自分の価値がわからないときにやるべきこと|心が迷ったときの“再出発ガイド”
「自分には価値がないのかもしれない」──そんな思いに押しつぶされそうになるとき、誰にでもあります。
努力しても満たされず、他人と比べてばかりで、心がすり減ってしまう日々。
でも、忘れないでください。あなたの価値は、誰かが決めるものではなく、あなた自身の中に静かに存在し続けているのです。
この記事では、自分の価値がわからなくなったときに“本当にやるべきこと”を、心の視点から丁寧にひもときます。
考え方をリセットし、自己肯定感を取り戻すヒントや、日常に取り入れられる小さな習慣、誰かに話すことの力まで──
迷った心をやさしく整えるための「再出発ガイド」として、ぜひ最後までお読みください。
「自分の価値がわからない」と感じる瞬間とは?
何をしても満たされない…その心の正体
「がんばっているのに、なぜか虚しい」「評価されても、どこか物足りない」──そんな気持ちは、決してわがままではありません。
それは、自分の本当の気持ちや望みと、日々の行動がずれているときに起こるサインです。
「ちゃんとやらなきゃ」「もっと成果を出さなきゃ」と外側ばかりを気にしていると、自分の“内側の声”が聞こえにくくなります。満たされなさの原因は、自分の価値を“成果”や“役割”でしか測れなくなっている状態とも言えるでしょう。
まずは「何が足りないんだろう?」ではなく、「今、私は本当は何を感じている?」と問いかけてみてください。
感情の輪郭を捉えることが、空白感を埋める第一歩になります。
SNSや他人との比較で“自信”が見えなくなる
SNSを見ていると、「あの人はあんなに輝いてる」「自分だけ何もできていない」と落ち込むこともありますよね。
でも、それは**見せたい部分だけを切り取った“誰かのハイライト”**にすぎません。
人は誰でも「自分にはないもの」に目がいきがち。
それが続くと、本来持っている自分の魅力や努力さえも“意味がない”と錯覚してしまうことがあります。
そんなときは、一度SNSを閉じて、自分の足元に目を向けてみましょう。
「昨日より少し早起きできた」「ちゃんと食事をとった」…その小さなことこそ、他人には見えない“本当の自信”のタネです。
生きる意味を見失うのは、がんばってきた証でもある
「生きてる意味がわからない」「どうしてこんなに苦しいんだろう」
そんなふうに感じるとき、自分を責めてしまいがちです。
でもその思いは、何かを真剣に考え、懸命に生きてきた証拠でもあります。
日々を丁寧に生き、心を込めて何かに向き合ってきた人ほど、ふと立ち止まったときに「自分ってなんだろう?」と感じやすいのです。
生きる意味は、はっきりと決めるものではありません。
揺らぎながらでも、前に進もうとするその姿勢そのものが、価値ある生き方です。
もし見失ったと思っても、それは「新しい意味を探すタイミングが来た」というサイン。焦らず、自分のペースで進んでいきましょう。
「価値がない」と思ってしまう理由をひもとく
自己肯定感の低下とその原因
「自分には価値がない」と感じてしまうとき、その根底にあるのが自己肯定感の低下です。
自己肯定感とは、「何があっても、自分には価値がある」と感じられる感覚のこと。
これが弱くなると、他人の評価や結果ばかりに気を取られ、自分を信じることができなくなります。
原因はさまざまですが、たとえば──
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失敗やミスを必要以上に責められた経験
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周囲と比較され、「もっと頑張らないとダメ」と言われ続けた日々
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褒められることよりも、叱られることのほうが多かった環境
これらはすべて、「自分のままでは認められない」という思い込みにつながりやすくなります。
まずはその“自分責めのクセ”に気づき、「今の私は、がんばりすぎていたのかもしれない」と優しく声をかけてあげましょう。
子どものころの経験や言葉が影響していることも
「価値がない」と思ってしまう感覚は、実は子ども時代の体験に根づいていることもあります。
たとえば、親や教師からこんな言葉を言われたことはありませんか?
