ひとりで居たいのに寂しいのはなぜ?|矛盾する気持ちとの上手な付き合い方
「ひとりでいたいのに、ふと寂しくなる」「誰かに会いたいのに、関わるのがしんどい」——そんな矛盾した気持ちに、戸惑ったことはありませんか?
実はこの感情、誰にでも起こる自然なものです。
本記事では、「ひとりでいたいのに寂しい」と感じる心理の正体と、心が揺れるときの上手な向き合い方をわかりやすく解説します。
“自分の中の矛盾”をやさしく受け止め、心を少し軽くするヒントを見つけていきましょう。
「ひとりで居たいのに寂しい」…その感情はおかしくない
「ひとりで居たいのに、どこか寂しい」──そんな矛盾を感じるとき、自分の気持ちがわからなくなって戸惑う人は多いでしょう。
ですが、これは決しておかしいことではありません。人の心は「自立したい自分」と「つながりたい自分」、両方の欲求を同時に持っています。
どちらか一方が間違いなのではなく、“両方とも自然で健全な感情”。
むしろこの揺れこそ、人間らしさの証でもあります。
誰にでもある“相反する気持ち”
「一人になりたい」「でも誰かにそばにいてほしい」──このような“相反する気持ち”は、実は誰の中にも存在します。
たとえば、静かな時間を求めて部屋にこもったのに、ふとスマホを開いてSNSを眺めてしまう…そんな経験、ありませんか?
それはあなたの心が「安心」と「つながり」のバランスを取ろうとしているサイン。
自分を責めたり、「自分は矛盾している」と否定する必要はありません。
人は一人で生きる強さと、誰かに寄り添いたい弱さをどちらも持っているからこそ、人間関係を築くことができるのです。
矛盾は「心がバランスを取ろうとしている証拠」
この“矛盾”は、あなたの心が壊れている証拠ではなく、回復しようとしている証拠です。
たとえば、ずっと人に合わせて疲れていたとき、「もう一人になりたい」と思うのは自然な反応。
しかし同時に、「誰かに分かってほしい」という気持ちが湧くのも、心が癒しを求めているから。
つまり、「ひとりでいたい」と「寂しい」は、対立するものではなく、あなたを守るための“両輪”のようなもの。
どちらかを否定するよりも、「今はどちらの声が強いのかな?」と、やさしく観察することが大切です。
「どちらの気持ちも本当の自分」と受け止めてみよう
「矛盾している自分」に対して、“一方を正そう”とするのではなく、
「どちらの気持ちも本音なんだ」と受け止めてみましょう。
ひとりで過ごしたいのは、心のスペースを取り戻したいから。
寂しいと感じるのは、人とつながりたいという自然な願いがあるから。
どちらも大切なあなたの一部です。
その両方を認めることで、心は少しずつ落ち着きを取り戻します。
自分を否定せず、どんな気持ちも“今の自分の正直な反応”として受け入れること。
それが、心をやわらかく保つ最初の一歩です。
その気持ちが生まれる理由とは?
「ひとりで居たいのに寂しい」という相反する気持ちは、性格の問題でも、弱さの表れでもありません。
それは、人間という生き物がもともと持つ“心の仕組み”から自然に生まれる感情です。
私たちは「自分の時間を大切にしたい」と思う一方で、「誰かとつながっていたい」という本能的な欲求も抱えています。
ここでは、その矛盾が生まれる3つの主な理由を見ていきましょう。
① 社会的なつながりを求める「本能」とのギャップ
人間は、もともと「社会的な生き物」です。
孤独を感じるのは、脳が「人とのつながりを失っている」と判断したときに出す自然なサイン。
つまり、「寂しい」と感じるのはあなたの心が正常に働いている証拠でもあるのです。
一方で、現代社会ではストレスや情報過多によって「ひとりになりたい」と思う瞬間も増えました。
このとき、“休みたい心”と“つながりたい本能”がぶつかり、矛盾した感情が生まれます。
対処のヒント:
「寂しさ=悪いこと」と捉えず、
「今は心がバランスを取りたがっているんだな」と理解してみましょう。
“つながり”を求める気持ちも、“距離を取りたい”気持ちも、どちらもあなたを守るために存在しています。
② 「他人と比べる癖」からくる孤独感
SNSや周囲との比較によって、「自分だけが孤独に見える」と感じてしまうこともあります。
本当は一人で過ごす時間を大切にしたいのに、
他人が楽しそうに見えると「自分は取り残されているのかも」と不安になる。
このとき感じているのは、“孤独そのもの”ではなく、“比較による寂しさ”です。
本来は満たされていた時間も、他人と比べた瞬間に「不足」に変わってしまうのです。
対処のヒント:
SNSを見る時間を少し減らし、
「今、自分が心地いいかどうか」だけに意識を向けてみましょう。
他人の幸せを測るより、“自分の静かな満足”を感じることが本当の癒しになります。
③ 過去の人間関係による“防衛反応”の可能性
「ひとりでいたい」と強く感じる背景には、
過去の人間関係での傷つきや疲れが関係していることもあります。
たとえば、信頼していた人に裏切られた経験や、過剰に気を遣う関係が続いた経験。
心は無意識のうちに「もう傷つきたくない」と自分を守るために“距離を取りたい”と感じます。
しかし同時に、人とのつながりを求める本能は生き続けています。
そのため、「ひとりでいたい」と思いつつも「寂しい」と感じる──まさに心の防衛反応と本能のせめぎ合いが起きるのです。
対処のヒント:
無理に「人と関わらなきゃ」と思わなくて大丈夫です。
まずは“安心できる少人数”や“短い時間の交流”から始めてみましょう。
「また人と関わっても大丈夫」という感覚が戻ると、自然に寂しさもやわらいでいきます。
💬 まとめメッセージ:
「ひとりで居たいのに寂しい」と感じるのは、あなたの心が“バランスを探している途中”だから。
その揺れは決して間違いではなく、心が健やかに回復していくプロセスです。
矛盾した気持ちとどう向き合えばいい?
