ひとりで居たいのに寂しいのはなぜ?矛盾する気持ちとの上手な付き合い方
「ひとりでいたいのに、なんだか寂しい」
自分の中にそんな矛盾した気持ちがあると、戸惑ったり、自己嫌悪になったりすることもあるかもしれません。
でもそれは、心がバランスを取ろうとしているごく自然な反応。誰にでも起こるものです。
本記事では、「ひとりが好き」なのに「さみしい」と感じてしまう理由や背景、そしてその気持ちとやさしく向き合う方法をわかりやすく解説します。
感情の揺れは、あなたの“人間らしさ”の証。自分を責めず、気持ちを整理するヒントを見つけていきましょう。
「ひとりで居たいのに寂しい」…その感情はおかしくない
ひとりを好む=孤独が平気、とは限らない
「ひとりが好き」と感じるのは、自分の内面に意識を向けたい時や、他人と距離を置いて心を落ち着かせたいサイン。
でもそれと「寂しさを感じない」ことは別物です。人はどんな性格であっても、“誰かにわかってほしい”という気持ちを根底に持っています。
たとえば、美術館で一人の時間を楽しんでいたのに、ふと「この感動を誰かと分かち合えたらな…」と感じたことはありませんか?
そんな瞬間こそ、人とのつながりを求めるあなたの“自然な感受性”が顔を出しているのです。
“寂しさ”は、人間の本能的なサイン
寂しさはネガティブな感情のように思えるかもしれませんが、それは「つながりが欲しい」という心のSOSです。
人間は本来、集団で生きることで進化してきた社会的な生き物。孤独を感じることそのものが「助けを求める本能」なのです。
つまり、寂しい=弱さや甘えではなく、“健全な心の反応”。
その感情があるからこそ、誰かに優しくできたり、つながりを大切に思えるのです。
矛盾しているようで、自然な気持ち
「ひとりで居たいけど寂しい」…この気持ちを持っているあなたは、感受性が豊かで繊細な心の持ち主です。
人間の感情は一方向ではなく、同時に複数の思いを抱えることがごく自然です。
「疲れているから誰とも話したくない」
でも
「誰かに話を聞いてほしい」
こんなふうに、心はときに揺れます。でもその揺れがあるからこそ、自分の“本当の気持ち”に気づけるのです。
矛盾しているように見える気持ちは、決して間違っていません。
むしろそれこそが、あなたが人間らしく、心のバランスをとろうとしている証なのです。
その気持ちが生まれる理由とは?
心が疲れていると「ひとり時間」が必要になる
「ひとりでいたい」と感じるとき、心の奥では「もうこれ以上、がんばれない…」というサインを出していることがあります。
人との関わりが続いたり、予定が立て込みすぎると、**“刺激をシャットアウトしたくなる防衛反応”**が働くのです。
この状態では、ひとりの時間が“癒し”や“回復”になるのは当然のこと。
ただし、静けさに安心した後に訪れる「寂しさ」は、元気が戻ってきた証ともいえます。
だから、「ひとりでいたい」と「寂しい」は、回復のグラデーションの中にある自然な変化なのです。
SNSや他人との比較で「つながり」欲求が刺激される
スマホを開けば、誰かの楽しそうな投稿や、仲間との笑顔が目に飛び込んできます。
そうした“見せたい世界”に触れるたび、知らず知らずのうちに「自分は孤独かも」「私はひとりなんだ」と思い込んでしまうことも。
とくに、疲れていたり自己肯定感が下がっているときは、他人の幸せが“寂しさ”として心に刺さりやすくなるのです。
これは、あなたに「つながりたい」という気持ちがあるからこそ起こる自然な反応。
比べたくて比べているのではなく、心が“自分の場所”を探しているだけなんです。
過去の体験が影響していることも
「ひとりになりたいのに寂しくなる…」
その背景には、幼いころの記憶や、人間関係での傷つき体験が関係していることもあります。
たとえば、
-
本当はひとりでいたかったのに、我慢して誰かに合わせてきた
-
自分の気持ちを伝えたときに、否定された
-
ひとりで過ごしていたときに「かわいそう」と言われた
こうした記憶は、「ひとりでいる=さみしい・悪いこと」という無意識の思い込みに変わっていくことがあります。
だからこそ、今感じている矛盾は、心の奥にある“記憶”が反応しているだけのこと。
それを責める必要はありません。
むしろ、気づけたこと自体が、癒しのはじまりなのです。
矛盾した気持ちとどう向き合えばいい?
「ひとりでいたい」「寂しい」両方あってOK
まず知っておいてほしいのは、「ひとりでいたい」と「寂しい」は矛盾しているようで、実は共存できる感情だということです。
人はいつも、1つの気持ちだけを持っているわけではありません。
静けさに安心したい日もあれば、人のぬくもりにふれたくなる夜もある。
それは決して「優柔不断」や「情緒不安定」ではなく、心が柔らかく、繊細だからこそ起こる自然なことなのです。
どちらか一方を選ばなきゃ…と思う必要はありません。
「今はこの気持ちなんだな」と両方にOKを出してあげることが、自分を大切にする第一歩です。
感情を否定せず、まず“感じる”ことが大切
心がザワザワしたとき、つい「こんな風に思っちゃダメだよね」「こんなこと感じるなんて弱い」と思ってしまうことはありませんか?