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「あなたは何もできない」
-
「◯◯ちゃんはあんなにできるのに」
-
「もっとちゃんとしなさい」
こういった言葉は、意図せずとも**“自分には価値がない”という刷り込み**になってしまうことがあります。
子どもは、自分を取り巻く言葉をまっすぐに受け取り、それを「真実」だと思い込みやすいのです。
でも、大人になった今は違います。
そのとき感じた「価値がない」は、本当のあなたの評価ではなく、誰かの価値観や余裕のなさが生んだ一方的な言葉かもしれません。
「あのときの私は、よく頑張ってたよね」と、当時の自分にやさしく語りかけることが、癒しと再出発の第一歩になります。
完璧主義が“自分を苦しめるループ”をつくる
「もっとちゃんとしなきゃ」「ミスしたら終わり」と思い詰める人ほど、完璧主義の傾向が強いかもしれません。
完璧主義は一見ストイックで立派な姿勢に見えますが、常に自分を“ダメ出し”し続ける危険なループに陥りやすいものです。
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できたことより、できなかったことにばかり目が向く
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他人には優しくできるのに、自分には厳しすぎる
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「満点じゃない=失敗」と思い込んでしまう
この状態が続くと、自分の小さな成果も喜べなくなり、「価値がない」と感じやすくなります。
でも本来、人は誰しも不完全で、失敗もする生き物。
「ちょっとできた」「まあまあやれた」も、大切な進歩の証です。
完璧を目指すよりも、「今の自分を許しながら、少しずつ前に進む」ことを大切にしてみましょう。
自分の価値がわからないときに“やるべきこと”
他人と比べない“自分基準”を持ってみる
自分の価値を見失うとき、無意識に他人と比べていることが多くあります。
「同年代なのに、あの人はすごい」「自分は何も持っていない」と思い詰めてしまうと、自信はどんどん削られていきます。
でも、他人には他人の背景があり、自分には自分の歩幅があります。
大切なのは、“今の自分にとってのベスト”を見つけること。たとえば──
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「昨日より10分早く起きられた」
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「苦手な電話を1本かけられた」
-
「ごはんをきちんと食べられた」
こうした“小さな達成”に、自分なりの価値基準を持てるようになると、心が安定していきます。
「前の自分」と比べる習慣を、今日から少しずつ意識してみてください。
できたこと・続けていることを書き出す
「何もできていない」「私は価値がない」と感じたときほど、できたことが見えなくなっているだけかもしれません。
そんなときは、手書きでもスマホでもいいので「できたことリスト」を作ってみるのがおすすめです。
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朝起きて顔を洗った
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忙しい中でも洗濯した
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仕事や家事を休まずこなした
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今日もちゃんと1日を過ごせた
どんなに小さなことでもかまいません。
「自分は意外とがんばっている」「ちゃんとやれてる」ことを“見える化”すると、自己肯定感が自然と回復していきます。
1週間でも続けてみると、「私って、思ったよりすごいかも」と思える瞬間が、きっと出てきますよ。
「ありがとう」を集めてみる(過去の感謝メッセージ・LINEなど)
人は自分の価値に気づきにくい生き物です。
でも、自分が誰かにしてきたこと、もらった「ありがとう」の中に、あなたの価値はすでに刻まれているかもしれません。
過去のLINEやメール、SNSのコメントを見返してみましょう。
こんな言葉が残っていませんか?
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「助かったよ、ありがとう」
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「◯◯さんに会えてよかった」
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「いつも気づいてくれて感謝してる」
それはすべて、あなたという存在が誰かの人生に与えた、確かな価値の証です。
心が沈んだときは、感謝の言葉を“価値の見える化ツール”として使ってみてください。
小さな達成感を日常に組み込む
「自分の価値がわからない」と感じるとき、未来の大きな目標や理想ばかりを追って、今の自分を否定してしまいがちです。
そんなときは、“小さなゴール”を日常の中に作ることが有効です。
たとえば──
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10分だけ散歩する
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読みかけの本を3ページ読む
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今日だけは夜にスマホを見ない
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1日ひとつ、自分をねぎらう言葉をかける
これらは一見ささやかですが、「できた」という実感が、少しずつ自己価値を回復させるエネルギーになります。
達成感は、特別な成功ではなく、「できることを、無理なくやる」ことから生まれるのです。
心の価値を取り戻す“考え方のリセット術”
「今のままの自分」で十分と認める
私たちは、いつの間にか「もっとできないとダメ」「変わらなきゃ意味がない」と思い込んでしまうことがあります。
けれど、“今のまま”の自分を否定してばかりでは、心はどんどんすり減ってしまうのです。
大切なのは、「足りない部分」より「今ここにある自分のままでOK」と認めること。
たとえ不安でも、迷っていても、立ち止まっていても、それは**“今を生きている証”**です。
完璧じゃないからこそ、やさしさも、共感も、思いやりも生まれます。
変わらなくても、がんばれなくても、「そのままの私でいい」と自分に許可を出してあげましょう。
価値は“ある”のではなく、“認める”ことで見えてくるものです。
役割でなく“存在そのもの”に価値があると知る
「誰かの役に立てていない」「成果を出していない」──そんなふうに感じると、自分の価値がゼロになったように思えることがあります。
でも、それはとても危うい思い込みです。
人の価値は、役割や肩書き、成果だけで決まるものではありません。
あなたがそこに“いる”ということ、息をして、今日も目を覚ましたという事実そのものに、かけがえのない価値が宿っているのです。
赤ちゃんが何もしていないのに「かわいい」「生まれてくれてありがとう」と愛されるように、人の存在は、それだけで価値がある。
大人になったからといって、その本質が変わるわけではありません。
