カウンセラーとして個人・法人向けにカウンセリングや研修を行っています。 働く人の「こころの健康」を守ることをミッションとし、職場のストレス、自己肯定感の低下、人間関係の悩みに寄り添いながら、年間300件以上の相談に対応。信頼される「話し方」や「聴き方」のプロとして、多くのメディアにも情報提供を行っています。 「ひとりで抱え込まないで。一緒に考えることで、こころは軽くなる。」

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