でも、感情には“正しい・間違い”はありません。
「寂しい」と感じたら、それは心が“人とつながりたい”というサイン。
「ひとりになりたい」と感じたら、それは“今の自分を休ませたい”というサイン。
どちらも、あなたの内側から届いている**大切な“声”**なんです。
まずは、「ああ、私いま、寂しいんだな」「ちょっと疲れてるのかもな」と、感じたままをそっと認めてあげましょう。
そこから少しずつ、気持ちはほぐれていきます。
心の中を言葉にして整理してみよう
モヤモヤした気持ちは、“言葉にする”ことで形が見え始めます。
誰かに話してもいいし、紙に書き出してもいい。
大事なのは、自分の心に起きていることを「見える形」にすることです。
たとえば…
-
「ひとりになりたいけど、なんかさみしい」
-
「誰にも会いたくないけど、誰かに気にかけてほしい」
-
「こんな気持ちが自分にあるんだ」
といった風に、そのままの感情を、やわらかい言葉で書いてみる・話してみるだけでOK。
言葉にすることで、自分の中にある“矛盾”が整理され、
「これでもいいんだ」と、自分を受け入れる余裕が生まれてきます。
実践できる3つの対処法
①「つながり感」を得られる小さな習慣をもつ
「ひとりでいたい」と思っても、心のどこかで「誰かの存在を感じたい」と思うのは、ごく自然なことです。
そんなときは、無理に会話をしなくても“人の気配”を感じられる場に身を置くことが有効です。
たとえば、
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カフェや図書館など、静かに人がいる空間に行ってみる
-
毎朝コンビニで「おはようございます」と一言挨拶を交わす
-
SNSで誰かの発信に「いいね」だけしてみる
こうした**“軽いつながり”は、心を静かに満たしてくれます。**
「ちゃんと社会とつながっている」「私はひとりじゃない」――そんな感覚が、寂しさをそっと和らげてくれます。
②あえて誰かに気持ちを話してみる
つらいときや寂しいとき、「わざわざ人に言うのは重いかも…」と感じて、気持ちを抱え込んでしまうこともありますよね。
でも実は、ほんのひとことだけでも、気持ちはすっと軽くなるものです。
たとえば、
-
「最近、なんとなく気持ちが落ち気味でさ〜」
-
「ひとりの時間が好きなんだけど、ちょっとさみしい時もある」
と、気取らず・重くなく、日常会話の中でポロッと出してみるのがコツ。
誰かがただ聞いてくれるだけで、「この気持ちをわかってくれる人がいる」と感じられ、安心感につながります。
話すのが難しければ、LINEやメッセージで伝えてもOK。
“わかってほしい”気持ちは、言葉にするだけで楽になる力を持っています。
③“自分とのつながり”を深める時間をつくる
誰かとつながることも大事ですが、同じくらい大切なのが「自分自身との対話」。
寂しさや矛盾を感じるときこそ、自分の心の声をていねいに聴く時間をつくってみましょう。
たとえば、
-
ノートに「いま感じていること」を書き出してみる
-
好きな音楽を聴きながら、ぼーっと感情に浸ってみる
-
絵を描く・散歩する・料理するなど、“ひとりでも夢中になれること”に没頭する
これは**“外の世界”ではなく、“自分の中”に安心できる居場所をつくる**作業でもあります。
「私はこう思ってたんだな」
「ちょっと、疲れてたのかもな」
と、自分自身をやさしく受けとめる時間が、心を満たしてくれるはずです。
まとめ|矛盾する気持ちにこそ、自分らしさが隠れている
「どちらかを選ばなきゃ」は不要
「ひとりでいたいのに寂しい」
この矛盾をどうにかしようと、無理に“どちらか”に気持ちを寄せてしまう人も多いかもしれません。
でも本当は、どちらもあなたの正直な感情。
どちらかを否定したり切り捨てたりする必要はありません。
“ひとりの静けさ”を求める時があっていいし、
“誰かと笑いたい”と願う夜があってもいい。
感情は、白か黒ではなく、その間に無限のグラデーションがあります。
選ばなくていい。どちらもあっていい。
そう思えるだけで、心はふっと楽になります。
揺れる気持ちも、あなただけの感情の風景
「なんで私はこんなに気持ちが揺れるんだろう…」
そう思ったことがあるかもしれません。けれど、感情のゆらぎは“弱さ”ではなく、あなたが丁寧に心と向き合っている証拠です。
感情は天気のようなもの。
晴れる日もあれば、曇る日、雨の夜もある。
そのすべてがあって、はじめて“あなたらしい景色”がつくられていくのです。
揺れながら、迷いながら、今の自分にとっていちばん心地いい場所を探す――
その過程にこそ、あなたの魅力や優しさが宿っています。


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