「何をしているか」ではなく、「誰として生きているか」に目を向けることで、自分の価値がじわじわと戻ってきます。
弱っているときは“評価より休息”が必要
心が疲れているときほど、「もっとがんばらなきゃ」「人から認められないと意味がない」と焦ってしまいがちです。
でも本当に必要なのは、**評価ではなく“休息”**かもしれません。
誰でも、調子がいいときもあれば、動けない日もあります。
バッテリーが空っぽなのに無理に走ろうとすると、ますます自己価値が感じられなくなるものです。
そんなときは、思い切って立ち止まりましょう。
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十分に眠る
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好きな香りや音楽に包まれる
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誰にも会わず、ただ静かに過ごす
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やるべきことを減らす、放っておく
これらは**“自分を大切にする時間”**であり、決して“サボり”ではありません。
休むことで、心は少しずつ回復し、再び「私はこれでいい」と思える感覚を取り戻していけます。
誰かに話すことで、自分の価値が見えることもある
信頼できる人・カウンセラーに話してみる
自分の価値がわからなくなったとき、頭の中が不安や否定的な言葉でいっぱいになり、「もう誰にも言えない」と感じてしまうことがあります。
けれど実は、“誰かに話すこと”が、自分を取り戻すきっかけになることも多いのです。
信頼できる友人や家族、あるいはプロのカウンセラーに話すことで──
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思い込みに気づける
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「それでも大丈夫だよ」という言葉を受け取れる
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自分では気づかなかった一面を教えてもらえる
といった効果があります。とくにカウンセラーは“否定しない存在”として、安心して話せる場所を提供してくれる心のサポーターです。
誰かに頼ることは「弱さ」ではなく、自分を守る“強さ”のひとつ。
「ひとりで抱えなくてもいい」と、ぜひ思い出してください。
感情の言語化が、自己理解を助ける
モヤモヤや苦しさを抱えているとき、うまく言葉にできず、「何がつらいのかさえわからない」と感じることがあります。
それは、感情が“ぐちゃぐちゃのまま”心に詰まっている状態です。
そんなときに効果的なのが、感情を「言葉」にして外に出すことです。
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「なんとなく不安」
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「孤独なのかもしれない」
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「自分ばかり責めていた」
──そうやって言葉にすることで、心の中にあった曖昧な苦しさが整理されていきます。
これはまるで、もつれた糸を少しずつ解いていく作業のようなもの。
言語化によって、「私はこう感じていたんだ」と自覚できるようになり、その感情をどう扱えばいいかも見えてきます。
自分の本音に気づけたとき、そこには必ず「価値ある気持ち」が宿っています。
「話してはいけないこと」なんて本当はない
「こんなこと言ったら引かれるかも」「こんな自分は見せちゃいけない」──そう思って、心の中にある本当の気持ちを封じ込めていませんか?
でも、話してはいけないことなんて、本当は何もありません。
どんなにネガティブに思える感情も、“あなたが生きてきた証”として、感じる正当な理由があるからこそ存在しています。
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悲しみも
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怒りも
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無気力も
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自己否定も
そのすべてが、あなたの一部であり、無視してはいけない“心の声”です。
「こんな話してもいいのかな」と思ったときこそ、それが一番、今のあなたに必要な話題なのかもしれません。
話すことで心は軽くなり、自分自身を受け入れる準備が整っていきます。
まとめ|“自分の価値”は、探すものでなく“思い出す”もの
あなたは今までも、たしかに“誰かの役に立っていた”
「自分には価値がない」と思い込んでしまうと、それまで積み重ねてきたものさえ、すべてが無意味に感じられることがあります。
けれど、あなたがこれまでにしてきた小さな行動や、さりげない言葉が、誰かの心を確かに支えていたはずです。
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誰かの話を静かに聞いてあげた日
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感謝されたあの一言
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自分でも気づかないうちに、誰かを安心させていた時間
それらはすべて、あなたが「そこにいた」からこそ生まれた、かけがえのない出来事です。
価値とは、大きな功績や賞を得ることではなく、日々の中に静かに溶け込んでいる“やさしさ”や“気づかい”にも宿っているのです。
見えなくなっても、価値が消えるわけじゃない
心が弱っているときは、自分のよい部分も成果も、すべてが“無”になってしまったような気がします。
けれど、それは**“見えなくなっている”だけで、失われたわけではありません**。
たとえば、夜の星は昼間は見えません。でも、空から消えたわけではないのと同じ。
あなたの中にある価値も、少し休んでいるだけで、ちゃんとそこに在り続けています。
焦って取り戻そうとしなくても大丈夫。
ただ少しずつ、呼吸を整え、日常を見つめ、ほんの小さな「自分を大切にすること」から始めてみてください。
それだけで、心の中に眠っていた“本来の自分”が少しずつ顔を出し始めます。
“存在しているだけで価値がある”ことを忘れずに
社会や人間関係の中で、「何かをしなければ価値がない」というプレッシャーを感じることは少なくありません。
でも、本当は──“生きているだけで価値がある”ということを、何度でも思い出してほしいのです。
赤ちゃんや高齢の方、病気の人、何もしていない時間を過ごしている人──
そうした人たちにも、存在しているだけで大切な価値があると、私たちは自然に思えるはずです。
ではなぜ、自分にはそれが許せないのでしょうか?
他人に優しくできるなら、まずは自分にもやさしくしていい。自分の存在にも“OK”を出していい。
あなたが今ここにいてくれること、それ自体が、誰かにとって意味のあることなのです。


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