【心がしんどいときに】感情がなくなったように感じるのはなぜ?|“心が止まった”自分を取り戻す方法

感情がなくなったように感じるときは|心が止まってしまった自分への対処法

最近、「嬉しい」「悲しい」などの感情が湧かなくなった――
そんなふうに感じていませんか?
笑うことも泣くこともできず、まるで心が止まってしまったように感じるとき、人は「自分が壊れたのかもしれない」と不安になります。

でも大丈夫。
感情がなくなったように思えるのは、あなたの心が限界を感じ、静かに自分を守ろうとしているサインです。
この記事では、感情が動かなくなる原因と、その心を少しずつ取り戻していくための具体的なヒントを紹介します。
焦らず、やさしく、自分の心と向き合う時間を取り戻していきましょう。

 

感情がなくなったように感じるのは、なぜ?

心が「感じる余裕」を失っているサイン

「嬉しい」「悲しい」「楽しい」——
本来なら自然に湧き上がるはずの感情が、まるで止まってしまったかのように感じるときがあります。
それは、あなたの心が“感じる余裕”を失っているサインかもしれません。

人の心は、思っている以上にデリケートです。
仕事や人間関係、将来への不安などが重なると、心は「感じること」よりも「なんとか生き抜くこと」を優先します。
つまり、感情をシャットダウンして“省エネモード”に入っているのです。

これは、怠けているわけでも、冷たくなったわけでもありません。
心が限界を感じているからこそ、エネルギーを節約している状態なのです。

ストレス・疲労・トラウマによって“心の安全装置”が働くことも

感情が動かなくなる背景には、強いストレスや疲労、過去の心の傷(トラウマ)が関係していることもあります。
人の心には、過剰な刺激から自分を守るための「安全装置」があります。

たとえば——

  • 長く続くストレスで、脳が“感じる力”を一時的にオフにする

  • 悲しみや怒りなどの強い感情が負担になり、無意識に遮断する

  • 「もうこれ以上、何も感じたくない」という自己防衛が働く

このような反応は、心が壊れないようにするための自然な仕組みです。
ですから、「感情がない自分はおかしい」と思う必要はまったくありません。
あなたの心は、ちゃんと自分を守ろうとしています。

「何も感じない」は、心が壊れたのではなく“守ろうとしている”反応

「泣けない」「嬉しいと感じない」「何も響かない」——
そう感じるとき、人は「私、壊れたのかな」と不安になります。
でも、それは壊れているのではなく、守っているだけ

たとえるなら、ケガをしたときに体が自然と動かないようにする“安静モード”と同じです。
心もダメージを受けたときには、自分を守るために一時的に感じる力を休ませるのです。

感情が動かないときは、「まだ心が息をしている」と信じてください。
静かに休ませてあげることで、少しずつ温度が戻ってきます。

焦らずに、
「今は感じられなくてもいい。ちゃんと生きている。」
そう自分に言ってあげることが、回復への第一歩です。

 

まずは「無理に感じようとしない」ことが回復への第一歩

「感じない自分」を責めないことがいちばんの回復

「なんで何も感じないんだろう」「昔の自分はもっと笑えてたのに」
そう思うたびに、自分を責めてしまう人は少なくありません。

でも、“感じない自分”を責めることは、すでに疲れきった心にさらに負担をかけることになります。
感情は、命令で動かせるものではありません。
「感じなきゃ」「泣かなきゃ」「元気を出さなきゃ」と無理に頑張るほど、
心は余計に硬くなってしまいます。

回復の第一歩は、
「今の私、感じなくてもいいんだ」とそのままの自分を受け入れること
感情が戻るのを待つのではなく、“立ち止まる自分”を肯定してあげる時間が、
心の回復をゆるやかに進めてくれます。