「ひとりでいたいけれど寂しい」という気持ちは、無理に解消しようとするよりも、まず“観察する”ことから始めるのが効果的です。
感情は抑え込もうとすると強まり、理解しようとすると落ち着いていきます。
ここでは、そんな矛盾した気持ちと上手に向き合うための3つのステップを紹介します。
どれも今日から実践できる、小さな心の整理法です。
「どんなときに寂しさを感じるか」を書き出してみる
まず試してほしいのは、“寂しさのタイミング”を可視化することです。
なんとなく寂しいと感じるとき、その背景には「状況」「環境」「思考パターン」が潜んでいます。
たとえば──
-
夜、SNSを見たあとに寂しくなる
-
休日の午後、人の声が聞こえないときに孤独を感じる
-
仕事で頑張った日の夜に、誰にも褒められないのがつらい
このように具体的に書き出してみると、“自分の寂しさの傾向”が見えてくるはずです。
ポイント:
感情は「原因」を認識するだけで和らぎます。
紙に書き出すことで、
「今の私は、こういうときに寂しさを感じるんだ」と客観的に理解できるようになり、
その感情に引きずられにくくなります。
無理に“ひとりを楽しもう”としない
「ひとりの時間を楽しめる人にならなきゃ」と無理をしていませんか?
しかし、“楽しもう”と意識するほど、かえって孤独感が増すこともあります。
心が疲れているときは、ひとり時間を充実させようとするより、
ただ「何もしないで休む」ことの方が効果的です。
ひとりの時間を楽しめるのは、“心が満たされているとき”だから。
疲れているときに楽しめないのは、決してあなたのせいではありません。
ポイント:
ひとりの時間に「意味」や「目的」を求めすぎないこと。
静かな時間を“回復の時間”と捉えるだけで、
「楽しくない=悪い」から「今は休むとき」に変わり、
自分を責めずに過ごせるようになります。
“誰かに求められたい”気持ちを否定しない
どんなにひとりが好きな人でも、
「誰かに必要とされたい」「理解されたい」と思う気持ちは必ずあります。
それは人として自然な欲求であり、弱さではありません。
むしろ、「誰かに求められたい」と感じることは、
あなたの中に“つながる力”がまだ残っている証拠です。
その気持ちを押し殺して「私は平気」と強がるより、
「少し誰かと話したいな」「誰かに見ていてほしいな」と素直に認めることが大切。
ポイント:
-
信頼できる人に「最近ちょっと寂しい」と話してみる
-
誰かのSNS投稿に“いいね”を押すだけでも十分
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小さな関わりでOK。「孤独=悪」ではなく、「つながる準備期間」と考えよう
人と関わりたい自分も、ひとりでいたい自分も、どちらもあなたらしさの一部。
どちらかを否定するのではなく、両方の声を聞いてあげることが、心をやわらかく保つ秘訣です。
💬 まとめメッセージ:
矛盾した気持ちに向き合うとは、“どちらかを消す”ことではなく、
「どちらの気持ちもあっていい」と認めること。
そうすれば、寂しさも静かな時間も、あなたを成長させる大切な一部になります。
実践できる3つの対処法
「ひとりで居たいのに寂しい」──この矛盾は、誰かに消してもらうものではなく、自分でやわらかく整えていけるものです。
感情を抑えるのではなく、“安心を取り戻す小さな行動”を積み重ねていくことで、少しずつ心が落ち着いていきます。
ここでは、今日からできる3つの対処法をご紹介します。
どれも大きな努力はいりません。小さく、やさしく、できることから始めてみましょう。
① 小さな「人とのつながり」を持つ(挨拶・会話など)
寂しさを和らげるのに必要なのは、深い関係ではなく、小さな関わりです。
家族や友人と長く話す時間が取れなくても、
コンビニで「ありがとう」と言う、職場で「おつかれさま」と声をかける──
そんな一言のやり取りでも、心は確かに“つながり”を感じ取ります。
心理学的にも、人は日常の「軽いつながり(弱い絆)」を感じることで、孤独感が大きく減ることが分かっています。
ポイント:
-
意識して1日1回、誰かに挨拶をする
-
カフェの店員さんに「ごちそうさまでした」と伝える
-
SNSで共感した投稿に「いいね」を押す
たったそれだけで、心の奥に“社会とつながっている”という安心が戻ります。
孤独を埋めるのは「大きな関係」よりも、「小さな交流の積み重ね」です。
② “ひとり時間”に安心を与える習慣をつくる(音楽・散歩など)
ひとりの時間は、「寂しさを感じやすい時間」でもあり、「心を回復できる時間」でもあります。
その質を決めるのは、“どんな過ごし方をしているか”。
ひとりの時間を心地よく過ごすコツは、「自分が落ち着く習慣」をひとつ持つことです。
たとえば──
-
夜はお気に入りの音楽を流す
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朝の散歩で空の色を感じる
-
お茶をいれる時間を“儀式”にする
こうした小さな習慣が、ひとり時間に“安心のリズム”を与えてくれます。
それは「孤独を癒す力」となり、やがて“ひとりでも大丈夫な心の土台”につながっていきます。
ポイント:
大切なのは「何をするか」よりも、「どんな気持ちでそれをするか」。
“孤独を埋めるため”ではなく、“自分を安心させるため”に時間を使ってみましょう。
③ 寂しさを感じたら「心が休みを求めている」と考える
寂しさは、心のエラーではなく、心が「少し休ませて」と伝えているサインです。
それを「弱さ」や「欠点」と捉えると、ますます自分を追い込んでしまいます。
誰かに会いたくないのに、寂しくて苦しい。
そんなときは、「今の自分は、がんばりすぎているのかもしれない」と気づくだけで十分です。
ポイント:
-
寂しさを感じたら、まず深呼吸をして「心が疲れてるんだな」と声をかける
-
そのあとで温かい飲み物を飲む、好きな香りを嗅ぐなど、“体を通じて安心を与える”
-
行動よりも、まず“感じる”ことを優先する
寂しさは、あなたの心が「誰かに癒してもらいたい」と願っている証拠。
でも、最初の癒し手はあなた自身であっていいのです。
やさしい言葉をかけるだけでも、心は少しずつ回復していきます。
💬 まとめメッセージ:
矛盾する気持ちに振り回されそうなときこそ、
“小さなつながり”と“自分を安心させる習慣”を思い出してください。
寂しさを悪者にせず、「心の休息サイン」として受け止めること。
それが、あなたらしく穏やかに生きるための最初の一歩になります。
まとめ|矛盾する気持ちにこそ、自分らしさが隠れている
「一人になりたいのに、寂しい」「自由でいたいのに、誰かに愛されたい」――そんな相反する気持ちは、決して間違いでも弱さでもありません。
むしろそれは、あなたが“人として豊かに感じている”証拠です。
矛盾を抱えるからこそ、自分の内面が深まり、他者への思いやりも育ちます。
大切なのは、その気持ちを切り離さず、どちらもあなたの一部として受け入れることです。
「ひとり」と「つながり」、どちらも大切な自分の一部
「ひとりでいる時間」は、自分を整え、心を静めるために必要な時間。
一方で、「人とつながる時間」は、自分を外に開き、喜びを共有する時間です。
この二つはどちらかを選ぶものではなく、どちらも“あなたの生きるリズム”を支える柱です。
「今はひとりでいたい」と感じるときは、無理せず静かな時間を。
「誰かと話したい」と思うときは、素直にその気持ちを表に出してみてください。
どちらを選んでも、それはあなたにとって“正しい選択”です。
感情の揺れを否定せず、“心の声”を丁寧に聞いていこう
感情が揺れるとき、人は「自分が不安定なのでは?」と感じやすいもの。
けれどその揺れは、あなたの“本音”が動いているサインでもあります。
「なぜ今こんな気持ちになるんだろう?」と、静かに問いかけてみてください。
焦って答えを出そうとせず、日記やメモに書き出すだけでも十分です。
少しずつ自分の心のリズムが見えてきて、矛盾に見えた感情の奥に、
“本当に求めているもの”が浮かび上がってくるはずです。


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