感情は“力を抜いた瞬間”に少しずつ戻ってくる

心が疲れ切っているときは、頭や体も常に“緊張モード”になっています。
それが、感情が閉じてしまう大きな原因のひとつ。

だからこそ、今必要なのは「頑張って感じること」ではなく、
“力を抜く”ことです。

・ぼんやり空を眺める
・何も考えずにお茶を飲む
・眠くなったらそのまま眠る

そんな何気ない瞬間に、心は少しずつ動き始めます。
“何かを感じよう”と意識しなくても、安心を取り戻したときに自然と感情は戻ってくるのです。

焦らなくて大丈夫。
心は、ちゃんとあなたのペースで動き出します。

ただ「生きてるだけでいい」と、自分に許可を出そう

感情を取り戻すためのいちばんの近道は、
「今の自分を否定しないこと」です。

何も感じられない日も、涙が出ない夜も、
それでもちゃんと今日を生きている——
それだけで、十分すぎるほど立派です。

「ちゃんと感じたい」「元に戻りたい」という思いは自然なこと。
でも、その“戻りたい気持ち”に焦りが混ざると、心はまた閉じてしまいます。

だからこそ、こう言ってあげましょう。

「今日は、生きてるだけでいい」
「何もできなくても、私には価値がある」

そうやって自分をゆるすことが、
失われた感情をもう一度呼び戻す優しいスイッチになります。

 

感情が戻るきっかけを、少しずつ日常に

五感を使って“今”を感じる小さな習慣を

感情を取り戻す一歩は、「感じよう」とすることではなく、「感じられる瞬間」に気づくことです。
そのために役立つのが、「五感を使う」小さな習慣です。

たとえば——

  • 朝、カーテンを開けて光を浴びる

  • 好きな香りのハンドクリームをつけて深呼吸する

  • 温かい飲み物をゆっくり味わう

  • 足の裏で床の感触を確かめながら歩く

こうした何気ない行動は、
止まっていた“心の回路”をそっと動かすスイッチになります。

感情は、頭ではなく体の感覚から少しずつ戻ってくるもの。
考えすぎず、五感で「今」を感じる時間を増やすことで、
凍っていた心がゆっくりと溶けていきます。

誰かとの会話・自然・音楽・香りが“感情のスイッチ”に

感情を思い出すきっかけは、人との関わりや身近な環境の中にもあります。
誰かとのたわいない会話、自然の中での風の音、好きな音楽、懐かしい香り——
それらはすべて、心に小さな刺激を与えてくれる“感情のスイッチ”です。

  • 「久しぶりに誰かと笑えた」

  • 「この匂い、昔よく使ってたな」

  • 「音楽を聴いたら少し泣けた」

そんな小さな瞬間を大切にしてください。
それは「もう一度、感じる力が戻ってきている」証拠です。

感情を呼び戻すのは、大きな出来事ではありません。
日常の中にある“ちょっと心が動く瞬間”を見逃さないこと。
その積み重ねが、あなたの心をもう一度温めてくれます。

過去の自分を思い出す写真や思い出も、回復の手がかりになる

感情が動かないときは、「昔の自分」を思い出すことも大切です。
写真や日記、好きだった音楽や場所に触れることで、
“感じていたころの自分”の感覚が少しずつよみがえることがあります。

「このとき、こんな気持ちだったな」
「この服、よく着てたな」
そんな小さな懐かしさが、今の自分と昔の自分をつないでくれるのです。

過去を振り返ることは、後悔するためではなく、
“ちゃんと感じて生きてきた証”を思い出すため
その記憶が、もう一度心に温度を戻してくれます。

焦らなくても大丈夫。
感情は、静かに、確実に戻ってきます。
そのサインを見逃さないように、少しずつ“今を感じる”練習を続けていきましょう。

 

感情が戻ってきたとき、自分を責めないで

感情が戻ってきたとき、自分を責めないで

涙が出ても、怒りが湧いても、それは“生きている証”

しばらく何も感じられなかったのに、
ふとした瞬間に涙があふれたり、イライラが戻ってきたりすることがあります。
そんなとき、「また不安定になった」と落ち込む人もいるでしょう。

でもそれは、心が再び動き出した証です。

悲しみや怒りは、ネガティブな感情ではなく、
「私は今、生きている」と教えてくれる大切な信号。
長く止まっていた心が、ようやく血流を取り戻すように、
感情が少しずつあなたの中を流れ始めているのです。

涙も怒りも、あなたの中に「感じる力」が戻ってきた証拠。
それを責めるのではなく、
「やっと感じられたね」と自分にやさしく声をかけてあげてください。

「感じること=苦しいこと」ではなく「心が動いていること」

感情が戻ってくると、喜びと同時に苦しさを感じることもあります。
なぜなら、長く閉じていた心が再び世界に触れ始めるからです。

でも、「感じること」=「苦しむこと」ではありません。
それは、心が再び世界とつながり始めたサイン。

たとえば、悲しいニュースで涙が出るのも、
人の優しさに胸が温かくなるのも、
どちらも「心が動いている」証拠です。

感情には善悪も優劣もありません。
怒りも悲しみも喜びも、すべてはあなたが“ちゃんと生きている”証
そのすべてを受け止めることが、真の回復への道です。

揺れ戻りを恐れず、感情と仲良く付き合っていこう

心の回復には“波”があります。
感情が戻ってきたと思ったら、また無感覚になる——
その繰り返しに、不安を覚えることもあるでしょう。

でもそれは、決して後退ではありません。
むしろ、心がバランスを取り戻そうとしている自然なプロセスです。

感情とは、常に一定ではなく「動くもの」。
揺れがあるからこそ、人は深く感じ、優しくなれます。

落ち着いた日があれば、泣きたくなる夜もある。
それでいいのです。
その“ゆらぎ”こそが、心が生きている証。

感情をコントロールしようとせず、
「今の気持ちも、私の一部」と受け入れてみましょう。
そうすれば、心は少しずつ、穏やかさと温かさを取り戻していきます。

 

まとめ|感情がなくなったように思えても、心は静かに生きている

感じない時間も、心のリセット期間

「何も感じない」「心が動かない」——
そんな時間は、決して無駄ではありません。
それは、心が静かに自分を立て直しているリセット期間です。

人は、強いストレスや悲しみの中で“感じる”ことに疲れすぎると、
一時的に感情を休ませることで、バランスを保とうとします。
つまり、「感じられない自分」は、壊れているのではなく、癒されようとしている途中なのです。

外からは何も変わっていないように見えても、
あなたの心の奥では、静かに修復のプロセスが進んでいます。
その時間を「停滞」と思わず、心の静かな回復期として大切に過ごしてください。

焦らず、少しずつ「自分を感じる力」を取り戻そう

感情を取り戻すことは、スイッチを押すように一瞬でできるものではありません。
けれど、日々の小さな瞬間の中に、回復の種は確実にあります。

朝の光、好きな香り、やさしい言葉、温かい食事——
それらを「心地いい」と感じられたら、それはもう、感情が戻り始めているサインです。

焦らなくていいし、誰かと比べる必要もありません。
あなたのペースで、少しずつ「自分を感じる力」を取り戻していけば大丈夫。

そして、何も感じられない日があっても、
心はちゃんと生きています。
静かに、確かに、あなたの内側で息をしているのです。

どうか、その静かな心に寄り添ってあげてください。
それが、感情を取り戻すためのいちばん優しい方法です。

 

 

オスカー先生のOscarペディア(用語集)

寄付金(応援金)のお願い

 

The following two tabs change content below.
国家資格キャリアコンサルタント・メンタルヘルス・マネジメント®検定II種取得。企業での人材育成や新入社員研修の経験を経て、現在は心理カウンセラーとして個人・法人向けにカウンセリングや研修を行っています。 働く人の「こころの健康」を守ることをミッションとし、職場のストレス、自己肯定感の低下、人間関係の悩みに寄り添いながら、年間300件以上の相談に対応。信頼される「話し方」や「聴き方」のプロとして、多くのメディアにも情報提供を行っています。 「ひとりで抱え込まないで。一緒に考えることで、こころは軽くなる。」

電話番号 052-265-6488